【沖縄県知事選2026】玉城デニー氏とは?3選目指す現職、これまでの県政と掲げる政策

2026年9月13日に投開票される沖縄県知事選。

3期目を目指して立候補を表明しているのが、現職の玉城デニー氏(66)だ。

2018年の初当選から沖縄県政を担い、2022年の知事選でも再選。名護市辺野古で進む米軍普天間飛行場の移設計画への反対姿勢を一貫して示す一方、子ども・若者支援、観光、離島振興、公共交通など幅広い分野で政策を進めてきた。

2026年4月25日、玉城氏は3期目を目指して正式に出馬を表明。「誰一人取り残さない、沖縄らしい優しい社会」「平和で誇りある豊かな沖縄」の実現を掲げた。無所属で出馬し、辺野古新基地建設反対を軸とする「オール沖縄」勢力の支援を受ける。

8月12日に発表した政策は264項目。物価高への対応から鉄軌道、子育て、離島、エネルギー、基地問題まで、多岐にわたる。

では、玉城デニー氏とはどのような政治家なのか。2期8年の県政で何を進め、3期目に何を実現しようとしているのか。

週刊TAKAPIが経歴、政策、実績、そして残された課題を整理する。

玉城デニー氏とは?ラジオパーソナリティーから沖縄県知事へ

玉城デニー氏は1959年10月13日、現在の沖縄県うるま市にあたる旧与那城村生まれ。本名は玉城康裕(やすひろ)

上智社会福祉専門学校を卒業後、福祉関係の仕事などを経験し、1990年代にはラジオパーソナリティーやタレントとして活動した。 (沖縄県ホームページ)

その後、地方政治の世界へ転身する。

2002年に沖縄市議会議員選挙で初当選。2009年には衆議院議員選挙で初当選し、国政では4期を務めた。

そして2018年、当時の翁長雄志知事の死去に伴って行われた沖縄県知事選に出馬し、初当選した。2022年の知事選でも再選を果たし、現在2期目を務めている。 (沖縄県ホームページ)

ラジオパーソナリティー、市議、国会議員、知事という経歴を持つ点は、玉城氏の特徴の一つだ。

2018年に初当選 翁長県政の路線を継承

玉城氏が初めて県知事選に挑んだのは2018年。

翁長雄志前知事が掲げていた「イデオロギーよりアイデンティティー」や「誇りある豊かな沖縄」といった理念を引き継ぎ、名護市辺野古への新基地建設反対を明確に掲げた。

初当選後も政府に辺野古移設計画の見直しを求め、基地問題は玉城県政を象徴するテーマとなっていった。

2022年の県知事選でも、辺野古新基地建設への反対を訴えて再選した。

そして2026年、玉城氏は3期目を目指す。

なぜ3期目を目指すのか

玉城氏は2026年4月25日の出馬会見で、これまでの2期8年間を踏まえ、県民一人ひとりが希望を持てる沖縄を目指す考えを示した。

選挙に向けて掲げている基本理念は、

「誰一人取り残さない、沖縄らしい優しい社会」

そして、

「平和で誇りある、豊かな沖縄」

だ。

今回の選挙では基地問題だけではなく、物価高、所得、交通渋滞、子育て、教育、離島振興など、県民生活に直接関係する政策も前面に押し出している。

2026年の政策は264項目

玉城氏は8月12日、今回の県知事選に向けた政策を正式に発表した。

政策は264項目に及ぶ。

公式政策では大きく、

「経済をさらに強くする」「子ども・若者・くらしを支える」「交通とまちづくりを変える」「島々を元気に」「沖縄の宝を未来へ」「エネルギー革命へ」「平和を世界へ」

という7つの柱を掲げている。

3期目の玉城県政が実現した場合、これらが政策運営の中心となる見通しだ。

最優先課題は物価高 「おきなわゆいまーる基金」構想

玉城氏が今回、最優先課題の一つに位置づけているのが物価高騰対策だ。

目玉政策として打ち出したのが、

「おきなわゆいまーる基金事業」

の創設だ。

既存の社会保障制度では支援対象にならないものの、物価高などによって生活が苦しくなっている人を支えるため、沖縄県独自の基金をつくるとしている。

所得などが基準をわずかに上回ることで公的支援から外れてしまう層などに対し、機動的に支援を届ける仕組みを想定している。

制度の対象者、基金規模、継続的な財源をどう確保するのかは、今後さらに具体的な説明が求められるポイントとなる。

経済政策 「稼ぐ力」と県民所得の向上へ

経済分野では、地域で生まれた利益を県内へ循環させることを重視している。

玉城氏の2026年政策では、地産地消や地元企業への優先発注、中小企業支援、賃金向上の仕組みづくり、観光・農林水産業・先端産業の高付加価値化などを掲げる。 (タマキデンニー)

沖縄経済にとって観光は引き続き重要な産業だ。

玉城氏側は2期目までの実績として、2025年の観光客数が1094万人となり過去最高を更新したことや、観光収入が1兆円を超えたことなどを紹介している。 (タマキデンニー)

一方、沖縄では所得水準や産業の生産性向上が長年の課題となっている。

観光客数や観光収入の増加を、県民の賃金や生活の豊かさへどう結び付けるのか。

3期目を目指す玉城氏には、単なる「観光の成長」だけでなく、県民の手取りや所得がどこまで増えるのかという結果も問われることになる。

子育て政策 高校生までの医療費・学校給食費無償化へ

玉城氏が力を入れてきた分野の一つが、子ども・若者政策だ。

玉城氏側はこれまでの実績として、中学生の学校給食費について県が2分の1相当を支援し、2026年6月時点で27市町村で無償化が実施されていること、住民税非課税世帯の中高生を対象としたバス・モノレール通学費支援、子どもの医療費助成などを挙げている。 (タマキデンニー)

3期目ではさらに、

高校生までの医療費・学校給食費の無償化

を掲げる。

このほか保育士の確保、待機児童ゼロ、病児保育支援、奨学金や学習支援、若者の住宅支援、少人数学級の拡大なども政策に盛り込んだ。 (タマキデンニー)

沖縄県は現在もこどもの生活・経済状況を継続的に調査し、貧困対策を重要政策として位置づけている。 (沖縄県ホームページ)

支援制度を拡充するだけでなく、世代を超えた貧困の連鎖をどこまで改善できるのかが引き続き大きな課題となる。

今回の注目政策「交通とまちづくり」

2026年知事選で、これまで以上に前面へ出てきたのが交通政策だ。

沖縄本島では慢性的な交通渋滞が大きな課題となっている。

玉城氏自身も2026年度の県政運営方針で交通問題を重要課題の筆頭に挙げ、中南部の交通渋滞や公共交通空白地域の解消に取り組む姿勢を示している。 (琉球新報デジタル)

今回の公約では県庁に新たに、

「交通・まちづくり部」

を設置する構想を打ち出した。

鉄軌道をはじめ、モノレール、LRT、BRTなどを組み合わせ、公共交通とまちづくり、基地返還後の跡地利用を一体的に進めるとしている。

南北を結ぶ鉄軌道や地下交通の導入検討、モノレール延伸なども盛り込まれている。

ただし、鉄軌道について玉城氏自身、これまでの取り組みは調査・研究が中心で、具体的な着手については「実績はこれから」と説明している。

そのため今回の選挙では、構想を示すだけではなく、事業費をどう確保するのか、国とどう協議するのか、どの路線をどの時期までに整備するのかといった実現可能性が焦点になる。

離島振興は「県政の最重要課題」

沖縄県は多数の離島を抱えている。

玉城氏は2026年度の県政運営方針で離島振興を「県政の最重要課題」と位置づけた。

3期目の政策では、遠隔医療や巡回診療、渡航費助成、離島住宅、オンライン教育、医師・看護師・教職員などの住宅整備、航空・船舶運賃や物流コストの低減などを掲げる。 (タマキデンニー)

玉城氏側によると、現在は離島住民を対象に航空路13路線、航路24路線で運賃軽減を支援しており、航空運賃では約4割、船賃では約3~7割の負担軽減につながっているとしている。 (タマキデンニー)

人口減少が進む小規模離島で、医療、教育、交通、住宅を維持できるのかも次期県政の重要テーマとなる。

エネルギー政策 再生可能エネルギーを新産業へ

玉城氏は「エネルギー革命」を政策の柱の一つに掲げる。

次世代太陽電池、海洋温度差発電、潮流・波力発電、水素、蓄電池などの研究・導入を進め、脱炭素だけでなく産業振興にもつなげる構想だ。 (タマキデンニー)

玉城氏側は、沖縄県の再生可能エネルギー電源比率について、2019年度の7.5%から2023年度には12.5%まで上昇したことを実績として挙げている。 (タマキデンニー)

島しょ県である沖縄で、エネルギーの安定供給と脱炭素をどう両立するかが課題となる。

最大の争点の一つ「辺野古」 玉城氏は反対を継続

沖縄県知事選を語る上で避けられないのが、米軍普天間飛行場の移設問題だ。

玉城氏は今回も、名護市辺野古への新基地建設反対を明確に掲げている。

8月12日の政策発表では、普天間飛行場の早期運用停止、閉鎖・撤去を政府に求めると表明した。

8月17日に行われた主要立候補予定者による公開討論会でも、

辺野古への移設は普天間飛行場の早期返還につながらないとの考えを示し、反対姿勢を改めて明確にした。

一方、対立候補の古謝玄太氏は辺野古移設を容認しており、辺野古問題では候補者間の立場が大きく分かれている。

今回の知事選でも重要な判断材料の一つとなりそうだ。

自衛隊増強・長距離ミサイル配備にも反対

玉城氏は、政府が進める南西地域の防衛力強化についても慎重な姿勢を取る。

2026年の政策では、これ以上の自衛隊増強や長距離ミサイル配備、日米合同軍事訓練に反対する考えを示した。

2月の県政運営方針でも、自衛隊配備について在沖米軍基地の整理・縮小と合わせて検討するよう政府に求めている。

安全保障環境が変化するなか、県民の安全をどう守りながら基地負担を軽減するのか。

玉城氏の平和・基地政策における大きな論点となる。

那覇軍港の浦添移設は「検証後に判断」

那覇港湾施設、いわゆる那覇軍港の浦添市への移設については、玉城氏は移設計画を検証する姿勢を示している。

8月の政策発表では先行返還と移設計画の検証を進め、検証結果によっては「反対」の判断もあり得るとの考えを示した。

辺野古だけでなく、県内各地の基地返還・移設をどう進めるのかも次期県政を左右する。

玉城県政8年間の実績をどう見るか

玉城氏は今回の選挙で、2期8年間の県政実績を強くアピールしている。

玉城氏側が挙げる主な実績には、観光客数・観光収入の拡大、中学生給食費支援、子どもの医療費助成、非課税世帯の中高生への通学費支援、中小企業向け融資、離島運賃軽減、モノレール3両編成の導入、再生可能エネルギー比率の上昇などがある。 (タマキデンニー)

ただ、選挙における「実績」は、政策への着手と完全な目標達成を同じものとして扱わないことが重要だ。

観光などは全国的な旅行需要や航空路線の回復といった外部要因も影響する。

また、交通渋滞や所得、子ども・若者の生活困窮、離島の人口減少など、なお残る構造的な課題もある。

3期目を問う選挙では、「政策を始めたか」だけではなく、県民生活が実際にどこまで改善したのかという視点での検証も必要になる。

玉城県政の課題 ワシントン事務所問題

一方、2期目後半で玉城県政にとって大きな政治問題となったのが、沖縄県のワシントン事務所問題だ。

県が米国で活動するために設立した法人を巡り、県自身の検証報告では、法人設立について文書による意思決定がなかったことや、株式を公有財産として管理する手続き、職員の営利企業従事許可、経営状況報告書の提出など、複数の法定手続きが行われていなかったことが明らかになった。 (沖縄県ホームページ)

問題を受け、池田竹州副知事は2026年2月に辞表を提出し、責任を取る考えを示した。

さらに沖縄県議会は7月13日、ワシントン事務所問題を巡る玉城知事への問責決議を賛成24、反対21で可決した。玉城氏に対する問責決議の可決は初めてだった。

玉城氏は可決後、県民の信頼回復と行政の透明性確保に努める考えを示している。

基地問題に対する政策の是非とは別に、行政組織を適切に管理できていたのかというガバナンス上の問題は、3期目を判断するうえで検証が必要なテーマだ。

「オール沖縄」の支援を受ける一方、無党派層も意識

玉城氏は無所属で出馬する。

辺野古新基地建設に反対する「オール沖縄」勢力から支援を受ける一方、2026年の選挙では特定政党からの「推薦」という形にこだわらず、幅広い県民からの支援を求める考えを示している。

1月には共産党、立憲民主党、社民党、沖縄社会大衆党などを含む政党・会派が玉城氏に3選出馬を要請していた。

長期政権となる3期目を目指す中で、従来の支持基盤だけでなく無党派層へ支持をどこまで広げられるかも選挙戦の焦点となる。

3期目を問う選挙 有権者は何を見るのか

玉城デニー氏が沖縄県知事に就任してから約8年。

これまで県政の大きな軸となってきた辺野古新基地建設反対は、今回も変わらない。

一方、2026年の政策を見ると、物価高、公共交通、所得、子育て、離島、エネルギーなど、県民生活に直結する分野をより強く前面に押し出している。

特に、

「おきなわゆいまーる基金」「交通・まちづくり部」「高校生までの医療費・学校給食費無償化」「鉄軌道・LRT・BRTなどの公共交通改革」

は、3期目を象徴する政策となりそうだ。

ただし現職だからこそ、新人候補とは異なり、掲げる政策だけではなくこれまで8年間の結果そのものが評価対象になる

観光や子育て支援などで何が前進したのか。

所得や交通、子どもの生活環境など、何がまだ改善できていないのか。

辺野古問題で国との対立が続くなか、今後どのような具体策を取るのか。

そしてワシントン事務所問題で揺らいだ行政への信頼をどう回復するのか。

2026年沖縄県知事選は、玉城県政の8年間を総括すると同時に、沖縄の次の4年間を誰に託すのかを問う選挙となる。

沖縄県知事選2026の日程

沖縄県知事選は8月27日告示、9月13日投開票

8月18日時点では告示前のため、本記事では玉城氏を「立候補予定者」「出馬を表明した」と表記している。正式な候補者は告示日の立候補届け出後に確定する。

週刊TAKAPIでは今後、各立候補予定者の経歴や政策、基地問題、経済政策、子育て、公共交通などについて順次検証していく。


この記事について

本記事は2026年8月18日時点で、沖縄県公式資料、候補者が公表した政策・実績資料、県議会資料、報道機関による公開情報などを基に整理しています。

候補者自身が公表する「実績」については、可能な限りその主体を明記し、政策への着手と目標の完全達成を区別しています。

選挙期間中に政策、推薦・支援関係、立候補状況などが変更された場合は随時更新します。

© 週刊TAKAPI / WEEKLY TAKAPI

リアルタイム
サイト訪問者数
37