2027年4月の開設が予定されている名古屋市立大学医学部保健医療学科看護学専攻「蒲郡キャンパス」。
一方、現在同じ施設を使用している蒲郡市立ソフィア看護専門学校は、2026年度入学生を最後に学生募集を停止し、2029年3月末に閉校する予定となっている。
蒲郡市は、ソフィア看護専門学校の施設を活用して名市大蒲郡キャンパスを開設する計画を公表している。
計画通り進めば、2027年度から2028年度にかけて、新しい大学と既存の専門学校が同じ施設を活用する約2年間の移行期間が生じる見込みだ。
これは単なる校名変更ではない。
3年課程の看護専門学校から4年制大学の看護学専攻へ、教育の仕組みそのものが移行する。その一方、ソフィア看護専門学校では最後の学生が卒業するまで教育を継続する必要がある。
名古屋市立大学は蒲郡キャンパス開設に向け、カリキュラム構築、教員採用、施設改修などを進めている。
では約2年間、大学と専門学校の教育はどのように両立するのか。
週刊TAKAPIは、蒲郡市、名古屋市立大学などが公表している資料をもとに、専門学校から大学へ移行する期間の教育環境と、なお明らかになっていない課題を検証した。
2027年4月に名市大蒲郡キャンパス開設予定 ソフィアは2029年3月末まで
蒲郡市立ソフィア看護専門学校は、2026年度入学生を最後に学生募集を停止した。
蒲郡市は同校について、2029年3月末で閉校する予定としている。
一方、同じ施設を活用する名古屋市立大学「蒲郡キャンパス」は2027年4月の開設を予定している。
蒲郡市、名古屋市、名古屋市立大学の3者は2025年3月、ソフィア看護専門学校の施設を活用して、名市大医学部保健医療学科に新たな看護師養成教育課程を設置するための協定を締結した。
時系列で整理すると、
2026年4月
ソフィア看護専門学校の最後の入学生が入学
2027年4月
名市大「蒲郡キャンパス」開設予定
2029年3月
ソフィア看護専門学校閉校予定
となる。
2027年度には少なくとも2026年度入学生が2年生として在籍する予定であり、計画通りなら大学開設後も専門学校の教育が続く。
つまり、2027年4月は大学化の「完了」ではなく、専門学校から大学へ教育機能を移していく約2年間の移行期の始まりとなる。
ソフィア看護専門学校は3年課程 名市大は4年制大学
ソフィア看護専門学校は、医療専門課程の3年課程・全日制看護学科で、修業年限は3年。
総定員は120人で、各学年40人となっている。
これに対し、名市大蒲郡キャンパスは医学部保健医療学科看護学専攻の一部として設置され、1学年50人を受け入れる計画だ。
教育制度は大きく異なる。
専門学校は3年間の看護師養成課程。
大学では4年間の学士課程として、看護の専門教育だけでなく、医学科や薬学部、リハビリテーション学専攻などとの多職種連携教育や、地域医療を踏まえた教育・研究も行う計画となっている。
同じ施設を活用するとしても、必要となる教室、演習設備、学生支援、図書・学習環境などが完全に同じとは限らない。
名市大はカリキュラム構築、教員採用、施設改修を進める
名古屋市立大学は、蒲郡キャンパス開設に向けた準備として、
カリキュラム構築
教員採用
施設改修
東三河地域を中心とした広報
などを進めている。
また、2025年度からは蒲郡市と名市大の双方に専任教職員を配置し、開設準備を進めているとしている。
つまり、現在のソフィア看護専門学校の施設をそのまま大学として使用するのではなく、大学教育に対応できる環境へ整えることを前提としている。
一方で、2029年3月までは専門学校生への教育を継続しなければならない。
新しい大学を立ち上げながら、既存の専門学校を最後まで運営する。
この二重の教育体制をどう成立させるかが、移行期最大のポイントになる。
教室はどう分けるのか 具体的な配置はまだ見えない
現時点で公表されている資料では、2027年度以降、
大学生がどの教室を使用するのか。
専門学校生がどの教室を使うのか。
看護実習室や演習設備をどこまで共用するのか。
学生の動線をどう分けるのか。
といった具体的な施設運用までは確認できない。
2027年度には少なくともソフィア看護専門学校の2026年度入学生が2年生として在籍する予定だ。
その中で、大学側でも新たな学生受け入れが始まる。
同じ施設を活用する以上、専門学校生の授業を継続しながら、大学教育に必要な教室や設備を確保する必要がある。
施設内の具体的な割り振りは、教育環境を検証する上で重要な確認事項となる。
実習室・演習設備はどう共用するのか
看護教育では、一般的な講義室だけでなく、看護技術を学ぶ実習室や演習設備が重要になる。
ベッド、医療機器、シミュレーション設備など、専門的な教育設備も使用する。
専門学校と大学では教育課程が異なるため、授業時間や演習内容も完全には一致しない。
大学生と専門学校生が同じ時期に同じ設備を必要とした場合、どのように時間を調整するのか。
大学側専用の設備を整備するのか。
既存設備を共用するのか。
こうした具体的な運用方法についても、公表資料からはまだ明らかになっていない。
