京都府木津川市の市立小学校で、給食費や教材費などの学校徴収金について未納者への督促が長年行われず、2012年度以降の累計で約5400万円の資金不足が生じていたことが分かった。
木津川市教育委員会が11月2日に発表した。60代の元事務職員と校長は、不足した支払いを私費で補っていた。補填総額は約4600万円に上ると報じられている。
校長は2024年5月に問題を把握していたが、市教委には報告していなかった。問題が発覚したのは2026年6月で、市立学校給食センターから未払いに関する連絡があったことがきっかけだった。
市教委は過去の会議で、学校ごとの給食費の収納状況を検査していると説明しており、長年の未納が見過ごされた経緯についても検証が必要となる。
2012年度から督促を怠る 元事務職員が約2000万円を補填
市教委によると、元事務職員は2012年度に当該小学校へ着任し、2025年3月の退職まで給食費や教材費などの経理を担当していた。
学校では、保護者の口座から毎月、学校徴収金を引き落とす仕組みだった。しかし、引き落としができなかった家庭への督促などが適切に行われず、外部の業者や給食センターへの支払いが滞る状態が続いていたという。
元事務職員は2021年度から2024年度にかけて、学校の支払いに必要な資金を自らの預金などから補っていた。その額は約2000万円に上る。
市教委の聴取に対し、元事務職員は業務を適切に処理できなかったという趣旨の説明をしている。
経理業務が長期間にわたって特定の職員に集中していたことも、今回の事案で検証すべき問題の一つだ。
校長も約2600万円負担 問題を把握しながら報告せず
校長が学校徴収金の不足を把握したのは2024年5月だった。
しかし、校長は問題を市教委に報告せず、自らの資金を支払いに充てる対応を続けた。
校長は、市教委に対し、問題を大きくしたくなかったことや、学校運営に支障を生じさせたくなかったことを説明しているという。
報道によって補填額には違いがあり、元事務職員の約2000万円と校長の約1700万円を合わせた約3700万円が、市教委への報告なく補填された額とされている。
一方、11月3日の追加報道では、校長の負担額が合計約2600万円、元事務職員と合わせた総額が約4600万円とされた。
追加負担に当たる約900万円の支払い時期については、今回確認できた資料だけでは確定できていない。
約800万円が未払い 校長に残額の支払い求める
問題が発覚したのは2026年6月だった。
市立学校給食センターが、2025年度分の給食費が学校から納付されていないことを市教委に報告。これをきっかけに、長年の不適正な会計処理が明らかになった。
11月3日の報道によると、給食センターへの未払い金などは現在も約800万円残っている。
市教委は、校長に管理監督責任があるとして、引き続き不足分の支払いを求める方針だ。
ただし、ここには整理すべき問題がある。保護者から徴収できていない金額と、校長個人が負担すべきとされる金額が、法律上も同一の債務なのかは明らかになっていない。
管理監督上の責任があることと、校長が未納金を私費で支払う法的義務があることは、必ずしも同じではない。
市教委が校長に支払いを求める具体的な根拠や、元事務職員との責任分担については、現時点で確認できていない。
市教委は2021年に「毎年秋ごろ検査」と説明
今回、木津川市の過去の教育委員会会議録を確認したところ、学校給食費の会計検査について、市教委が以前から一定の確認体制を設けていたことが分かった。
2021年1月28日の教育委員会定例会では、当時の教育長が給食会計の定期検査について質問している。
これに対し、事務局は給食センターの職員と学校教育課の職員が各学校を訪問し、収納状況や未納額を確認していると説明した。
会計全体の検査についても、例年秋ごろに実施し、学校が管理する収納額と給食センターへの送金額、未納額を確認していると述べていた。
今回の問題が起きた学校でも同様の検査が実施されていたのか、実施されていた場合にどのような結果が報告されていたのかは分かっていない。
そのため、市教委が検査を実施していなかったと断定することはできない。
しかし、既存の検査体制が長年の未納や支払い遅延を把握するうえで十分に機能していたのかは、検証が必要な問題だ。
2025年には給食費の公会計化を議論
木津川市では、学校給食費を市の予算に組み込み、自治体が徴収・管理する「公会計化」についても議論が続いていた。
2025年3月19日の教育委員会定例会では、事務局が給食費の現状を私会計であると説明している。
当時の教育長は、公会計化によって会計の透明性を高める必要性を認める一方、学校給食費だけを公会計化しても教材費などの徴収業務は残ると指摘した。
また、市が徴収業務を全面的に引き受けるには、職員の負担増加やシステム構築といった課題があり、実施できていないことを説明していた。
その後、2026年9月29日の教育委員会では、給食費の公会計化に係る費用を市議会の補正予算特別委員会に提案したことが報告された。
ただし、今回の会計問題がこの予算提案にどのような影響を与えたのか、制度変更がいつ実施されるのかは確認できていない。
文部科学省も2026年5月、学校給食費の歳入・歳出を自治体予算に計上する公会計化の必要性を示している。学校徴収金についても、その徴収・管理は基本的に自治体が担うべき業務であるとの考えを示した。
今回の事案は、学校任せの会計管理をどこまで見直すべきかという課題を改めて浮き彫りにしている。
就学援助制度はあるが、利用状況は不明
木津川市には、経済的な理由で給食費や学用品費などの支払いが難しい家庭を# 【京都・木津川】小学校で給食費など5400万円不足 校長ら4600万円を私費補填、長年の会計検査は機能していたのか
京都府木津川市の市立小学校で、給食費や教材費などの未納金に対する督促が長年行われず、2012年度からの累計で約5400万円の資金不足が生じていたことが分かった。木津川市教育委員会が11月2日に発表した。
元事務職員と校長は、不足した学校徴収金を私費で補填していた。その総額は約4600万円に上り、なお約800万円の未払いが残っているという。
さらに、市教委が過去の会議で、学校ごとの給食費の収納額や未納額を毎年検査していると説明していたことも確認された。
長年にわたる不適正な会計処理がなぜ把握されなかったのか。学校内部の管理だけでなく、市教委による監督の実効性も問われる事態となっている。
2012年度から督促せず 元事務職員が約2000万円を補填
市教委によると、問題が起きた小学校では、保護者から給食費や教材費などを毎月、銀行口座からの引き落としで徴収していた。
しかし、口座残高の不足などで徴収できなかった場合に必要となる督促が適切に行われず、学校徴収金の未納が長期間にわたって積み重なっていた。
経理を担当していたのは60代の元事務職員。2012年度に同校へ着任し、2025年3月に退職するまで、主に1人で会計業務を担当していたという。
元事務職員は2021年度から2024年度にかけて、学校の支払いに不足する資金を自らの預金などから補填。その額は約2000万円に上る。
市教委の聴取に対し、元事務職員は業務に行き詰まり、適切に処理できなかったという趣旨の説明をしている。
校長も問題を把握 市教委に報告せず約2600万円を負担
学校の校長が徴収金の不足を把握したのは2024年5月だった。
しかし、校長は市教委に報告せず、自らの資金で不足分を補う対応を取った。
校長は、市教委に対し、問題を大きくしたくなかったことや、学校運営への支障を避けたかったことを説明しているという。
11月2日の公表内容を伝えた報道では、元事務職員が約2000万円、校長が約1700万円、計約3700万円を市教委に報告せず私費で補填していたとされた。
一方、11月3日の追加報道では、校長の負担額は合計約2600万円、元事務職員と合わせた補填総額は約4600万円に上るとされている。
約3700万円と約4600万円は集計対象が異なる数字であり、単純な矛盾ではない。ただし、差額となる約900万円の正確な支払い時期や処理内容については、今回確認できた資料だけでは確定できていない。
今年6月に発覚 なお約800万円の未払い
問題が発覚したのは2026年6月だった。
市立学校給食センターから市教委に、2025年度分の給食費が学校から納付されていないとの連絡があり、長年の不適正な会計処理が明らかになった。
市教委の説明によると、現時点で給食センターへの未払い金などが約800万円残っている。
市教委は校長に管理監督責任があるとして、引き続き不足分の支払いを求める方針だ。
一方、市教委は学校徴収金の私的流用を示す事実は確認されておらず、児童の教育活動にも影響はなかったと説明している。
今回の約5400万円は、長年にわたる学校徴収金の資金不足の累計であり、全額が横領されたり、使途不明になったりしたことを意味するものではない。
市教委は2021年に「毎年秋ごろ検査」と説明
今回の問題で特に検証が必要なのは、市教委による会計管理と監督の実態だ。
木津川市が公開している2021年1月28日の教育委員会会議録では、学校給食費の会計検査について、当時の事務局が説明している。
給食費の未納額は各学校が管理し、学校教育課と給食センターの職員が学校を訪問して収納状況を確認しているという内容だった。
会計全体についても、例年秋ごろに検査を実施し、児童・生徒からの収納額、給食センターへの送金額、未納額を確認していると説明されていた。
市教委が当時説明していた仕組みが、その後も同じように運用されていたのであれば、長年にわたる資金不足をなぜ把握できなかったのかという疑問が生じる。
ただし、今回問題となった学校に対して実際に何年度に検査が行われ、どのような結果が記録されていたのかは確認できていない。
検査そのものが実施されていなかったのか、検査は行われたものの問題を把握できなかったのか。この違いは重要であり、現段階で市教委の検査不履行を断定することはできない。
2025年には給食費の公会計化を議論 課題も認識
木津川市では、給食費の徴収と管理を学校から自治体に移す「公会計化」についても、以前から議論が行われていた。
2025年3月19日の教育委員会会議録では、市教委が学校給食費を私会計として管理している現状を説明している。
当時の教育長は、公会計化によって会計の透明性を高める必要性を認める一方、給食費だけを公会計化しても教材費などの学校徴収金は残ると指摘した。
さらに、市が徴収業務を担う場合には、職員の負担増加や新たなシステム構築が必要となることから、実施に至っていないと説明していた。
つまり、市教委は今回の問題が表面化する以前から、学校が徴収金を管理する仕組みと、公会計化に伴う課題を認識していたことになる。
もっとも、公会計化が実施されていなかったことだけを今回の資金不足の直接原因と断定することはできない。
問題は、私会計であっても必要な督促、入出金の照合、未納額の確認、管理職への報告が適切に行われていたかどうかだ。
校長に残額を請求する根拠は 未納世帯への対応も不明
市教委は、校長に管理監督責任があるとして、残る未払い金の支払いを求めている。
しかし、学校徴収金の未納と、校長個人が負担すべき金銭上の責任は分けて考える必要がある。
保護者から徴収できなかった費用について、校長がどのような法的根拠に基づいて負担することになるのか、元事務職員との責任分担をどう整理するのかは明らかになっていない。
また、未納となっている保護者の人数や、各年度の未納額、現在までに行われた請求の状況についても確認できていない。
市教委によると、通常は未納者を把握して請求を行い、経済的に困窮する世帯には就学援助制度による補助を活用する場合もあるという。
今回、こうした制度がどの程度利用されていたのかについても説明が必要だ。
長年にわたり督促が適切に行われなかった場合、未納金の回収可能性や消滅時効の問題も生じ得る。今後は、誰がどの費用を負担すべきなのかを明確にする必要がある。
編集部まとめ
木津川市の市立小学校で明らかになった約5400万円の資金不足は、元事務職員による未納金の督促不足だけでは説明しきれない問題だ。
校長は2024年に問題を把握しながら市教委に報告せず、私費による補填を続けていた。
さらに、市教委は過去に学校給食費の収納状況を検査する仕組みを説明していた。今回の学校でその仕組みがどのように機能していたかは、今後の重要な検証対象となる。
約800万円の未払いを誰が負担するかという問題に加え、13年以上にわたって不適正な会計処理が続いた経緯を解明することが不可欠だ。
市教委には、各年度の未納額と検査記録、関係者への対応、学校徴収金の管理体制の見直しについて、具体的な説明が求められる。
特記事項
本記事は2026年11月2日の木津川市教育委員会による公表内容に関する報道、11月3日の追加報道、木津川市教育委員会の2021年1月および2025年3月の会議記録を照合して作成した。
市教委の今回の会見資料原本、学校別の会計検査記録、各年度の未納額一覧は確認できていない。
約5400万円、約4600万円、約3700万円、約800万円については、それぞれの集計範囲を区別して記載した。
元事務職員や校長による私的流用は確認されていない。関係者の懲戒処分、校長への請求の法的根拠、未納世帯への対応についても未確認である。
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