北海道江別市の公園で2024年10月、大学生の長谷知哉さん、当時20歳が集団暴行を受け死亡した事件で、札幌地裁は6月3日、強盗致死などの罪に問われている川村葉音被告ら3人について、「強盗致死罪が成立する」との中間判断を示した。強盗致死罪の法定刑は、死刑または無期懲役。今後の裁判では、3人それぞれの関与の程度や量刑が最大の焦点となる。
起訴内容によると、川村被告ら3人は、別の被告らと共謀し、長谷さんに暴行を加えて死亡させ、現金やクレジットカードなどを奪ったとされる。初公判で3人はいずれも起訴内容を認めており、検察側は、金品を要求した後も暴行が続き、死亡に至ったとして強盗致死罪の成立を主張していた。弁護側は罪名自体は大きく争わず、主犯格とされる人物に従わざるを得なかったなどとして、量刑を争っている。
この事件の凶悪性を強く示したのが、6月1日の公判で行われた司法解剖医の証言だった。医師は、長谷さんの死因について、大量出血による外傷性ショックと説明した。全身の血液量は約4リットルとみられ、そのうち800ccから1200cc程度が暴行によって血管外に出たとの見方を示した。頭部や顔面の出血が最も多く、数十回以上の打撃があった可能性にも触れた。
損傷は頭部や顔面だけにとどまらなかった。右腎臓には一部が裂けるような損傷があり、腰椎にも損傷が確認された。心臓の左心室内側には出血があり、背中、腕、足にも広い範囲で出血や傷があった。さらに、右脇の下、左肩、左胸の横、左太もも後ろなどには、火のついたタバコを押し付けたとみられる円形のやけどが確認された。髪や背中の毛、太ももの内側にも、火であぶられたような痕跡があったと証言されている。
医師は、暴行直後に救急車を呼び、適切な救命処置が行われていれば、高い確率で助かった可能性があるとも述べた。つまり、長谷さんは暴行を受けた後、すぐに119番通報されていれば命をつなげた可能性があった。しかし、公判では、暴行の一部がスマートフォンに記録されていたことも明らかになっている。川村被告は、長谷さんが「もうこれ以上やめてください」と訴えた声を聞いたと認めた一方、「その時は本当に何も考えていません」と答えた。
札幌地裁は3日、証拠や遺体の状況などを踏まえ、金品要求後の暴行によって死亡したと認定できると判断した。今後は、3人の裁判を分離し、それぞれの情状や量刑について審理が続く。判決は6月25日に言い渡される予定だ。
この裁判で問われているのは、誰がどの暴行を加えたかだけではない。誰が止められたのか。誰が119番通報できたのか。長谷さんがまだ生きていた時間に、なぜ救命ではなく暴行と金品奪取が続いたのか。法廷では、その一つ一つが量刑判断の材料となる。
編集部まとめ
江別大学生集団暴行死事件では、札幌地裁が川村葉音被告ら3人について「強盗致死罪が成立する」と中間判断を示した。司法解剖医は、長谷知哉さんの死因を大量出血による外傷性ショックと説明し、最大約1.2リットルの失血、腎臓損傷、心臓内側の出血、全身の傷、やけどの痕跡を証言した。さらに、暴行直後に救急車を呼んでいれば高い確率で助かった可能性があるとも述べた。今後の焦点は、3人それぞれの関与、救命機会を失わせた責任、そして強盗致死罪に対する量刑判断となる。
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この記事の要点Q&A
Q. 江別大学生集団暴行死事件とは何ですか。
A. 2024年10月、北海道江別市の公園で大学生の長谷知哉さん、当時20歳が複数人から暴行を受け死亡した事件です。被告らは強盗致死などの罪に問われています。
Q. 司法解剖医は何を証言しましたか。
A. 長谷さんの死因は大量出血による外傷性ショックで、最大約1.2リットルの失血があったと証言しました。腎臓損傷、心臓内側の出血、全身の傷ややけどの痕跡も示されました。
Q. 救命可能性はあったのですか。
A. 司法解剖医は、暴行直後に救急車を呼び、適切な救命処置が行われていれば、高い確率で助かった可能性があると証言しました。
Q. 動画撮影は何が問題になっていますか。
A. 暴行の一部がスマートフォンに記録されていたことが公判で明らかになっています。救命ではなく撮影が行われていた点は、事件の重さを示す重要な論点です。
Q. 裁判の焦点は何ですか。
A. 2時間を超える暴行、金品要求後の行為、救命機会を失わせた責任、強盗致死罪の成立、被告らの量刑が焦点です。
Q. 判決はいつですか。
A. 判決は2026年6月25日に言い渡される予定です。
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