学校での盗撮対策として、教師の携帯電話の持ち込みを禁止する動きがあることについて、公益財団法人日本AED財団は、子どもの命を守る観点から重大なリスクがあるとして、文部科学省に緊急提言を行いました。
日本AED財団によりますと、教師による盗撮事案が相次いだことを受け、一部の学校などで、教師の携帯電話の持ち込みを制限または禁止する動きが出ているということです。
財団は、盗撮防止策そのものの必要性は認めています。
一方で、心停止などの緊急時には、現場から119番通報し、消防の指示を受けながら救命処置を続ける必要があると指摘しています。
そのため、教師から通信手段を奪うことは、子どもの命を危険にさらすおそれがあるとして、学校現場での通信手段の確保を求めました。
「職員室まで取りに戻る」では遅い
学校現場では、突然の心停止だけでなく、アナフィラキシーショック、事故、災害、不審者対応、熊の出没など、予測できない事態が起こり得ます。
また、今月19日には東京都北区の小学校で火災が発生し、児童らがけがをする事案も起きました。
こうした緊急時には、現場にいる教職員がすぐに119番通報し、状況を伝えながら対応することが重要になります。
日本AED財団は、「1分1秒を争う時に職員室まで取りに帰ってから電話するというのでは遅い」として、危機管理の観点から携帯電話を一律に禁止することに警鐘を鳴らしています。
盗撮防止と危機管理をどう両立するか
今回の提言で問われているのは、盗撮対策をするかしないかではありません。
問題は、盗撮防止のための対策が、別の重大なリスクを生まないかという点です。
学校での盗撮事案は、児童生徒の尊厳と安全を大きく傷つける重大な問題です。
再発防止には、教職員の私物端末の管理、校内での撮影ルール、死角の確認、更衣やトイレ周辺への立ち入り管理、複数人での確認体制などが必要になります。
しかし、その対策として通信手段を一律に取り上げれば、緊急通報や救命処置の遅れにつながる可能性があります。
必要なのは、携帯電話を「持たせるか、持たせないか」の二択ではなく、命を守るための通信手段を確保しながら、不適切な使用を防ぐ仕組みを作ることです。
学校の危機管理体制の見直しも必要
学校には、日常の安全管理と緊急時対応の両方が求められます。
例えば、教職員の携帯電話を緊急連絡用として登録する、校内用の業務端末を整備する、職員がすぐ使える固定電話や内線を増やす、AED設置場所と通報手順を全教職員で確認するなど、現場に合わせた対策が必要です。
また、私物携帯の使用を認める場合でも、児童生徒の撮影禁止、使用場所の制限、管理簿の作成、違反時の処分基準などを明確にすることで、盗撮防止と緊急対応の両立を図ることができます。
学校現場では、盗撮防止という目的だけで制度を作るのではなく、火災、急病、事故、災害なども含めた総合的な危機管理として考える必要があります。
子どもを守るためのルールが、別の場面で子どもを危険にさらしてはならない。
今回の日本AED財団の提言は、学校現場にその視点を問いかけています。
本記事は、日本AED財団の緊急提言および報道内容をもとに構成しています。

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