【独自】名市大「蒲郡校」、ソフィアと2年併存へ 2028年度に本格移行、教員・実習・150人通学の計画明らかに

名古屋市立大学「蒲郡校」と蒲郡市立ソフィア看護専門学校が2027、28年度に同一施設で並行運営されることを伝える週刊TAKAPI独自取材記事のアイキャッチ

2027年4月に開設する名古屋市立大学医学部保健医療学科看護学専攻「蒲郡校」と、2029年3月に閉校する蒲郡市立ソフィア看護専門学校。専門学校から4年制大学へ切り替わるまでの2年間を、どのように運営するのか。

週刊TAKAPIが蒲郡校の開設準備担当者に取材したところ、2027年度と2028年度は両校が現在の施設を使用し、それぞれの教育課程を維持することが分かった。

講義室は大学と専門学校で分ける。蒲郡市民病院での実習についても、双方の学生が使用する場所を分ける方針だ。

一方、名市大の学生は1年次から毎日蒲郡へ通うわけではない。1年次は共通教育を中心に名古屋で学び、蒲郡を主な教育拠点として使うのは2年次以降となる。

このため、ソフィアの学生と名市大の学生が蒲郡で本格的に重なるのは、大学第1期生が2年生となる2028年度が中心となる見通しだ。

移行期には、ソフィア側の教員確保、実習先の維持、学生の交通手段という課題も残る。学年がそろえば、蒲郡側で学ぶ大学生は最大150人規模となる。

文部科学省の承認で2027年4月の開設は正式に進むことになったが、専門学校から大学への切り替えそのものは、その後2年間続く。

2027年度は大学開設、2029年度に完全移行

ソフィアは2026年度入学生を最後に募集を終え、2029年3月に閉校する。

名市大蒲郡校は、その2年前となる2027年4月に開設する。

担当者によると、2027年度と2028年度はソフィアが存続するため、現在の施設には専門学校と大学の双方が置かれる。ソフィア閉校後の2029年度からは、名市大が施設を全面的に使用する。

ただし、制度上2校が存在することと、学生が毎日同じ校舎で過ごすことは同じではない。

名市大では1年次に共通教育が多く、蒲郡校の学生も主に名古屋で学ぶ。一部の看護実習などで蒲郡市民病院を利用するものの、蒲郡での専門教育が本格化するのは2年次からだ。

2027年度は大学第1期生が1年生。翌2028年度には2年生となり、蒲郡で学ぶ時間が増える。

同じ時期、ソフィアには2026年度に入学した最後の学生が3年生として残る。

専門学校生と大学生が蒲郡の施設を本格的に共有する2028年度が、移行運営の中心となる。

講義室も実習も分離 教育課程は混ぜない

同じ施設を使う2校だが、教育課程を一体化する計画ではない。

ソフィアは3年制専門学校として従来の教育課程を最後まで続ける。名市大の学生は4年制大学のカリキュラムで学ぶ。

担当者の説明では、授業を行う講義室をそれぞれ分ける。

蒲郡市民病院での実習についても、大学生と専門学校生が同じ場所に集中しないよう、実習する場所を分けて運営する。

同じ建物に二つの学校が置かれても、学生を一つの授業へまとめるのではなく、それぞれの教育課程を維持する形となる。

ソフィアの教員が減った場合は名市大側が補完

移行期間で、市と大学が想定している問題の一つがソフィアの教員確保だ。

閉校が決まっている学校で、現在の教員全員が2029年3月まで勤務を続けるとは限らない。

担当者は、閉校までの間に退職する教員が出て授業担当に空きが生じることも想定している。

その場合には、名市大の教員が非常勤講師としてソフィアの授業を担当する。

さらに必要な科目などについては、蒲郡市民病院の医師へ教育への協力を求めることも考えているという。

大学を予定通り立ち上げることと、ソフィアの学生が卒業まで教育を受けられる状態を維持すること。その双方を同時に進めることになる。

現在のソフィア教員が、そのまま全員名市大の教員になるわけでもない。

担当者によると、大学教員には学位など大学側が求める要件がある。このため、専門学校で教えていることだけを理由に、そのまま大学教員へ移る仕組みではない。

取材では、看護師資格を持つ教員について、市民病院など別の職場で資格を生かす可能性にも話が及んだ。ただ、この部分について担当者は人事上の話であり、自身の個人的な見通しを含むとしている。

現時点で具体的な配置先が決まっているわけではない。

3年制と4年制、それぞれの教育をどうつなぐ

担当者は取材の中で、3年制専門学校と4年制大学では、看護師になるまでの教育にも特徴の違いがあるとの見方を示した。

大学ではレポートや研究などに取り組む機会が多い。

一方、専門学校では3年間に実習を集中的に組み込むため、卒業段階で医療現場での経験を多く積んでいる学生もいるという。

どちらの教育課程からでも、資格取得後は看護師として医療現場に入る。

蒲郡市民病院でも、現在から専門学校卒と大学卒の双方を採用している。

担当者は、採用後の院内教育を含め、教育背景の異なる人材を現場でどう育てていくかも重要になるとの考えを示した。

専門学校を大学へ置き換えれば、それだけで人材育成が完了するという考えではない。

実習先は文科省申請上確保 開設後も毎年確認

看護系大学では、学生を受け入れる実習先の確保が欠かせない。

担当者は、文部科学省への申請で必要となった実習施設について、すでに確保できていると説明した。

一方、実習先には年度ごとの受け入れ可能人数がある。

大学開設時に受け入れ先をそろえれば、そのまま4年間固定できるわけではない。

開設後も教員が各施設と連絡を取り、受け入れ可能人数や教育環境に問題がないかを毎年度確認する。

実習は蒲郡市内を中心に三河地域で組む。

精神科や地域・在宅看護など、蒲郡市内だけでは完結しない領域については、市外の医療機関や訪問看護ステーションなども利用する予定だ。

学生の移動も一律ではない。

実習内容によっては、蒲郡校へ集合するのではなく、自宅から直接実習先へ向かい、終了後もそのまま帰宅する運用を想定している。

2~4年生で最大150人 交通手段はまだ協議中

蒲郡校の学生は1学年50人。

将来、2年生、3年生、4年生の3学年がそろえば、蒲郡を主な教育拠点とする学生は最大150人規模となる。

その人数をどう通学させるかは、まだ決まっていない。

取材では、学校周辺のバスの本数が限られていることや、タクシーも常時確保できるとは限らないことが話題になった。

担当者も、150人規模の学生を現在の公共交通だけで一斉に動かすことには難しさがあるとの認識を示した。

通常の通学方法については、現在も協議中だ。

名古屋側では自動車通学を認めていないが、蒲郡校では地域の交通事情を踏まえ、車通学を認める方向で検討している。

一方、実習時には現地への直行・直帰も組み合わせる。

2027年4月の開設時点で150人になるわけではないが、学年進行に合わせて交通環境を整える必要がある。

名市大の学生も蒲郡市民病院を見学

取材では、現在名市大で学ぶ学生が蒲郡市民病院を見学に訪れているとの説明もあった。

担当者によれば、病院を実際に見た学生からは好意的な反応もあり、将来の就職につながる可能性に期待しているという。

ただし、取材中に話題になった具体的な人数については、採用が決まった学生数として示されたものではない。

このため週刊TAKAPIでは、現段階で採用予定人数とは扱わない。

SNSは本誌から問題提起 先方は倫理教育に言及

学生教育については、SNSの情報管理も取材した。

このテーマは週刊TAKAPI側から提示した。

本誌がこれまで確認した看護学生や医療現場でのSNS投稿事例を伝え、実習先や病院内で知った情報を外部へ投稿する危険性について問題提起した。

これに対し担当者は、医療職として必要となる倫理面の教育に取り組んでいると説明した。

今回の取材で、蒲郡校独自の新たなSNS規則が決定していることを確認したわけではない。

SNSについては、本誌が具体的な事例を示したうえで問題を提起し、担当者が現在の教育について説明したという経緯になる。

生成AIは先方から「ChatGPT対策」

生成AIについては、SNSとは発言の流れが異なる。

SNSをめぐるやり取りの後、担当者側から「ChatGPT対策」の話が出た。

学生がレポートや論文を書く際に生成AIを利用することを、大学側でも現実の教育課題として捉えているという。

担当者によれば、教員側でも生成AIへの対応を検討しており、取材前日にもこの問題について話し合っていた。

議論されているのは、単純に「使ったか、使っていないか」だけではない。

学生自身が何を調べ、生成AIへ何を入力し、その回答をどのように扱い、最終的なレポートへ反映したのか。そうした利用過程も含めて確認する方法について話が進んでいるという。

生成AIとのやり取りの履歴を、レポートと合わせて確認する方法も一つの考え方として出ている。

ただし、蒲郡校での統一した生成AI利用規則がすでに決まっているという意味ではない。

教員側も、新しい教育環境への対応方法を検討している段階だ。

2029年春、専門学校から大学への移行完了

ソフィアは2029年3月に閉校する。

2029年度から、現在の施設は名市大が全面的に使用する。

それまでに進めるのは、新しい大学の立ち上げだけではない。

ソフィアに残る学生の教育を最後まで続け、教員が不足すれば補い、大学側の実習先を毎年確保する。

名市大の学生が増えれば、交通手段も整えなければならない。

現在のソフィア教員についても、大学教員に求められる条件との違いを踏まえながら、人事上の整理が必要になる。

文部科学省の承認によって2027年4月の大学開設は正式に進む。

だが、専門学校から4年制大学への移行が終わるのは2029年春だ。

蒲郡校は、開設した時点で完成する事業ではない。

2027年度から始まる2年間で、ソフィア最後の学生の教育を守りながら、新しい大学教育をどう定着させるか。

次の焦点は、開設準備から実際の運営へ移る。

週刊TAKAPI 編集部/鈴木・成田

編集部まとめ

名古屋市立大学「蒲郡校」は2027年4月に開設する。一方、蒲郡市立ソフィア看護専門学校は2029年3月まで在校生の教育を続ける。

2027年度と2028年度は同一施設で両校を並行運営する。名市大の学生は1年次を主に名古屋で過ごし、蒲郡での教育は2年次から本格化する。

講義室と病院実習の場所は分ける。ソフィア側で教員不足が生じた場合には、名市大教員を非常勤講師として配置するほか、市民病院医師への協力依頼も想定している。

大学側の実習先は文科省申請上確保済み。将来、2~4年生がそろえば最大150人規模となるため、通学方法については現在も協議が続いている。

特記事項

この記事は、週刊TAKAPIの鈴木、成田による名古屋市立大学「蒲郡校」開設準備担当者への独自取材をもとに構成しています。

講義室、実習場所、教員補完、車通学などは取材時点の計画・検討内容を含み、今後変更される可能性があります。

現在のソフィア教員の将来の勤務先は確定していません。

SNSについては週刊TAKAPI側から具体的な問題を提示し、担当者が倫理教育について説明しています。

生成AIについては担当者側から「ChatGPT対策」の話題が出され、名市大の教員間でも対応を検討しているとの説明がありました。

Qソフィアと名市大蒲郡校は何年間、同じ施設を使いますか?
A2027年度と2028年度の2年間です。2029年度から名市大が施設を全面的に使用する予定です。
Q名市大の学生は1年次から蒲郡で学びますか?
A主な学習拠点は名古屋です。蒲郡での教育が本格化するのは2年次以降です。
Qソフィアで教員が不足した場合はどうしますか?
A名市大教員が非常勤講師として授業を担当するほか、必要に応じて蒲郡市民病院の医師に指導を依頼することも想定しています。
Q実習先は確保されていますか?
A文部科学省への申請に必要な実習先は確保済みと担当者は説明しています。開設後も年度ごとに受け入れ人数や教育環境を確認します。
Q最大150人の通学方法は決まっていますか?
A最終決定していません。公共交通だけでの対応には課題があり、蒲郡校では車通学を認める方向も含めて検討しています。

週刊TAKAPI 編集部/鈴木・成田

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  • 【独自】名市大「蒲郡校」地域就職25人を一つの成功像に 豊川市民病院も連携

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