【独自】名市大「蒲郡校」文科省が承認 市負担は年約2.4億円想定、地域就職「25人」を一つの目安に

文部科学省の承認を受け2027年4月開設へ進む名古屋市立大学医学部保健医療学科看護学専攻「蒲郡校」の週刊TAKAPI独自取材記事アイキャッチ

名古屋市立大学医学部保健医療学科看護学専攻「蒲郡校」について、文部科学省の承認が下りた。

名古屋市立大学医学部事務課は週刊TAKAPIに、「文科省から承認されました」と連絡し、「正式『蒲郡校』オープンします」と伝えた。2027年4月の開設に向け、計画は正式な実施段階へ入る。

蒲郡校は、蒲郡市立ソフィア看護専門学校の施設を活用し、1学年50人を受け入れる。名古屋校も120人から160人へ増員し、看護学専攻全体では1学年210人となる。

週刊TAKAPIは承認前、蒲郡校の開設準備を担う担当者に取材した。

そこで確認したのが、開設後の市負担、教員配置、蒲郡市民病院が必要とする看護師数、そして大学化を何で「成功」とみなすのかという点だ。

担当者は、市の負担について年間約2億4,000万円規模を想定していると説明した。中心は教員人件費になるという。

一方、蒲郡市民病院では、退職者を補いながら看護体制を維持するため、今後も毎年25~30人程度の看護師を確保していく必要があるとの認識を示した。

卒業生の地域就職について正式な就職率目標は設定していないが、担当者は取材で「25人」という数字を挙げた。50人が入学し、卒業、その半数程度が地域の医療現場へ就職する状態を一つの成功像としている。

市負担は年約2.4億円 現行ソフィアと同程度を想定

開設後、蒲郡市はいくら負担するのか。

担当者によると、現在のソフィア看護専門学校には年間でおおむね2億5,000万~2億6,000万円程度の経費がかかっている。

蒲郡校についても、現行の専門学校と大きく変わらない水準を念頭に計算しているという。

週刊TAKAPIが「市の負担は2億4,000万円ぐらいという感じか」と確認すると、担当者はその規模感を認めた。

ただし、約2億4,000万円は2027年度以降の確定予算額ではない。開設準備段階での想定額だ。

負担の中心については、

「基本は人件費になる。教員の人件費」

と説明した。

大学化によって約2.4億円がすべて新たに加わるという意味ではない。現在の専門学校運営にかかる経費から、大学運営へ切り替わっていく形になる。

教員20人規模 19人を蒲郡側へ

教員体制についても具体的な説明があった。

担当者によると、教員は20人規模を想定。そのうち1人を英語など一般教養に関わる教育のため名古屋側に置き、19人を蒲郡側に配置する方向としている。

施設は蒲郡市側が保有し、大学としての教育・運営は名古屋市立大学が担う。

市が施設と財政面を支え、名市大が大学教育を行う形だ。

120人から210人へ 名古屋校も40人増

今回の計画は、蒲郡に50人を新設するだけではない。

名古屋校も120人から160人へ40人増やす。

蒲郡校の50人を合わせると、看護学専攻全体では90人増え、1学年210人となる。

担当者は、その規模について「1校大学を作るぐらい」と表現した。

蒲郡校を50人とした理由についても聞いた。

当初は40人程度という案もあったが、既存施設の教室に何人まで入れることができるかを検討し、50人を受け入れ可能な最大規模と判断したという。

市民病院が必要とする採用人数を単純に逆算して50人にしたわけではない。

市民病院、毎年25~30人程度の確保が必要

大学化の背景には、蒲郡市民病院の看護師確保がある。

担当者は、「今すぐ看護師が足りない」という説明ではなく、毎年一定数が退職する中で、継続的に新しい人材を採用しなければならない問題だと説明した。

以前は看護師の離職が10%程度に達する時期もあり、現在は職場環境の改善などによって8~9%程度まで下がってきたとの認識を示している。

それでも、退職者を補いながら必要な人員を維持するため、今後も年間25~30人程度を採り続ける必要があるという。

「5年どころじゃなく、この蒲郡市民病院がある限りはずっと入れ続けないと」

担当者はそう話した。

蒲郡校は、一度に大量の看護師を供給するための施設ではない。

毎年学生を受け入れ、育成し、地域の医療現場へ送り出す仕組みを継続できるかがポイントになる。

「何人残れば成功か」 答えは25人

週刊TAKAPIは、蒲郡校50人のうち何人が地域に残れば、この事業を成功と考えるのかを尋ねた。

担当者は「25」と答えた。

ただし、地域就職率として正式に設定した数値目標ではない。

担当者は「就職率までは設定していない」とした上で、学生50人が入学し、4年間学び、50人が卒業、その半数程度が地域で就職する状態を一つの成功像として説明した。

卒業生には、蒲郡市民病院や東三河の医療機関へ就職する義務はない。

50人全員を蒲郡市民病院で採用する想定でもない。

実習などを通して地域の医療現場を知ってもらい、その中から蒲郡や東三河を就職先として選ぶ学生を増やしていく考えだ。

修学資金は月5万円へ

地域就職を後押しする制度も見直された。

担当者によると、蒲郡市は9月議会で看護師等修学資金の制度を改正し、月額を4万円から5万円へ引き上げた。

年間では60万円となる。

蒲郡市民病院への就職を希望して申請し、貸与を受けた期間に応じて一定期間勤務するなどの条件を満たせば、返還が免除される仕組みだ。

就職を義務化するのではなく、修学資金と実習を組み合わせて、市民病院を選ぶ学生を増やす。

志願倍率「2倍程度」も一つの目安

50人の定員を設けても、学生が集まらなければ計画は成り立たない。

担当者は、定員が大きく増えるため簡単ではないとしながら、志願倍率2倍程度を維持したいとの考えを示した。

資格取得についても、現在の高い水準を維持したいとしている。

蒲郡校が開設された後に数字として確認できるのは、志願者数、入学者数、定員充足率、卒業者数、看護師国家試験の合格状況、地域就職者数などだ。

最初の卒業生が出るのは開設から4年後になる。

「看護師が足らない状態をなくす」

取材の最後、4、5年後に「大学にしてよかった」と市民へ説明できる状態とは何かを聞いた。

担当者が挙げたのは、蒲郡市民病院で看護師不足が続いていない状態だった。

さらに、事業を見る期間は4、5年だけではないという。

10年、20年という単位で看護人材を確保し、地域医療を維持することが、このプロジェクトの意味だと説明した。

大学化で期待しているのは、看護師の人数だけではない。

大学教員が蒲郡や東三河を研究の場とし、市民病院だけでなく、クリニックや訪問看護など地域の医療現場と関わることで、地域の看護水準を高めていくことも成果の一つとして挙げた。

文科省の承認で、2027年4月の開設は現実の段階に入った。

次に出る数字は、志願者数と入学者数だ。

その4年後には卒業者数と就職先が分かる。

年間約2.4億円とされる市負担についても、正式な予算額が固まれば、実際の支出との比較が可能になる。

蒲郡市が専門学校から大学へ切り替える最大の狙いは、看護人材を地域で継続的に育てる仕組みを維持することにある。

2027年4月、その実行が始まる。

取材・文/週刊TAKAPI 編集部 鈴木・成田

編集部まとめ

名古屋市立大学「蒲郡校」は文部科学省の承認を受け、2027年4月の開設に向けて準備が進む。

週刊TAKAPIの独自取材で、開設後の蒲郡市負担について年間約2億4,000万円規模を想定し、主に教員人件費を充てる考えが明らかになった。

教員は20人規模で、19人を蒲郡側に配置する方向。

蒲郡市民病院では今後も毎年25~30人程度の看護師を継続して確保する必要があるとの認識を示している。

地域就職率の正式なKPIはないが、担当者は50人が入学・卒業し、その半数程度の25人が地域で就職する状態を、人材面での一つの成功像として挙げた。

特記事項

この記事は、名古屋市立大学医学部事務課から週刊TAKAPIに寄せられた文部科学省承認の連絡と、週刊TAKAPIの鈴木、成田による蒲郡校開設準備担当者への独自取材をもとに構成しています。

記事中の「年間約2億4,000万円」は取材時点で示された想定規模で、2027年度以降の確定予算額ではありません。

「25人」は正式に設定・公表された地域就職率KPIではなく、担当者が取材で示した一つの目安です。

蒲郡校卒業生に、蒲郡市民病院や東三河の医療機関への就職義務はありません。

Q名市大蒲郡校はいつ開設されますか?
A2027年4月の開設予定です。名古屋市立大学医学部事務課は週刊TAKAPIに、文部科学省の承認が下りたと連絡しています。
Q蒲郡市の年間負担はいくらですか?
A担当者は取材時点で約2億4,000万円規模を想定していると説明しています。確定した予算額ではありません。
Q蒲郡市民病院では毎年何人の看護師が必要ですか?
A担当者は、退職者の補充などを含め、年間25~30人程度を継続して確保する必要があるとの認識を示しています。
Q「25人が地域就職」は正式な目標ですか?
A正式な地域就職率KPIではありません。担当者が、人材面での一つの成功像として取材中に示した数字です。
Q大学化の成果はいつ分かりますか?
A開設直後は志願者数や定員充足率が最初の数字になります。最初の卒業生が出る4年後以降には、卒業者数、看護師国家試験の合格状況、地域就職者数などから具体的な成果を確認できるようになります。

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