熊本県立東稜高校(熊本市東区)で、2021年に入学した生徒が同級生からいじめを受けて転校した問題で、第三者調査委員会は10月19日、調査対象となった14件のうち13件をいじめと認定した報告書を提出した。
元生徒は適応障害などと診断され、欠席が続いていた。委員会はいじめと心身の不調、欠席との因果関係を認めたほか、学校側のいじめ認知の遅れや被害生徒への支援不足を指摘した。
無視やSNSでの誹謗中傷 14件を調査し13件を認定
元生徒は2021年4月に東稜高校へ入学。同年5月から11月にかけて、複数の同級生から嫌なあだ名で呼ばれたり、集団で無視されたりするなどの行為を受けていた。
SNSのグループ内でも悪口が書き込まれ、「生理的に無理」などと言われていたという。
第三者委員会は、こうした行為を含む14件について調査し、13件をいじめと認定。認定した13件すべてについて、いじめ重大事態との関連も認めた。
元生徒は適応障害などと診断され、年間29日欠席していた。委員会はいじめが適応障害を生じさせ、欠席につながったと判断している。
元生徒はその後、別の学校への転校を余儀なくされた。
学校のいじめ認知に遅れ 被害生徒へのケアが不足
第三者委員会による調査は2024年1月から行われ、19日に報告書が東稜高校の藤本浩明校長へ提出された。
報告書では、当時の学校の対応について、いじめの認知が遅く、教職員間の情報共有も不十分だったと指摘した。
学校のいじめ防止基本方針に沿った組織的な対応が徹底されておらず、被害生徒を支援する視点も欠けていたと判断している。
いじめへの対応が担任など一部の教職員に偏り、相談体制も十分に整っていなかったことが問題とされた。
委員会は、いじめを把握した初期段階から、関係する教職員が情報を共有し、被害生徒の保護と関係生徒への指導を組織的に進める必要があると指摘した。
学校と県教委に再発防止を提言 外部専門家の関与も
第三者委員会は再発防止に向け、担任だけでなく、スクールカウンセラーなどを含む複数の教職員が対応する体制を早急に整えるよう求めた。
学校の相談窓口を充実させることや、スクールソーシャルワーカーなど専門職の活用も提言した。
県教育委員会に対しては、学校外の専門機関が関与できる「いじめ対策対応チーム」の整備や、いじめの未然防止に向けた研修の実施などを求めている。
学校内だけで問題を抱え込まず、外部の専門家も関わる対応体制が必要だとした。
校長が謝罪 元生徒は「再発防止策の実行」を求める
報告書の提出を受け、藤本校長は元生徒と保護者に謝罪した。
校長は、報告書を精査したうえで、学校の指導体制や支援体制を見直す考えを示した。
元生徒もコメントを発表し、いじめの事実や学校側の問題が明確になったことを受け、同じように苦しむ生徒を生まないため、再発防止策を確実に実行してほしいとの意向を示した。
今回の報告書で指摘された学校の対応不足に対し、具体的にどのような改善措置が取られるかは、今後の学校と県教委の対応による。
編集部まとめ
東稜高校のいじめ重大事態では、第三者委員会が13件のいじめを認定し、元生徒の適応障害や欠席との因果関係も認めた。
報告書は学校の初期対応と情報共有の不備を指摘しており、学校と県教委には再発防止策の具体化が求められている。
週刊TAKAPI 編集部
特記事項
本記事は、2026年10月19日に提出された第三者調査委員会の報告内容、学校側の説明、元生徒のコメント、および熊本県教育委員会の公開資料を基に作成した。
調査対象14件のうち13件がいじめと認定されたこと、いじめと適応障害・欠席との因果関係が認められたことを確認した。
今回の対象は2021年に入学した元生徒の事案であり、2024年に入学した別の生徒が転校したいじめ重大事態とは異なる。
なお、第三者委員会の2026年10月19日付報告書全文は直接取得できていないため、認定内容や提言は同日の公表・会見内容に基づく。
元生徒と関係する生徒の氏名など、個人の特定につながる情報は掲載していない。
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