【全国・ネット詐欺急増】被害額1755億円、半年で45%増 サイバー犯罪の約9割が詐欺

警察庁が公表した2026年上半期(1~6月)のサイバー空間を巡る情勢で、インターネットを利用した詐欺の被害額が1755億円に上ったことが分かった。前年同期から45%増加し、過去最悪のペースとなっている。

上半期に全国の警察が認知したインターネット利用犯罪は3万838件。このうち約9割を詐欺が占めた。SNSやネットバンキングが生活に浸透する一方、犯罪者が被害者と接触し、金銭を移動させる手段として悪用する実態が鮮明になった。


ネット詐欺被害額は半年で1755億円 前年同期より約45%増加

警察庁によると、2026年上半期に確認されたインターネット利用詐欺の被害額は、前年同期比45%増の1755億円だった。

単純計算すると、1日当たりの被害額は約9億7000万円に達する。

ここで注意したいのは、「約9割」という数字が被害額の割合ではなく、上半期に認知されたインターネット利用犯罪3万838件のうち、詐欺が占めた件数割合を示している点だ。

ネットを利用した犯罪は不正アクセスや著作権侵害など多岐にわたるが、警察が把握した事件の大部分を詐欺が占める状況となっている。警察庁の上半期資料⁠では、ネット利用詐欺の被害額が増加傾向にあるとしている。


被害金をネットバンキングで送らせる手口が増加

被害拡大の背景にあるのが、インターネット上で被害者を信用させ、ネットバンキングを使って送金させる手口だ。

従来の特殊詐欺では、現金を手渡させたり、ATMへ誘導したりする方法が目立った。しかし現在は、SNSやメール、メッセージアプリで長期間やり取りを続け、被害者自身に高額な振り込みをさせる事件が増えている。

警察庁がまとめた別の特殊詐欺統計でも、2026年上半期の被害額は1816億2000万円に上り、前年同期から51.7%増加した。特にSNS型投資詐欺は797億9000万円、ニセ警察詐欺は507億9000万円となっている。

なお、特殊詐欺の統計とインターネット利用詐欺の統計は、集計対象や分類が異なる。数字を単純に合算することはできない。


「ニセ社長詐欺」も相次ぐ 企業のメールアドレスを悪用

2026年に入り、企業の代表者や経営幹部になりすます「ニセ社長詐欺」も相次いでいる。

犯人は、企業のウェブサイトなどで公開されているメールアドレスに、社長や役員を装ったメールを送信。「新しいプロジェクトを始める」「機密案件のため、ほかの社員には話さないでほしい」などと説明し、SNSのグループを作らせる。

その後、「事業資金を至急送金してほしい」などと指示し、会社の資金を犯人側の口座へ振り込ませるという。

経営者名や取引関係、会社の組織構成など、ネット上の公開情報を組み合わせてメールを作るため、受信した社員が本物の業務指示だと信じる危険がある。


フィッシング報告は約73万件 偽サイトへの誘導続く

金融機関や通販サイト、宅配事業者などを装ったフィッシングも深刻な状態が続いている。

警察庁によると、2026年上半期のフィッシング報告件数は約73万件。前年同期から減少したものの、依然として極めて高い水準にある。

「不正利用を確認した」「アカウントを停止する」「荷物を配達できなかった」などと不安をあおり、メールやSMSに記載した偽サイトへ誘導。ID、パスワード、クレジットカード番号などを入力させる。

金融庁も、インターネットバンキングの不正送金被害の多くについて、メールやSMS、メッセージツールから偽のログインサイトへ誘導する手口だと注意を呼びかけている。


ランサムウェア被害は上半期最多の123件

企業や行政機関を狙ったサイバー攻撃も拡大している。

警察庁によると、データを暗号化して身代金を要求するランサムウェアの被害は、2026年上半期に123件確認された。統計が残る2020年以降、半期として最多となった。

被害企業の半数超で復旧に1カ月以上を要し、全業務が停止したケースも9件あった。被害額を回答した組織のうち、6割は調査や復旧などの費用が1000万円を超えたとされる。


【編集部の考察】個人の注意だけでは防げない段階に

ネット詐欺対策では「怪しいメールを開かない」「知らない相手へ送金しない」といった注意が繰り返されてきた。

しかし、被害額が半年で1755億円に達した現状を、利用者個人の注意不足だけで説明することは難しい。

犯人側は、実在する企業名や人物名、正規サイトに似せた画面、SNS上の人間関係などを利用している。生成AIで不自然さの少ない文章や画像、音声を作ることも可能になり、「見れば偽物と分かる」という前提そのものが崩れつつある。

企業では、メールやSNSによる送金指示を正式な決裁として扱わず、電話や社内システムなど別の経路で本人確認する仕組みが必要だ。個人についても、金融機関や通信事業者、SNS運営会社を含めた多層的な対策が求められる。


ネット詐欺を防ぐために確認したいこと

突然の送金依頼やアカウント確認通知が届いた場合、メッセージ内のリンクは開かず、公式アプリやブックマークからサービスへアクセスする。

会社の代表者や取引先から急な振り込みを指示された場合は、過去に登録した電話番号などを使い、本人や担当部署へ直接確認することが重要だ。

「秘密にしてほしい」「すぐに手続きしなければならない」「必ず利益が出る」と急がせる言葉が含まれている場合は、詐欺を疑う必要がある。


Q詐欺に気付いて送金した直後は、どこへ連絡すればよいですか?
Aまず振込先の金融機関と自身の利用金融機関へ連絡し、口座の利用停止や組み戻しが可能か確認します。その後、警察相談専用電話「#9110」や最寄りの警察署へ相談してください。
Qネットバンキングの被害は必ず補償されますか?
A一律に補償されるとは限りません。本人の過失の有無、認証情報の管理状況、金融機関への連絡時期などを踏まえ、各金融機関が個別に判断します。
Q会社で「社長からの送金指示」を受けた場合の有効な対策は?
Aメールへの返信だけで確認を完結させず、社内電話や既に登録されている連絡先を使って本人確認することが重要です。高額送金は複数人で承認する仕組みも有効です。
Q被害に遭っていなくても、不審なメールは通報できますか?
Aフィッシング対策協議会や利用しているサービスの通報窓口、警察などへ情報提供できます。メール本文のリンクは開かず、画面や送信元情報を保存してください。

※本記事は公開されている企業情報、報道内容、地域特性、市場動向などをもとに編集部が独自に考察した内容です。企業や関係者が公表している出店理由・経営方針を断定するものではなく、一部に編集部の見解や推測が含まれます。最新かつ正確な情報は、各企業・自治体の公式発表をご確認ください。

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週刊TAKAPI編集部:黒木

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