JA職員、預かった金に手をつけるな 愛知515万円・大分100万円の着服相次ぐ

農業協同組合、いわゆるJAで、職員による着服・横領が相次いで明らかになった。愛知県のJA愛知東では40代女性職員が支店の現金515万円を着服し、大分県のJAおおいたでは40代女性臨時職員が顧客から預かった自動車共済掛金約100万円を横領していた。

どちらも、職員が顧客や組織から預かった現金を私的に流用した事案だ。理由は「アニメや漫画などの趣味に使ったクレジットカード返済」や「生活費」。だが、理由が何であれ、預かった金に手をつけた時点で、地域金融機関としての信頼は大きく傷つく。

JA愛知東で問題が起きたのは、新城市の作手支店だった。勤務していた40代の女性職員は、おととし6月から約2年にわたり、支店の現金を管理する機械から計515万円を不正に引き出していたという。

発覚のきっかけは、外部監査に必要な資料を準備していた際、伝票が1枚足りないことだった。その後の内部調査で、会計を1人で担当していた女性職員が着服を繰り返していたことが分かった。着服した金は、アニメや漫画など趣味に使ったクレジットカードの返済に充てていたとされる。すでに家族が全額を返済しており、JA愛知東は内部の懲罰委員会で処分を決める方針だ。

一方、大分県では、JAおおいた杵築支店の共済窓口を担当していた40代の女性臨時職員が、自動車共済の掛金を横領していた。4月、契約者から「自動車共済証書が届いていない」と問い合わせがあり、支店が確認したところ、入金処理がされていないことが分かった。

内部調査の結果、今年1月から4月にかけて、同じような手口による横領が20件、総額996,110円にのぼることが確認された。職員は横領を認め、「生活費に困っていた」などと話しているという。JAおおいたは被害者に個別に謝罪し、刑事告訴を含めて厳正に処分する方針を示している。

問題は、金額の大小だけではない。

愛知では、支店の現金管理機から2年にわたり引き出しが繰り返された。大分では、契約者から証書が届かないという連絡があるまで、共済掛金の未処理が表に出なかった。どちらも、窓口や会計の現場で、職員1人の処理に依存しすぎていた疑いが残る。

JAは、地域の農家や高齢者、地元住民にとって、金融、共済、営農、生活相談を担う身近な組織だ。だからこそ、窓口で預けた現金が正しく処理されるという信頼は、組織の根幹である。そこが揺らげば、「またJAか」という不信は一気に広がる。

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趣味に使った。生活費に困っていた。本人にはそれぞれの事情があったのかもしれない。しかし、顧客の金を扱う仕事では、その事情は免罪符にならない。困っているなら相談する。処理が難しいなら上司に報告する。現金を受け取ったら、その日のうちに記録と入金を一致させる。これは特別なコンプライアンスではなく、窓口業務の最低線である。

JA側にも問われることは多い。現金を1人で扱わせていなかったか。伝票と現金の照合は毎日行われていたか。共済掛金の入金状況を別の職員が確認していたか。外部監査や顧客からの問い合わせがなければ気づけない管理体制だったのなら、再発防止策は「職員教育」だけでは足りない。

必要なのは、現金管理の複数人確認、入金処理の即時照合、窓口担当者の定期交代、異常値の早期検知である。人を信じることと、確認を省くことは違う。地域組織ほど、人間関係の近さに甘えた管理が入り込みやすい。そこに現金がある以上、仕組みで止めるしかない。

JA愛知東とJAおおいたは、それぞれ処分や再発防止に取り組むとしている。だが、失われた信頼は、謝罪文だけでは戻らない。

預かった金を、預かったまま正しく処理する。
地域の生活を支える組織なら、まずそこを守らなければならない。

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