愛知県新城市の多目的施設「鳳来ゆ~ゆ~ありいな」で起きたウォータースライダー事故をめぐる損害賠償訴訟で、市が被害を受けた男性に2000万円を支払うことで和解が成立した。
事故は2023年7月29日、新城市能登瀬にある同施設の室内プールで発生した。横浜市に住む当時30代の男性がウォータースライダーを利用した際、右手の小指をスライダーと転落防止柵の間に挟み、小指を切断する大けがをした。
男性側は約2100万円の損害賠償を請求
男性は事故後、施設を設置する新城市と指定管理者を相手取り、治療費や後遺障害による損害などとして約2100万円の支払いを求める訴訟を起こしていた。
新城市によると、7月8日、市が男性に2000万円を支払う内容で和解が成立した。
請求額との差は約100万円で、市が支払う和解金は男性側の請求額の大部分を占める。和解によって訴訟は終結する。
市と指定管理者の間で最終的にどのように負担を分けるのか、和解条項に市側の責任認定や謝罪が盛り込まれたのかは明らかにされていない。
小指が柵との隙間に挟まれたまま滑り落ちる
事故当時、男性はウォータースライダーを滑走中、右手の小指をスライダー本体と転落防止柵の隙間に挟んだ。
その状態で滑り落ちたことで、小指を切断したとされている。
事故後に行われた調査では、転落防止柵の高さや設置方法などが確認され、市は利用者が安全に滑るための注意表示が十分ではなかったとの認識を示していた。
ただし、今回の和解によって、市や指定管理者の法的責任がどの範囲まで確定したのかは公表されていない。
ウォータースライダーは現在も利用停止
事故後、施設のウォータースライダーは利用を停止している。
新城市の施設案内でも、事故に伴い当面の間、ウォータースライダーを停止し、再開時には改めて知らせるとしている。2026年5月に更新された案内でも、利用停止の状態が続いている。
市は、今後再開する場合には、利用方法や注意事項の表示を行い、再発防止に努めるとしている。
一方で、表示を追加するだけで十分なのか、柵とスライダーの構造的な安全性をどのように確保するのかについては、再開前に具体的な説明が求められる。
2000万円の和解が示す事故の重さ
今回の事故は、小指を切断するという回復困難な身体被害を伴った。
和解金2000万円は、単なる治療費だけでなく、後遺障害、仕事や日常生活への影響、精神的苦痛などを含めて算定された可能性がある。ただし、和解内容の内訳は公表されていない。
施設を利用する側に注意を求めることは必要だが、公共施設には、通常の利用方法を取った人が重大なけがを負わない設備設計と管理体制が求められる。
事故から約3年。訴訟は和解で終結するが、施設側にとっては、2000万円を支払って終わる問題ではない。
編集部まとめ
男性は、レジャー施設を通常どおり利用する中で小指を切断した。事故後に約2100万円の損害賠償を求め、市が2000万円を支払うことで和解した事実は、被害の深刻さを端的に示している。
今後の焦点は、ウォータースライダーを再開するかどうかだけではない。事故がなぜ起きたのか、柵とスライダーの間に指が入り得る構造をどのように改めるのか、利用者への表示だけで再発を防げるのかを、市が具体的に示せるかにある。
注意書きを増やして利用者側へ責任を寄せるだけでは、再発防止とは言えない。設備の構造、管理方法、監視体制まで含めた検証が必要だ。
公費から2000万円を支払う以上、市には和解額だけでなく、事故原因と安全対策について市民へ説明する責任が残る。
週刊TAKAPI編集部/松本
特記事項:本記事は、新城市が公表した和解内容、施設案内および事故当時の公表情報をもとに構成しています。和解条項の詳細、損害額の内訳、市と指定管理者の負担関係は公表されていません。
東三河の公共施設で問われる安全管理
新城市の「鳳来ゆ~ゆ~ありいな」で男性が右手の小指を切断したウォータースライダー事故をめぐり、市が2000万円を支払うことで和解した。男性は市と指定管理者に約2100万円の損害賠償を求めていた。事故後、スライダーは利用停止が続いており、再開する場合には表示だけでなく、設備の構造や管理方法まで含めた安全対策が問われる。
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