埼玉県警は9月10日、担当した交通事故の捜査で、事故関係者への確認を行わないまま虚偽の供述調書を作成したなどとして、上尾警察署交通課に所属していた35歳の男性巡査を停職6カ月の懲戒処分とした。
県警によると、巡査は2023年4月ごろから2025年3月ごろまでの間、交通事故13件について虚偽の供述調書計21通を作成し、上司に提出した疑いがある。
県警は同日、虚偽有印公文書作成・同行使などの疑いで、さいたま地検に書類送検した。巡査は9月10日付で依願退職した。
事故関係者に確認せず調書を作成 署名も自ら記入
県警の説明では、巡査は作成済みや作成途中だった供述調書の内容を、事故関係者に改めて確認しないまま、新たな供述調書に転記するなどしていた。
簡略化された交通事故の捜査書類は、事故発生から一定期間内に検察側へ送る必要があり、期間を過ぎた場合には改めて事故関係者から供述内容を確認し、署名などを得て新たな調書を作成する必要があるという。
しかし巡査は、事故関係者への再確認を行わず、本人名義の署名などを自ら記入して上司へ提出していたとされる。
今回の事案では、対象となった交通事故は13件、虚偽に作成したとされる供述調書は21通とされている。
「サインした覚えがない」 事故関係者の申し立てで発覚
事案が明らかになるきっかけとなったのは2025年7月だった。
県警によると、巡査が担当した交通事故の関係者から検察庁に対し、「調書にサインを記載した覚えがない」という趣旨の申し立てがあった。
県警が調査を進めた結果、複数の事故で、関係者本人への確認を経ない供述調書が作成されていたことが判明したとされる。
公用文書の毀損や診断書偽造も
県警によると、供述調書を巡る問題のほか、公用文書を毀損したり、交通事故当事者に関する病院の診断書を偽造したとされる行為もあった。
県警は一連の行為を調べたうえで停職6カ月の懲戒処分とし、刑事事件としてさいたま地検へ書類送検した。
起訴・不起訴については現時点で確認されていない。
「書類がたまった」 上司交代後の点検厳格化を説明
巡査は県警の調査に対し、上司が代わったことで書類点検が厳しくなり、訂正作業が増えて処理すべき書類がたまったという趣旨の説明をしている。
また、事故から時間が経過したことで関係者に改めて連絡しづらくなり、「安易に調書を作ってしまった」などと説明しているという。
これは巡査本人による説明であり、県警は一連の行為を踏まえて懲戒処分を決定した。
停職6カ月処分 同日付で依願退職
埼玉県警は9月10日、男性巡査を停職6カ月の懲戒処分とした。
斎藤克也首席監察官は、捜査や調査の結果を踏まえて厳正に処分したとし、県民の信頼を裏切る行為だったとして謝罪。職員への指導・教育を徹底し、信頼回復に努めるとしている。
巡査は処分と同じ9月10日付で依願退職した。
編集部まとめ
今回の問題では、交通事故13件について、事故関係者への確認を経ない虚偽の供述調書21通が作成され、上司へ提出されたとされる。
発覚の端緒は、事故関係者による「サインした覚えがない」との申し立てだった。今後は刑事手続きに加え、虚偽の調書が上司へ提出される過程で、どのような書類点検が行われていたのかも確認すべき点となる。
週刊TAKAPI 編集部
特記事項
本記事は9月10日時点で確認された埼玉県警の説明などを基に構成しています。「13件」は対象となった交通事故の件数、「21通」は虚偽に作成したとされる供述調書の数です。書類送検は有罪判決を意味せず、起訴・不起訴は現時点で確認されていません。
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