豊橋発祥のあんかけスパゲッティ専門店「スパゲッ亭チャオ」が、豊川市の店舗で調理ロボットの運用を始めた。運営する株式会社大木家(本社・豊橋市)は、イオンモール豊川店に炒め調理ロボット「I-Robo 2」を導入し、10月1日から稼働させている。開発元のTechMagic株式会社が11月2日に発表した。
自動化したのは、チャオの味と食感を左右する麺の炒め工程だ。これまで熟練の調理担当者が経験をもとに判断してきた加熱温度や炒め時間などを機械で制御することで、調理品質の安定を目指す。
1965年に豊橋で創業した老舗が、長年培ってきた調理技術を次世代にどう引き継ぐか。その答えの一つとして選んだのが、厨房へのロボット導入だった。
豊橋駅前で創業したチャオ 豊川の直営店で導入
スパゲッ亭チャオは1965年、豊橋駅前の地下街で開業した。1979年には現在の広小路へ本店を移転し、あんかけスパゲッティを代表する地域の飲食店として営業を続けてきた。
今回ロボットを導入したのは、2023年に開業した「スパゲッ亭チャオ イオンモール豊川店」。豊川市白鳥町の商業施設2階にある59席の直営店だ。
チャオの特徴は、熱い鉄板に盛り付けたスパゲッティと、独自のあんかけソースにある。麺の炒め具合や提供時の温度も仕上がりに関わるため、調理には経験が求められてきた。
大木家が課題としていたのは、調理担当者によって仕上がりに差が生じやすいことと、技術を習得するまでに時間がかかることだった。今後の店舗展開を考えるうえでも、一定の品質を保ちながら従業員の負担を軽減する仕組みが必要になっていたという。

加熱・攪拌・鍋洗浄を自動化 ソース作りは人が担当
導入された「I-Robo 2」は、料理ごとに加熱温度、調理時間、鍋の回転速度や方向などを設定できる炒め調理ロボットだ。
調理担当者が登録したレシピに沿って、鍋の加熱と食材の攪拌を自動で行う。調理後には鍋を自動洗浄する機能も備えている。ただし、閉店後の機器清掃や点検まで不要になるわけではない。
今回の導入で重要なのは、厨房のすべてを無人化するものではないという点だ。
従業員は画面の指示に従って食材を投入し、ロボットが麺を炒めている間に、あんかけソース作りや鉄板への盛り付けなど別の工程を進める。
大木家は、麺を炒める技術や料理長らのこだわりを調理設定として登録することで、担当者が変わっても一定の品質を維持できる体制を目指している。
「誰が調理しても一定の品質」 現場責任者が導入効果を説明
大木家のスパゲッ亭チャオ本部マネージャー、竹内繁晴氏は、開発元を通じた発表で、導入店舗では麺の調理について担当者による品質の差を抑えられるようになったと説明している。
また、ロボットの稼働中に従業員が別の仕事を進められるため、効率的な店舗運営につながると評価した。
もっとも、これは運営企業側による導入効果の説明だ。調理時間が何分短縮されたのか、従業員の作業時間がどれほど減ったのか、仕上がりのばらつきが実際にどの程度改善したのかを示す具体的な測定結果は公表されていない。
ロボットの導入費用や維持管理費、投資回収の見通しも明らかになっていない。調理の標準化を進める取り組みとして注目される一方、その経済的な成果については今後の検証が必要になる。

豊橋のチャオJr.閉店とは別 直営店での新しい取り組み
チャオを巡っては、豊橋市藤沢町のMEGAドン・キホーテ豊橋店にある「スパゲッ亭チャオJr.」が11月23日に閉店することも発表されている。
こちらはフランチャイズ店であり、今回ロボットを導入したイオンモール豊川の直営店とは運営形態が異なる。
両店舗の動きに経営上の直接的な関係があるとの説明は確認されていない。
豊橋の一店舗で営業終了が予定される一方、豊川の直営店では調理工程の自動化が始まった。同じブランドでも異なる動きが進んでいることになるが、今回の導入を直ちに店舗再編や人員削減の一環と判断することはできない。
他店舗への展開は未定 まずは豊川店で運用
TechMagicは、当面はスパゲッティメニューを中心に運用し、店舗での使用状況を踏まえて対応するレシピを増やす方針を示している。
大木家も将来の店舗展開を見据え、調理工程の標準化を進めたい考えだ。
ただし、豊橋の本店やアピタ向山店など、ほかの店舗へロボットを導入する具体的な計画は公表されていない。
豊川店で調理品質の安定と従業員の負担軽減が実現すれば、同じ技術を複数店舗へ広げる判断材料となる。今後は調理の仕上がりだけでなく、繁忙時間帯の提供能力や従業員の作業負担に、実際にどのような変化が生じるかが注目される。
編集部まとめ
豊橋で1965年に創業したスパゲッ亭チャオが、豊川市の直営店で調理ロボットの運用を始めた。
今回の取り組みは、人が担ってきた調理をすべて機械に置き換えるものではない。麺を炒める工程を自動化することで、調理品質を安定させ、従業員がほかの仕事に集中できる環境を整えようとしている。
一方、導入費用や労働時間の削減効果など、経営上の成果を判断する数字はまだ示されていない。
老舗の味を維持しながら、熟練者の経験に依存しすぎない厨房をつくれるのか。豊川店で始まった取り組みは、東三河の飲食業界にとっても参考となる事例だ。
特記事項
本記事は2026年11月2日午後2時にTechMagic株式会社が発表した導入事例、スパゲッ亭チャオの公式沿革・店舗情報、I-Robo 2の公式製品仕様を基に作成した。
導入店舗は豊川市のイオンモール豊川店で、稼働開始日は10月1日。11月2日は開発企業による公表日であり、導入初日ではない。
調理品質や作業効率に関する評価は企業側の説明であり、独立した実測検証は行っていない。導入費用、労働時間の削減率、人員配置の変更、他店舗への導入時期についても未確認である。
週刊TAKAPI編集部/黒木
WEEKLY TAKAPI — OFFICIAL CONTACT
TAKAPI LEAKS
その情報が、社会を動かす。
情報提供・取材相談・記事の訂正や削除依頼を
全国から受け付けています。
◆ ご連絡内容は慎重に取り扱います
情報提供・各種お問い合わせ ↗記事の訂正・削除依頼もこちらから

コメント
0件まだコメントはありません。最初のコメントを投稿してみませんか。