R-1グランプリ2009王者の中山功太氏が、ABEMAの番組で明かした“売れっ子先輩芸人からのいじめ”告白が、ネット上で大きな波紋を広げている。
発端となったのは、ABEMAの番組『ナオキマンの都市伝説ワイドショー』での発言だった。中山氏は番組内で、ある先輩芸人から約10年にわたっていじめを受けていたと告白。相手については実名を伏せながらも、現在も売れている人物であり、世間的には好感度の高いイメージを持たれている人物だと説明した。
番組では、相手の実名とみられる部分に音声処理が入り、視聴者には分からない形で放送された。それでも、中山氏が語った内容はかなり具体的だった。
生放送の開始直前、カウントダウン中に仕事を否定するような言葉を浴びせられたという話。別の芸人に対して、CM前に小声で冷たい言葉を投げたという話。スタジオでは驚きの声が上がり、共演者からも「誰なのか」と反応が出る場面があった。
放送後、騒動はSNSに移った。
中山氏は自身のXで、相手の名前について「言わない」という趣旨を示した。一方で、もし相手側が否定するなら証拠を出すという意味の投稿も行っている。さらに、その人物について、悔しさをにじませながらも「面白い人」「才能がある」と認めるような言葉も残した。
ここで話題が一気に広がったのは、元お笑いコンビ「りあるキッズ」の長田融季氏が反応したためだった。
長田氏はX上で、中山氏へのいじめ告白に関連するような投稿を行い、自身も同じ先輩芸人から被害を受けたという趣旨を主張した。報道では、長田氏が「顔を殴られた」「頭に爪楊枝を刺された」などの暴力的なエピソードを投稿したとされている。
長田氏の投稿はその後削除されたとみられるが、削除の理由についても本人が触れたことで、騒動はさらに拡大した。SNSでは、過去の芸人界の上下関係、楽屋ノリ、先輩後輩の力関係まで含めて議論が広がっている。
ネット上では厳しい声が目立つ。
「芸人ノリで済ませる話ではない」
「本当なら完全に暴力では」
「好感度が高い人ほど、こういう話が出た時の衝撃が大きい」
一方で、慎重な意見もある。
「中山氏本人は実名を出していない」
「関係ない芸人まで巻き込むのは危険」
「SNSの特定合戦はやりすぎ」
今回の騒動で重要なのは、現時点で中山氏本人が相手の実名を公表していない点だ。番組内でも名前は伏せられ、本人も「誰かは言わない」という立場を示している。そのため、ネット上で広がる特定情報をそのまま事実として扱うことはできない。
ただ、それでも今回の告白が大きく広がったのは、芸人界で長く続いてきた“いじり”と“いじめ”の線引きが、いま改めて問われているからだ。
昔の芸人界では、厳しい言葉、楽屋での無茶振り、先輩から後輩への強い圧力が「修業」や「ノリ」として語られることもあった。しかし、受けた側が長年苦しみ、今になって具体的に語るなら、それは単なる笑い話では終わらない。
しかも今回は、R-1王者の中山氏だけでなく、長田氏も自身の被害を主張したことで、「一人の感情的な暴露」ではなく、「複数の元芸人が過去を語り始めた騒動」として受け止められている。
一方で、SNS時代ならではの危うさもある。実名が出ていない段階で、ネットユーザーが特徴だけをもとに人物を探し、名前を拡散すれば、無関係の芸人まで巻き込む可能性がある。告発を受け止めることと、犯人探しを加速させることは別の話だ。
今回の件は、芸人界の過去を掘り返すだけの話ではない。
「笑いのため」とされてきた言動が、受け手にとっては傷として残っていた可能性。
「昔は普通だった」で済まされてきた行為が、今のSNSでは一気に問題化する現実。
そして、実名が伏せられた告白が、ネット上で別の炎上を生む危険性。
中山氏は、相手の才能を認めながらも、自分は努力で越えるという姿勢を見せている。怒りだけではなく、芸人としての悔しさと意地がにじむ言葉だった。
それだけに、今回の告白は単なる暴露ネタでは終わらない。
芸人界は、過去の“ノリ”をどこまで見直すのか。
事務所や関係者は、どこまで説明するのか。
そしてSNSは、告発を受け止めながら、特定合戦に走らずにいられるのか。
R-1王者の告白から始まった騒動は、お笑い界の古い慣習と、SNS時代の情報拡散を同時に映し出している。

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