大雨・浸水・停電に備えるための防災チェックリスト
台風や大雨のニュースを見たとき、多くの人が最初に考えるのは「どの地域に来るのか」「いつ雨が強まるのか」ということです。
もちろん、進路や雨量の確認は大切です。
しかし、本当に重要なのは、台風が近づいてから慌てるのではなく、接近前に何を済ませておくかです。
台風による被害は、強風だけではありません。大雨による土砂災害、低い土地の浸水、河川の増水や氾濫、停電、断水、交通機関の乱れ、通信障害など、生活に直結する影響が一気に広がることがあります。
特に近年は、台風本体が近づく前から、梅雨前線や秋雨前線が刺激されて大雨になるケースもあります。
「台風はまだ遠いから大丈夫」と思っているうちに、すでに雨で地盤が緩み、川の水位が上がっていることがあります。
だからこそ、台風接近前の備えが大切です。
まず確認するのは、自宅周辺の危険度
台風が近づく前に最初に確認したいのは、自宅や職場、学校の周辺がどのような災害に弱い場所なのかです。
確認すべきポイントは、主に次の4つです。
・土砂災害の危険がある場所か
・洪水や河川氾濫の浸水想定区域に入っているか
・低い土地や地下施設に近いか
・避難場所まで安全に移動できるか
国土交通省のハザードマップポータルサイトでは、自分の地域でどのような災害が起こりうるかを調べることができます。国土地理院も、災害リスク情報を地図に重ねて表示できる「重ねるハザードマップ」や、市町村が作成したハザードマップを閲覧できる「わがまちハザードマップ」を公開しています。
ハザードマップを見るときは、「自宅が色付きの区域に入っているか」だけでなく、「避難所までの道が浸水しないか」「夜でも安全に移動できるか」まで確認することが大切です。
避難所そのものは安全でも、途中の道路が冠水したり、川沿いを通ったりする場合があります。
気象情報は「雨量」だけで見ない
台風情報では、中心気圧、最大風速、進路予想、雨量などが注目されます。
ただし、大雨災害では「何ミリ降るか」だけでなく、「どこで危険度が高まっているか」を見る必要があります。
気象庁の「キキクル」は、土砂災害、浸水害、洪水災害の危険度の高まりを地図上で確認できる情報です。大雨警報や洪水警報などが出たときに、どこで危険が高まっているのかを面的に確認できます。(気象庁)
洪水キキクルでは、危険度の色分けによって避難行動の確認や危険な場所から離れる判断につなげることができます。気象庁は、上流で降った大雨が時間をかけて下流に影響することにも注意を呼びかけています。(気象庁)
台風接近時は、雨雲レーダーだけを見て「今は降っていないから大丈夫」と判断しないことが重要です。
上流の雨、山沿いの雨、これまでに降った雨の量によって、あとから危険が高まることがあります。
台風接近前の防災チェックリスト
台風が近づく前に、最低限確認したいことがあります。
まず、スマートフォンを充電しておきます。モバイルバッテリーも満充電にしておくと安心です。停電が起きると、情報収集や連絡が難しくなります。
次に、飲料水と食料を確認します。首相官邸の防災情報では、備蓄の例として飲料水は1人1日3リットルを目安に3日分、非常食も3日分を用意することが示されています。(首相官邸ホームページ)
懐中電灯、乾電池、携帯ラジオ、常備薬、救急用品、現金、身分証、保険証のコピー、タオル、着替え、雨具、携帯トイレも確認しておきたいものです。
内閣府の防災情報でも、非常持ち出し袋として、水、非常食、医薬品、携帯トイレ、マスク、着替えなどの備えが紹介されています。(防災科学技術研究所)
家の外も確認が必要です。
ベランダや庭にある植木鉢、物干し竿、自転車、看板、ゴミ箱などは、強風で飛ばされるおそれがあります。飛ばされそうなものは屋内に入れるか、固定してください。
東京消防庁は、台風・大雨への事前の備えとして、窓や雨戸をしっかり閉めること、側溝や排水口を掃除して水はけを良くすること、風で飛ばされそうな物を固定または屋内へ移すこと、断水に備えて水を確保することなどを挙げています。(東京都交通局辞書)
排水口や側溝に落ち葉やゴミが詰まっていると、短時間の大雨でも水があふれやすくなります。
マンションやアパートでは、ベランダの排水口も確認しておくと安心です。
停電・断水に備える
台風では、強風や倒木、飛来物によって停電が起きることがあります。
停電に備えて、懐中電灯やランタンを使える状態にしておきましょう。ろうそくは火災の危険があるため、できるだけ電池式の照明を使う方が安全です。
冷蔵庫は、停電時に開閉を減らすことで冷気を保ちやすくなります。保冷剤やペットボトルの水を凍らせておくと、保冷にも生活用水にも役立ちます。
断水に備える場合は、浴槽に水をためておく方法もあります。ただし、小さな子どもがいる家庭では、転落事故を防ぐため、浴室の扉を閉めるなど安全管理も必要です。
トイレ用の水、手洗い用の水、飲料水は別に考えておくと安心です。
避難の判断は「暗くなる前」が基本
避難で大切なのは、危険が目の前に迫ってから動かないことです。
雨や風が強まってからの避難は、道路の冠水、側溝や用水路への転落、飛来物、土砂崩れなどの危険が高まります。
特に夜間は、周囲の状況が見えにくくなります。
高齢者、子ども、障害のある人、妊娠中の人、体調に不安がある人、移動に時間がかかる人がいる家庭では、早めの避難判断が必要です。
「避難」とは、必ずしも指定避難所へ行くことだけではありません。
安全な親戚・知人宅、ホテル、頑丈な建物の上階、自宅内のより安全な部屋へ移動することも、状況によっては避難になります。
ただし、自宅が土砂災害警戒区域や浸水想定区域にある場合は、早めに安全な場所へ移ることを優先してください。
冠水した道路に入らない
大雨のとき、車で移動する人が特に注意すべきなのが冠水道路です。
道路の水深は見た目では分かりにくく、少しの水に見えても、実際には車が動けなくなることがあります。
アンダーパス、地下道、川沿いの道路、低い土地の道路は特に危険です。
冠水した道路には、車でも徒歩でも近づかないことが大切です。
水の流れがある場所では、足を取られる危険があります。マンホールのふたが外れている場合もあり、濁った水では足元の危険が見えません。
過去の台風災害が教えること
過去の台風災害を振り返ると、共通しているのは「雨が弱まったように見えた後も危険が続く」という点です。
台風が通過した直後でも、川の水位は上流からの水でさらに上がることがあります。地盤に水がしみ込んだ後、時間差で土砂災害が起きることもあります。
また、大きな台風では、停電や断水、交通機関の停止が長引くことがあります。
台風の被害は、風が吹いている間だけで終わるわけではありません。
通過後の片付け、道路の冠水、倒木、電線の切断、落下物、土砂崩れなどにも注意が必要です。
屋根や高い場所の確認は、雨風がおさまった後でも危険です。無理に自分で確認せず、必要に応じて専門業者や自治体に相談してください。
SNS情報との付き合い方
災害時にはSNSで多くの情報が流れます。
現地の写真や動画は役立つこともありますが、古い映像、別の地域の映像、誤った情報が拡散されることもあります。
災害時に確認したいのは、気象庁、自治体、消防、警察、交通機関、電力会社などの公式情報です。
SNSで見た情報だけで判断せず、複数の情報源で確認することが大切です。
台風前にやることは「特別なこと」ではない
台風の備えというと、大げさに感じるかもしれません。
しかし、実際にやるべきことは特別なことではありません。
スマートフォンを充電する。
水と食料を確認する。
家の外の飛ばされそうな物を片付ける。
排水口を確認する。
ハザードマップを見る。
避難先を決める。
家族と連絡方法を決める。
どれも、台風が来てからでは遅くなる可能性があります。
大雨や台風は、毎回同じ被害になるわけではありません。進路、前線の位置、地形、川の水位、これまでに降った雨の量によって、危険な場所は変わります。
だからこそ、「自分の地域は大丈夫」と決めつけないことが大切です。
台風接近前の数時間が、被害を減らすための大事な時間になります。
最新の気象情報と自治体の避難情報を確認し、危険を感じる前に早めの備えを進めてください。
本記事は、気象庁、国土交通省、内閣府、首相官邸、東京消防庁などの防災情報を基に構成しています。災害情報や避難情報は地域や状況により変わるため、必ず最新の公式情報を確認してください。

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