兵庫県教育委員会は7月21日、たつの市立小学校の理科実験中に児童2人が手にやけどを負った事故をめぐり、授業を担当した60代の男性教諭を、減給10分の1、1カ月の懲戒処分にしたと発表した。
最初の事故後、校長から実験を中止するよう指導されていたにもかかわらず、教諭は翌日にも同じ実験を実施し、別の児童にも同様のけがを負わせた。県教委は、安全管理の不足に加え、管理職の指導に従わなかった点を重くみている。
ペットボトル内のアルコールに引火
事故が起きたのは4月。小学5年生の理科の授業で、ペットボトル内に雲を発生させる実験を行っていた。
県教委によると、ペットボトル内には少量のアルコールが入っており、線香の煙を近づけた際に火が発生。男子児童の右手に燃え移り、児童は全治約1カ月のⅡ度熱傷を負った。
Ⅱ度熱傷は、皮膚の表面だけでなく、その下の組織にまで損傷が及ぶやけどで、水ぶくれや強い痛みを伴う場合がある。
校長が中止を指導 翌日も同じ実験
最初の事故を受け、校長は男性教諭に対し、同じ実験を中止するよう指導していた。
しかし、教諭は翌日、自ら予備実験を行った上で「問題はない」と判断し、別のクラスでも同様の実験を実施した。
その結果、今度は女子児童の右手にも火が移り、同様のやけどを負わせた。
最初の事故を把握し、管理職から中止を求められていたにもかかわらず再度実施したことから、県教委は単なる不注意ではなく、重大な安全管理上の問題があったと判断した。
「安全への配慮が不足していた」
県教委の調査に対し、男性教諭は「安全への配慮が不足していたことを深く反省している」と説明した。
一方、2度目の実験については、自身で予備実験を行い、危険はないと判断したと話しているという。
県教委は、児童の安全を最優先すべき教育現場で、危険性を十分に検証しないまま実験を行い、さらに校長の指導後も再実施した行為について、「教育公務員としての信用を著しく失墜させた」として、21日付で減給処分を決めた。
児童2人に後遺症なし
やけどを負った児童2人に後遺症はなく、現在は通常の学校生活に戻っているという。
ただ、理科実験ではアルコールや火気を扱う場面もあり、使用量、換気、火元との距離、児童の立ち位置など、複数の安全確認が欠かせない。
今回の事故では、最初のけがを受けて実験を停止する機会があったにもかかわらず、翌日も再び事故が起きた。学校内で危険情報をどのように共有し、管理職の指示を現場で徹底するかが改めて問われている。
全小中学校で安全確認手順を見直しへ
兵庫県教育委員会は今後、県内の小中学校に対し、危険を伴う実験の安全確認手順を見直すよう指導する方針だ。
実験前のリスク確認だけでなく、事故や異常が起きた時点で授業を中止し、原因が確認されるまで再開しない運用の徹底も必要となる。
また、教員個人の判断だけに委ねず、管理職や複数の教員が実験方法を確認する仕組みを整えられるかも、再発防止の焦点となる。
編集部まとめ
今回の事故で特に重いのは、最初の児童がけがをした後、校長から中止を指導されていたにもかかわらず、翌日も同じ実験が行われた点だ。
教諭は予備実験で安全と判断したと説明しているが、一度実際に事故が起きている以上、再開には個人の判断ではなく、原因究明と組織的な安全確認が必要だった。
児童2人に後遺症がなかったことは幸いだが、学校現場には、事故後の対応を含めた実効性のある安全管理体制が求められる。
週刊TAKAPI編集部/一条
特記事項:本記事は、兵庫県教育委員会が公表した懲戒処分の内容と事故経緯を基に構成しています。児童2人の氏名や所属学級など、個人を特定できる情報は公表されていません。けがの程度や回復状況は発表時点の情報であり、男性教諭に対する減給処分は刑事処分ではなく、県教育委員会による行政上の懲戒処分です。
中止指導後の再実施で2人目も負傷 学校実験の安全管理が焦点
兵庫県たつの市の市立小学校で、小学5年生の理科実験中に児童2人が右手にⅡ度熱傷を負った。最初の事故後、校長は担当の60代男性教諭に実験の中止を指導したが、教諭は翌日も同じ実験を行い、別の児童にもやけどを負わせた。兵庫県教育委員会は、安全への配慮不足と管理職の指導に従わなかった点を重くみて、教諭を減給10分の1、1カ月の懲戒処分とした。
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