ソニー生命保険で、元営業社員を含む営業社員ら4人が、顧客14人からあわせて1億2030万円を不正に受け取っていたことが分かった。投資話や儲け話を持ち掛けて金銭を受け取った事案に加え、顧客から金銭を借り受けた事案も確認された。生命保険会社の営業担当者と顧客の間で起きた金銭トラブルとして、同社は顧客への確認を広げている。
ソニー生命は5月28日、「不正事案の未然防止・早期発見に向けた弊社の取組進捗について」とする資料を公表した。
同社によると、4月24日までに金銭に関する不適切行為が疑われる申し出があった顧客は31人。このうち22人が営業社員または元営業社員に関する申し出で、9人が専属代理店に関する申し出だった。
営業社員に関する申し出については、5月22日時点で18人分の事実確認が完了した。保険料や保険金の詐取、費消流用といった保険業務そのものに関わる金銭不祥事は確認されていないとしている。
一方で、保険業務に関わらない不適切な金銭授受として、営業社員ら4人による事案が確認された。
投資話や儲け話を持ち掛けて金銭を受け取った行為では、元営業社員1人が顧客7人から約1億100万円を受け取っていた。このうち、当初の申し出に含まれていなかった6人から約6300万円を受け取っていたことも、その後の調査で判明した。
また、顧客から金銭を借り受けた行為では、営業社員または元営業社員3人が関与し、顧客7人から約1930万円を受け取っていた。この中にも、当初の申し出に含まれていなかった4人から約1700万円を受け取っていた事案が含まれる。
これらを合わせると、確認された不適切な金銭授受は顧客14人、総額1億2030万円に上る。
さらに、営業社員が社内規程で取り扱いを認められていない投資商品や業者を顧客に紹介していた事案も確認された。こちらでは営業社員が顧客から直接金銭を受け取った事実はないものの、顧客2人が紹介先の業者などに支払った金額は約3150万円だったという。
ソニー生命は、対象となった顧客への対応について「顧客の保護と弊社の社会的責任に鑑み、個々の状況を慎重に検討する」と説明している。弁護士など外部専門家の見解も確認しながら、個別に対応を検討する方針だ。
今回の問題をめぐっては、金融庁が4月30日、ソニー生命に対し、保険業法に基づく報告徴求命令を出している。同社は不正事案への対応や、顧客の契約状況などの確認について、金融庁に報告を求められている。
ソニー生命は現在、専属代理店が担当する約9万人の顧客に対する確認を4月28日から始めている。営業社員が担当する約270万人の顧客に対しても、5月27日からメールでの連絡を開始した。今後は郵送や電話でも確認を進め、全体の確認完了は11月末を見込んでいる。
同社は、営業社員と顧客のやり取りが外から見えにくくなることを防ぐため、本社から顧客へ直接連絡する体制を強化する。2026年10月以降は、営業社員が取り扱える商品や資格情報を顧客に明示する仕組みを見直し、2027年4月以降は、すべての申し込みについて本社から顧客に電話確認を行う予定だ。
生命保険の営業では、担当者が長年にわたって顧客の家計、資産、家族事情に深く関わることがある。その信頼を利用して、保険商品とは関係のない投資話や個人的な金銭貸借が行われた場合、顧客側が断りにくい状況に置かれるおそれがある。
今回の問題は、ソニー生命だけの個別事案にとどまらない。営業担当者と顧客の間で、会社の管理が届きにくい金銭のやり取りが起きていなかったか。生命保険業界全体で、顧客への説明、社内監査、営業担当者の管理体制が改めて問われている。
ソニー生命は、次回の進捗報告を9月中旬をめどに公表するとしている。今後は、未確認の申し出や専属代理店に関する調査結果、被害顧客への補償判断が焦点となる。
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編集部まとめ
ソニー生命では、元営業社員を含む営業社員ら4人が、顧客14人から計1億2030万円を不正に受け取っていたことが確認された。手口は、投資話や儲け話の持ち掛け、顧客からの金銭借り受けだった。保険料や保険金の詐取は確認されていないが、生命保険会社の営業担当者と顧客の間で起きた金銭トラブルとして、金融庁も報告徴求命令を出している。今後は、全顧客確認の結果、被害顧客への対応、本社による監視体制の実効性が問われる。
この記事の要点Q&A
Q. ソニー生命で何が起きたのですか。
A. 元営業社員を含む営業社員ら4人が、顧客14人から計1億2030万円を不正に受け取っていたことが確認されました。投資話や儲け話、個人的な金銭貸借が主な内容です。
Q. 保険料や保険金の詐取は確認されたのですか。
A. ソニー生命は、確認が完了した18人分について、保険料や保険金の詐取、費消流用といった保険業務上の金銭不祥事は確認されていないと説明しています。
Q. 今後の焦点は何ですか。
A. 被害を受けた顧客への補償、専属代理店に関する確認結果、約270万人の顧客確認、本社による営業担当者の管理強化が焦点になります。

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