日本航空(JAL)は5月27日、客室乗務員による飲酒トラブルで広島発羽田行きJL252便が遅延したと発表した。
問題となったのは、5月23日に同便へ乗務予定だった50代のチーフ客室乗務員。乗務前日の5月22日、宿泊先の広島市内のホテルで同僚の30代客室乗務員と飲酒し、社内規定で定める上限を超えていた。
翌23日朝、チーフ客室乗務員は出社前のアルコール検査で呼気1リットルあたり0.23ミリグラムのアルコールを検知した。しかし、会社に報告しなかった。その後、空港到着後の検査でもアルコールが検知され、乗務不可となった。
交代要員の手配に時間がかかり、JL252便は定刻より42分遅れて広島空港を出発した。
JALは27日、国土交通省で会見を開き謝罪。再発防止策として、国内外すべてのステイ先で客室乗務員の飲酒を禁止した。
乗務前日にホテルラウンジで飲酒
JALの説明によると、チーフ客室乗務員は5月22日夕方、宿泊先ホテルのラウンジで同僚の30代客室乗務員と飲酒した。
飲酒量は、ビール300ミリリットルを2杯、白ワイン125ミリリットルを2杯とされる。JALの運航規程では、乗務前の飲酒について時間と量の制限が定められているが、今回の飲酒はその制限を超えていた。
2人は翌23日、広島発羽田行きJL252便に乗務する予定だった。30代の客室乗務員は当日、体調不良を理由に乗務できないと申告し、乗務から外れた。
一方、50代のチーフ客室乗務員は、出社前検査でアルコールを検知したにもかかわらず、会社に報告しなかった。
出社前検査で0.23ミリグラム検知 報告せず空港へ
5月23日午前5時45分ごろ、チーフ客室乗務員は出社前のアルコール検査を行った。
検査では、呼気1リットルあたり0.23ミリグラムのアルコールが検知された。通常であれば、会社に報告し、乗務可否の判断を受ける必要がある。
しかし、本人は報告しなかった。
ホテルロビーでは、同じ便に乗務予定だった他の客室乗務員が、チーフ客室乗務員に検査を行うよう促していた。だが、チーフ客室乗務員は検査を済ませないまま空港行きのバスに乗った。
空港到着後の検査でもアルコールが検知され、会社は乗務不可と判断した。
JL252便は42分遅れで出発
チーフ客室乗務員を乗務から外したことで、JALは交代要員の手配を行った。
その影響で、5月23日の広島発羽田行きJL252便は、定刻午前7時40分から42分遅れの午前8時22分に出発した。羽田到着も定刻より遅れた。
同便には乗客186人が搭乗していた。
今回の問題は、単に乗務前日に飲酒したという話にとどまらない。アルコールを検知しながら会社に報告しなかったこと、同僚が異変を把握しながら止めきれなかったこと、検査情報が会社に即時共有されない仕組みだったことが重なった。
問われる「権威勾配」 同僚は止めきれず
JALの会見では、客室乗務員同士の上下関係も問題として浮上した。
チーフ客室乗務員は50代で、客室の責任者にあたる先任客室乗務員だった。他の客室乗務員は検査を促していたが、空港行きのバスに乗ることを止めるところまでは踏み込めなかった。
JAL側はこの状況について、職位や年齢差によって現場で強く止めにくい関係があったと認めた。
航空現場では、安全に関わる場面で、上位者に対しても必要な指摘ができるかが重要になる。今回の事案では、飲酒そのものだけでなく、周囲が危険を認識しながら強い行動に移れなかった点が問われる。
検査体制にも差 CAの出社前検査はオンライン通知なし
JALの客室乗務員向けアルコール検査は、出社前検査、事前検査、乗務前検査、乗務後検査の流れで行われている。
このうち出社前検査では、客室乗務員の場合、検査結果が会社へオンラインで自動通知される仕組みがなかった。本人が報告しなければ、会社側は検知結果をすぐ把握できない。
一方、パイロットについては、飲酒問題を受けて検査体制が強化されている。
JALはこれまでにもパイロットの飲酒問題で国土交通省から行政指導を受けてきた。今回、客室乗務員でも飲酒トラブルが発生したことで、職種ごとの検査運用や報告体制の差が改めて問われることになった。
JALは全ステイ先でCA飲酒禁止へ
JALは今回の問題を受け、5月27日から国内外すべてのステイ先で客室乗務員の飲酒を禁止した。
パイロットについては、すでにステイ先での飲酒禁止措置が取られていた。今回、その対象が客室乗務員にも広がった形だ。
JALは、当該のチーフ客室乗務員と同僚の30代客室乗務員について、運航規程違反として厳正に対処する方針を示している。
今後の焦点は、個人の処分だけではない。
出社前検査のオンライン通知機能、検査未実施時の対応、同僚が止められなかった現場の上下関係、ステイ先での飲酒禁止措置の実効性が問われる。
航空会社に求められるのは、乗務員一人の自己管理だけではない。
安全に関わる異常を、組織として確実に止める仕組みである。
JALは、繰り返される飲酒問題にどう歯止めをかけるのか。国土交通省の調査と、今後の再発防止策の中身が注目される。
編集部まとめ
JALは5月27日、客室乗務員による飲酒トラブルで広島発羽田行きJL252便が遅延したと発表した。
乗務予定だった50代のチーフ客室乗務員は、前日に同僚と社内規定を超えて飲酒していた。
翌朝の出社前検査でアルコールを検知したが、会社に報告しなかった。
空港到着後の検査でもアルコールが検知され、乗務不可となった。
交代要員の手配により、JL252便は42分遅れて出発した。
同僚の客室乗務員は検査を促していたが、職位や年齢差から強く止めきれなかった。
JALは5月27日から、国内外すべてのステイ先で客室乗務員の飲酒を禁止した。
今後は、検査体制、報告システム、現場の上下関係、再発防止策の実効性が問われる。
この記事の要点Q&A
Q1. JALで何が起きましたか。
JALの50代チーフ客室乗務員が、乗務前日に社内規定を超えて飲酒し、翌朝の検査でアルコールを検知したにもかかわらず会社に報告しませんでした。その結果、広島発羽田行きJL252便が42分遅延しました。
Q2. どの便に影響が出ましたか。
5月23日の広島発羽田行きJL252便です。定刻午前7時40分の出発予定でしたが、42分遅れの午前8時22分に出発しました。
Q3. なぜ問題が大きくなったのですか。
飲酒量が社内規定を超えていたことに加え、出社前検査でアルコールを検知しても会社に報告しなかったこと、周囲が検査を促しても止めきれなかったこと、検査結果が自動通知されない仕組みだったことが重なったためです。
Q4. JALはどのような対応を取りましたか。
JALは5月27日から、国内外すべてのステイ先で客室乗務員の飲酒を禁止しました。また、関係した客室乗務員について運航規程違反として厳正に対処する方針です。

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