愛知県蒲郡市の蒲郡市立ソフィア看護専門学校で10月29日、最後となる戴灯式が行われ、1年生22人が参加した。学生たちはナイチンゲール像からろうそくに灯火を受け取り、これから本格化する看護の学びに向けて決意を新たにした。同校は2026年度の入学生を最後に募集を停止しており、2029年3月末に閉校する予定となっている。
式典では中西良一校長が、同校からこれまでに814人の卒業生を送り出してきたことに触れ、学生たちを激励した。2027年4月には同校の施設を活用した名古屋市立大学の看護教育拠点が開設される。長年にわたって地域の看護師養成を担ってきた専門学校は、最後の学生たちを送り出すまでの3年間を迎えている。
最後の1年生22人が灯火を受け取る 病院実習を前に決意
10月29日の戴灯式には、2026年度に入学した1年生22人が参加した。学生たちは名前を呼ばれると、一人ずつナイチンゲール像からろうそくに火を移し、最後に全員で誓いの言葉を唱えた。
戴灯式は、看護を学ぶ学生が医療に携わる責任や患者と向き合う姿勢を改めて考える節目の行事だ。今回の式典も、病院での実習を控えた時期に行われた。
中西校長は、三河地域の医療現場で働く卒業生たちの存在に触れ、先輩の歩みを受け継ぐ看護師に成長してほしいとの思いを伝えた。また、上級生を代表してあいさつした3年生は、患者から信頼される看護師を目指してほしいと後輩たちを励ました。
式典に参加した22人は、ソフィア最後の入学生となる学年に所属する。ただし、22人は今回の式典への参加者数であり、2026年度の入学者総数や2029年3月の卒業予定者数として確認された数字ではない。
学校は閉校まで従来の3年制教育課程を継続する予定で、学生たちは授業や病院実習を重ねながら、看護師国家試験に向けて学んでいく。
1971年に前身校が開校 看護師養成の歴史は半世紀以上
蒲郡市の公式資料によると、ソフィア看護専門学校の前身は1971年9月に開校した蒲郡市立高等看護学院だった。1979年4月に蒲郡市立看護専門学校へ名称を変更し、1999年4月には3年制全日制の蒲郡市立ソフィア看護専門学校として新たな教育課程へ移行した。
現在の学校は1学年40人、総定員120人の看護学科を設置し、蒲郡市民病院などを実習施設としている。卒業時には専門士の称号が付与され、看護師国家試験の受験資格を得られる。
今回の式典で中西校長が示した814人は、同校の卒業生として紹介された人数だ。卒業生のなかには三河地域の医療機関で活躍する人もいるが、814人全員が現在も地域で勤務していることを示す統計ではない。
看護師の養成は、学生が資格を取得することだけで完結しない。就職後も医療現場で経験を重ね、地域に定着する人材を継続的に確保することが、病院や地域医療にとって重要となる。
ソフィアは長年、その入口となる看護教育を担ってきた。今回の最後の戴灯式は、単に一つの学校行事が終わるというだけでなく、地域の看護教育が専門学校から大学へ移行していく過程で行われた節目の式典となった。
2027年に名市大蒲郡校が開設 最後の学生の教育は継続
蒲郡市は、ソフィア看護専門学校の施設を活用し、2027年4月に名古屋市立大学医学部保健医療学科看護学専攻の蒲郡校を開設する計画を進めている。
名古屋市立大学医学部事務課は10月21日、週刊TAKAPIに対し、文部科学省による入学定員変更の承認を受けたと説明した。蒲郡校の入学定員は50人で、名古屋校160人と合わせ、看護学専攻全体では1学年210人となる。
一方、ソフィアは2029年3月まで存続し、最後の学生の教育を続ける。両校は2027年度と2028年度の2年間、同じ施設を使って並行運営される計画だ。
週刊TAKAPIが10月21日に報じた独自取材では、大学と専門学校の講義室を分け、蒲郡市民病院での実習についても学生が同じ場所に集中しないよう調整する方針が明らかになっている。
ただし、名市大の蒲郡校に入学する学生は、1年次には主に名古屋で共通教育を受け、2年次以降に蒲郡を主な教育拠点とする。専門学校最後の学生が3年生になる2028年度が、両校の学生による施設利用が本格的に重なる時期となる見通しだ。
大学化だけでなく、最後の学生をどう支えるか
専門学校から大学への移行では、新たな入学定員や教育施設の整備だけでなく、閉校まで在籍する学生の教育環境を維持する必要がある。
本紙の独自取材では、ソフィアの教員が閉校前に退職するなどして授業担当者が不足した場合、名市大の教員が非常勤講師として補うことや、必要に応じて蒲郡市民病院の医師に協力を求めることも想定されていると確認している。
もっとも、これは移行期に教員不足が生じた場合の対応策であり、現時点で具体的な不足が発生したことを意味するものではない。
蒲郡校の大学化をめぐっては、本紙が市の財政負担や地域への看護師定着、2030年春に生じる卒業年次の谷間などを既に検証してきた。これらは新しい看護師養成体制の長期的な課題となる。
一方、今回の戴灯式に参加した学生たちにとっては、2029年春までの授業や実習を計画通りに受け、看護師を目指して学び続けられることが、より身近な問題となる。
1971年の前身校開校から半世紀以上。地域の看護教育を担ってきた学校は、最後の入学生を送り出すまで、もうしばらくその役割を続ける。
今回、22人が受け取った灯火は、ソフィアとして最後の戴灯式を終えたことを示すとともに、学生たちにとっては看護を学ぶ日々の新たな出発点でもある。
編集部まとめ
蒲郡市立ソフィア看護専門学校で10月29日、最後の戴灯式が行われ、1年生22人が参加した。中西良一校長は、これまでに814人の卒業生を送り出してきたことを紹介。2026年度の入学生が最後となり、同校は2029年3月末に閉校する予定だ。2027年4月には名古屋市立大学の蒲郡校が開設され、2年間は両校が同じ施設を使用する。本紙の独自取材で明らかになった移行計画を踏まえると、新しい大学の整備と並行して、最後の学生たちの授業や実習を維持することも重要な課題となる。
特記事項
2026年10月29日の戴灯式については翌30日付の現地報道を基に、蒲郡市の学校概要・募集停止公告、名古屋市立大学の公式資料と照合した。大学への移行計画は週刊TAKAPIの10月21日独自取材および10月25日・28日の検証記事に基づき、今回の式典を本紙が直接取材したものとは区別している。
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週刊TAKAPI編集部/成田
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