島根県松江市の市立小学校で、児童48人分の個人情報を含む「安定ヨウ素剤の服用確認書」が紛失していたことが、10月22日までに明らかになった。
紛失した書類には、児童や保護者の氏名だけでなく、既往歴や薬の服用状況、原子力災害時に安定ヨウ素剤を服用することへの同意の有無などが記載されていた。
松江市教育委員会は、第三者による不正使用などは確認されていないと説明している。
今回の問題では、児童の健康に関わる情報が所在不明となったことに加え、書類の管理方法が各学校に委ねられていたことも明らかになった。
4年生と5年生、計48人分の書類が所在不明に
紛失が判明したのは、松江市立小学校1校で保管されていた、現在の4年生1クラスと5年生1クラスの児童、合わせて48人分の書類だ。
書類は「安定ヨウ素剤の服用確認書」と呼ばれ、原子力災害が発生した際、学校で児童に安定ヨウ素剤を服用させるための確認に使用される。
掲載資料によると、確認書にはヨウ素や安定ヨウ素剤の成分に対する過敏症の有無などを尋ねる項目が設けられている。
また、保護者が服用に同意するかどうかを選択する欄も設けられていた。
これらは児童の健康状態や医薬品の使用に関わる情報であり、慎重な管理が求められる。
9月末、転入児童の書類を保管する際に発覚
書類は通常、児童が小学校に入学した際に保護者から提出を受け、在学期間中は学校が保管することになっていた。
しかし、今年9月末、今年度転入した児童から提出された書類を職員が校内の保管庫に収納しようとした際、既に保管されているはずの48人分の書類が見当たらないことが判明した。
現時点で、書類がいつ、どのような経緯で紛失したのかは明らかになっていない。
保護者に謝罪、書類の再提出を依頼
学校は10月16日と17日、対象となる児童の保護者に対して経緯を説明し、謝罪した。
そのうえで、紛失した服用確認書の再提出を求めた。
市教委も謝罪し、第三者による不正使用などは確認されていないとしている。
ただし、書類の所在が判明していない以上、外部流出の可能性が完全に否定されたわけではない。
書類管理は各学校任せ 市教委が統一マニュアル策定へ
松江市教育委員会によると、これまで服用確認書の具体的な管理方法は、各学校の判断に委ねられていた。
今回の紛失を受け、市教委は市内の全小中学校と市立高校を対象に、同様の書類が適切に保管されているか確認した。
その結果、ほかに紛失事例は確認されなかったという。
市教委は再発防止策として、書類の保管や管理に関する統一マニュアルを作成する方針を示し、10月22日に開いた臨時校長会で市立学校に対応を伝えた。
児童の健康情報を守る管理体制が問われる
今回の問題で問われるのは、書類を紛失した学校だけの責任ではない。
安定ヨウ素剤の服用確認書は、原子力災害への備えとして児童の健康状態や保護者の意向を確認する重要な書類である。
こうした情報について、教育委員会が統一的な保管基準を設けず、学校ごとの管理に委ねていたことは、検証すべき課題といえる。
また、書類が所在不明になった期間や最後に確認された時期、定期点検の実施状況についても、今後の説明が求められる。
児童の個人情報を守るためには、マニュアルの策定だけでなく、保管責任者の明確化や定期的な点検など、実効性のある再発防止策が必要だ。
週刊TAKAPIは、児童の健康情報を適切に保護する観点から、学校と教育委員会の管理体制を引き続き注視する。
取材・編集:週刊TAKAPI編集部(成田・鈴木)
更新日:2026年10月22日
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