玩具販売大手の日本トイザらス株式会社が2026年10月1日、東京地方裁判所に民事再生法の適用を申請した。
東京商工リサーチによると、負債総額は債権者1159人に対して約132億2600万円。同日、監督保全命令を受けた。
一方で、日本トイザらスの店舗が直ちに姿を消すわけではない。
同社は同日、「ドン・キホーテ」などを展開するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)の関係会社との事業譲渡契約締結を発表した。
事業譲渡の手続き完了後、日本トイザらスの事業はPPIHグループの下で運営される予定で、大手玩具専門店の経営は大きな転換点を迎える。
日本トイザらスが東京地裁に民事再生法の適用を申請
日本トイザらスは10月1日、東京地裁に民事再生手続開始を申し立てた。
東京地裁も同日、日本トイザらスの民事再生手続開始申立事件について案内を掲載している。
東京商工リサーチによると、負債総額は132億2600万円。同社は1991年に「トイザらス」の国内1号店を開店し、その後、ベビー用品を扱う「ベビーザらス」などにも事業を拡大した。2026年7月時点の店舗数は158店舗としている。
帝国データバンクは今回の民事再生について、玩具量販店では過去最大規模の倒産としている。
「トイザらスは閉店する?」当面は通常営業を継続
利用者にとって最大の関心は、
「トイザらスの店舗は閉店するのか」
という点だろう。
日本トイザらスは、PPIHグループへの移行手続きが完了するまで、店舗の営業を通常通り継続するとしている。顧客からの問い合わせについても引き続き対応する方針だ。
つまり今回の民事再生申請は、直ちに全店舗を閉鎖して会社を清算するというものではない。
事業を継続しながら再建を図り、その事業を新たなスポンサー側へ引き継ぐ形となる。
「ドン・キホーテ」のPPIHがスポンサーに
大きなポイントが、PPIHグループへの事業譲渡だ。
PPIHは10月1日、公式IRで「日本トイザらスとの事業譲渡契約締結に関するお知らせ」を公表した。
PPIHグループは国内で「ドン・キホーテ」や「アピタ」などを展開しているほか、海外でも「DON DON DONKI」などを展開する大手流通グループだ。
報道によると、PPIHの完全子会社が、日本トイザらスが店舗やオンラインで展開している玩具・子ども用品販売事業を承継する予定で、事業譲渡は10月30日を予定している。
国内158店舗はどうなる?「可能な限り全店」継続の方針
店舗網の行方にも注目が集まる。
テレビ朝日の報道によると、PPIH側は国内158店舗について、可能な限り全店の継続運営と全従業員の雇用維持を目指す考えを示している。
また、「トイザらス」の店名についても維持する意向が示されている。
ただし、「可能な限り」という表現であり、個別店舗の将来的な存続まで現時点ですべて確定したわけではない点には注意が必要だ。
今後の店舗再編や売り場改革については、PPIH傘下でどのような戦略が打ち出されるかが焦点になる。
なぜ日本トイザらスは民事再生に至ったのか
日本トイザらスは長年、日本の玩具小売市場を代表する存在だった。
東京商工リサーチによると、ピーク時の2007年1月期には売上高約1943億6500万円を計上していた。
しかし、少子化やインターネット通販との競争激化などを背景に業績は悪化。2025年12月期の売上高は約752億1100万円まで縮小したと報じられている。
単純比較すると、ピーク時から売上規模は大幅に縮小したことになる。
希望退職などの構造改革も進めてきたものの、抜本的な業績改善には至らなかったとされる。
少子化だけでは説明できない玩具小売市場の変化
ネット通販との競争
日本トイザらスを取り巻く環境で大きく変わったのが、玩具の購入方法だ。
かつて大型玩具専門店には、「豊富な品ぞろえを一度に比較できる」という大きな強みがあった。
しかし、EC市場の拡大によって、自宅から商品を比較し、そのまま購入することが一般化した。
玩具についても、価格比較や在庫確認が容易になり、大型店舗を構える専門店の優位性は以前ほど絶対的ではなくなっている。
少子化による子ども市場の縮小
もう一つ避けて通れないのが少子化だ。
玩具・ベビー用品は子どもの人口動態と密接に関係するため、国内市場そのものが長期的な構造変化に直面している。
ただし、これを「少子化だけが倒産原因」と断定するのは適切ではない。
ECとの競争、店舗運営コスト、消費行動の変化など複数の要因を踏まえて見る必要がある。
【編集部の考察】PPIHは「大人が買う玩具」に可能性を見るのか
今回の事業譲渡で注目したいのが、PPIH側が今後の商品ラインアップについて大人の需要も取り込む方針を示している点だ。
玩具市場では近年、子どもだけではなく、大人が自分自身のためにキャラクター商品、フィギュア、カード、プラモデルなどを購入する市場も存在する。
ここに「ドン・キホーテ」で培ってきたPPIHの売り場づくりや商品調達、幅広い客層への販売ノウハウが加われば、「子どものための大型玩具店」から、より幅広い世代を取り込む店舗へ変化する可能性がある。
これは現段階では編集部の考察であり、具体的な店舗改革の内容は今後のPPIHおよび日本トイザらスの発表を待つ必要がある。
トイザらスの看板は残る可能性 「倒産=消滅」ではない
今回のニュースでは「倒産」という言葉だけが先行すると、「トイザらスが日本からなくなる」と受け取られる可能性がある。
しかし、現時点で発表されている内容は異なる。
日本トイザらスは民事再生手続きを利用しながら営業を継続し、PPIHグループへの事業譲渡を進める。
PPIH側も可能な限り店舗運営や雇用を維持し、「トイザらス」の名称を残す意向を示している。
したがって、今回の出来事は「トイザらスの終わり」というより、経営主体が変わる大規模な事業再建として捉える必要がある。
今後は、不採算店舗を含めた店舗網がどのように再編されるのか、PPIHがトイザらスのブランドや売り場をどのように変えるのかが大きな焦点となりそうだ。
記事注記
本記事は2026年10月1日時点の日本トイザらス、PPIH、東京地方裁判所の公表情報および信用調査会社・報道機関の情報を基に構成しています。「編集部の考察」部分には、公開情報や市場動向を基にした週刊TAKAPI編集部の見解を含みます。今後、民事再生手続きや事業譲渡、店舗運営方針が変更される可能性があります。
週刊TAKAPI 編集部/黒木
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