三重県亀山市の新名神高速道路で今年3月、大型トラックが渋滞中の車列に追突し、子ども3人を含む6人が死亡した事故で、津地方裁判所は10月20日、自動車運転処罰法違反(過失運転致死)の罪に問われた元トラック運転手、水谷水都代被告(55)に拘禁刑7年の判決を言い渡した。
検察側の求刑通りで、過失運転致死罪の法定刑の上限となる。
水谷被告はスマートフォンを見ながら、制限速度を超える時速約82キロで大型トラックを運転していた。津地裁は、事故の危険を顧みない軽率な運転であり、過失は重大だと判断した。
判決後、遺族は法定刑の上限となる判決にも納得できない思いを語った。
渋滞中の車列に大型トラックが追突 子ども3人を含む6人死亡
事故は3月20日午前2時20分ごろ、亀山市安坂山町の新名神高速道路下り線、野登トンネル出口付近で発生した。
水谷被告が運転する大型トラックが、渋滞で停止していた車列の最後尾に追突。車4台が絡む多重事故となり、乗用車などが炎上した。
亡くなったのは、静岡県袋井市の会社員、松本幸司さん(当時45)と妻、子ども3人の一家5人、埼玉県草加市の団体職員、髙峰啓三さん(当時56)の計6人。
松本さん一家は旅行に向かう途中だった。
水谷被告は事故後、過失運転致死の疑いで逮捕され、その後起訴された。
スマホの料理動画を閲覧 検察側は約13秒間の脇見を指摘
事故当時、現場の制限速度は時速50キロだったが、水谷被告は時速約82キロで走行していた。
これまでの公判で検察側は、水谷被告がスマートフォンで短い料理動画を見たり、その画面を保存しようとしたりして、事故直前の約13秒間、前方から視線を外していたと指摘した。
また、運転中にスマートフォンを見る行為が常習化していたとして、過失の重大性を訴えた。
水谷被告は起訴内容を認め、最終意見陳述では遺族に謝罪していた。
検察側は、6人が死亡した結果の重大性などを踏まえ、拘禁刑7年を求刑した。
津地裁「過失は重大」 最も重い部類と判断
10月20日の判決で、津地裁の出口博章裁判官は、スマートフォンを見ながらの運転について、事故の危険を顧みない軽率な行為だったと指摘した。
さらに、被害者側に落ち度はなく、失われた命や遺族の苦痛は極めて重大だと判断。水谷被告の過失について、過去の同種事案と比較しても最も重い部類に位置付けられると評価した。
そのうえで、自動車運転処罰法第5条が定める上限の拘禁刑7年を言い渡した。
同条では、過失運転致死傷罪の法定刑を7年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金としている。
今回の判決は、同罪で言い渡すことのできる拘禁刑の最も重い刑期となった。
遺族「7年という判決が、良かったと思える数字ではない」
判決後、亡くなった6人の遺族が会見を開いた。
松本さん一家の遺族は「やっぱり腑に落ちない」と話し、7年という判決を納得できる数字とは受け止められない心情を明かした。
髙峰さんの遺族も、法定刑の上限となったことは当然だと受け止める一方、亡くなった一人一人に対する被告の向き合い方について、思いを語った。
法定刑の上限が言い渡されたことと、遺族がその量刑を受け入れられるかは別の問題として残っている。
水谷被告の弁護人は、控訴について「検討している」と説明しており、判決は確定していない。
編集部まとめ
津地裁は、スマートフォンを見ながらの運転で6人を死亡させた水谷被告の過失を極めて重大と判断し、拘禁刑7年を言い渡した。
法定刑の上限となる判決にも、遺族からは納得できないとの声が上がった。
週刊TAKAPI 編集部
特記事項
今回適用された罪名は、自動車運転処罰法第5条の過失運転致死であり、危険運転致死ではない。
拘禁刑7年は同罪の法定刑の上限を示す。事故で6人が亡くなったことによって、被害者1人につき7年の刑期が加算されるという意味ではない。
弁護側は控訴を検討しているが、10月20日の判決報道時点で控訴が決まったとの情報は確認されていない。
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