「推し活」「朝活」「ヌン活」に続き、SNSで注目を集めている謎のキーワードがある。
その名も、「もろ活」。
一見すると何の活動なのか分かりにくいが、その正体は、旬のとうもろこしを使った料理やスイーツを食べ歩き、味わい尽くす活動だ。ラーメン、パンケーキ、トースト、かき氷、和菓子まで、とうもろこしを主役にした期間限定メニューが相次ぎ登場している。
なぜ今、身近な夏野菜が一大グルメトレンドになっているのか。
「もろ活」とは?とうもろこしを味わい尽くす活動
「もろ活」は、「とうもろこし」と「活動」を組み合わせた呼び方として使われている。
決まったルールや主催団体があるわけではない。旬のとうもろこしを食べたり、限定メニューを巡ったり、その写真や感想を「#もろ活」と付けてSNSへ投稿したりする行動を広く指している。
家庭でゆでとうもろこしや炊き込みご飯を作ることも、飲食店のとうもろこし料理を食べ歩くことも「もろ活」と表現できる。
2026年夏にはテレビ番組やグルメ媒体も相次いで取り上げ、SNSだけで使われていた言葉から、一般にも知られる夏のキーワードへと広がった。TBS「ひるおび」でも、行列ができる限定コーングルメとともに紹介されている。
ただし、SNS上の投稿総数など、ブームの規模を示す統一的な統計は確認できない。「大バズり」という表現は、複数のメディアや飲食店が相次いで取り上げている状況を指すものと考えるべきだろう。
ラーメンからパンケーキまで、とうもろこしが主役に
これまで、とうもろこし料理といえば、ゆでとうもろこしや焼きとうもろこし、コーンスープなどが定番だった。
しかし「もろ活」で注目されているのは、とうもろこしを脇役ではなく、料理全体の主役として打ち出したメニューだ。
具体的には、次のような商品が話題になっている。
- とうもろこしを濃厚なスープに仕立てた冷やしラーメン
- ガーリックバター醤油で味付けした厚切りコーントースト
- 生地やソースにとうもろこしを使ったパンケーキ
- 冷製の濃厚とうもろこしうどん
- とうもろこしを使ったかき氷やパフェ
- とうもろこしペーストと白あんを合わせた和菓子
東京の「海老丸らーめん」では、とうもろこしを使った夏季限定の冷やしラーメンが登場。川崎市のベーカリーでは、客によるSNS投稿をきっかけに、とうもろこしを使ったトーストを目当てに来店する客が増えたと報じられている。
身近な野菜でありながら、調理方法によって主食、スープ、スイーツのいずれにも変化できる。この応用範囲の広さが「もろ活」を支えている。
なぜ「もろ活」はSNSで広がったのか
黄色が映える、ひと目で伝わる見た目
とうもろこしの鮮やかな黄色は、写真や短い動画でも存在感がある。
粒が大量に盛られた料理や、黄色一色の濃厚なスープは、画面を見ただけで味や食感を想像しやすい。「写真を撮りたい」「誰かに見せたい」と思わせる見た目が、SNSとの相性を高めている。
甘いものにも、しょっぱいものにも使える
とうもろこしには自然な甘さがあり、バター、しょうゆ、塩、チーズなどとの相性もいい。
食事系ではラーメンやうどん、スイーツ系ではパンケーキやかき氷に使えるため、飲食店が独自メニューを開発しやすい食材でもある。
甘さと塩味を組み合わせた「甘じょっぱい味」は、夏祭りの焼きとうもろこしを連想させ、幅広い世代になじみやすい。
期間限定という希少性
とうもろこしを前面に出した飲食店メニューの多くは、夏季限定や数量限定だ。
「今しか食べられない」「売り切れる前に行きたい」という心理が働き、来店報告や食べ比べ投稿が広がりやすい。限定メニューを複数巡る行動にも「もろ活」という名前が付いたことで、参加しやすいトレンドになった。
「推し活」「ヌン活」に続く言葉の分かりやすさ
近年は、特定の楽しみ方に「活」を付けた言葉が定着している。
好きな人物や作品を応援する「推し活」、ホテルなどでアフタヌーンティーを楽しむ「ヌン活」が代表例だ。「もろ活」も、複雑な説明をしなくても「とうもろこしを楽しむ行動」を短い言葉で共有できる。
個人の食事が「活動」になることで、同じ料理を食べた人同士がハッシュタグを通じてつながる。単なる季節メニューに、参加型イベントのような感覚が加わったことも特徴だ。
モロヘイヤの「モロ活」とは別物
注意したいのが、「モロ活」という表記には、以前からモロヘイヤを食べる活動という別の用例があることだ。
2021年には、賞味期限が迫ったモロヘイヤヌードルを応援購入する動きのなかで「#モロ活」が使われ、「モロ活部」と呼ばれる取り組みも生まれた。
今回話題となっている2026年夏の「もろ活」は、旬のとうもろこしを味わう活動を指す。両者に直接的な関係は確認されておらず、検索や投稿の際には文脈を確認する必要がある。
編集部の考察|「もろ活」は飲食店にも使いやすいトレンド
「もろ活」の面白さは、大手企業が仕掛けた統一キャンペーンというより、飲食店と利用者の投稿が重なり、言葉が後から広がっている点にある。
とうもろこし自体は珍しい食材ではない。それでも、「もろ活」という新しい名前が付くだけで、昔からある焼きとうもろこしやコーンパンも、トレンドの一部として再発見される。
飲食店にとっても、旬の食材を使った既存メニューを「もろ活メニュー」として発信できるため、参入のハードルは低い。都市部の個性的な限定料理だけでなく、農産物直売所、観光農園、道の駅、地域のパン店や菓子店にも広がる可能性がある。
一方で、「SNSで大流行」と紹介する場合には注意も必要だ。明確な投稿件数や検索量が示されていない段階では、テレビや飲食店の宣伝によってブームが増幅されている側面も考えられる。
それでも、旬の農産物に新しい楽しみ方を与え、生産地や地域の店に人を呼び込むきっかけになるのであれば、「もろ活」は一過性の言葉以上の価値を持つかもしれない。
※本記事は公開されている企業情報、報道内容、地域特性、市場動向などをもとに編集部が独自に考察した内容です。企業や関係者が公表している出店理由・経営方針を断定するものではなく、一部に編集部の見解や推測が含まれます。最新かつ正確な情報は、各企業・自治体の公式発表をご確認ください。
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週刊TAKAPI編集部:黒木
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