豊橋市が、農業現場をスタートアップの技術実証の場として活用する「アグリテック共創」の取り組みを全国に発信している。
市は9月10日、東京・虎ノ門のCIC Tokyoで開かれた「Thursday Gathering」で、豊橋市企画のトークセッションを開催した。
登壇したのは、生産者、スタートアップ、豊橋技術科学大学、民間支援企業、そして豊橋市の担当者だ。
そこで語られた一つの事例が興味深い。
豊橋市の「アグリテックコンテスト」に応募した時点では、「まだ製品もできていなかった」というスタートアップが、その後、生産者と接点を持ち、農業現場で技術を試し、製品展開まで進んだというのだ。
単なるスタートアップ支援イベントではない。
豊橋の農業現場は、新しい技術を生み出す「実証の場」になりつつあるのか。
週刊TAKAPIが市の発表資料をもとに、その取り組みを追った。
「農業現場の課題を、技術でどう変える?」
週刊TAKAPIの調べによると、トークセッションは9月10日午後7時から8時まで、東京都港区虎ノ門のCIC Tokyoで開催された。
主催はVenture Café Tokyo。企画には豊橋市と豊橋技術科学大学が入った。
テーマは、
「農業現場の課題を、技術でどう変える?」
だった。
豊橋市が進めるアグリテック共創の取り組みを紹介しながら、実際に実証に取り組む生産者やスタートアップ、大学が、それぞれの立場から農業現場の課題や技術実証について語ったという。
会場とオンラインを合わせ、約50人が参加した。
生産者、大学、スタートアップ、市が同じテーブルに
登壇したのは、中村ナス園代表の中村敏秀氏、株式会社WAKU代表取締役の姫野亮佑氏、豊橋技術科学大学人間中心アグリテック共創センター長・教授の上原一将氏、デロイトトーマツベンチャーサポート株式会社の金子めぐみ氏、豊橋市地域イノベーション推進室の喜多亮介主任。
特徴的なのは、市や大学だけで取り組みを説明するのではなく、実際の生産者と技術を持つスタートアップが参加していることだ。
農業現場が抱える課題と、企業側が持つ技術。
その二つをつなぎ、実際の現場で試すところまで持っていくのが、豊橋市が進めている取り組みの一つだ。
「応募した時点では、まだ製品もできていませんでした」
今回の発表資料で、とりわけ目を引く記述がある。
株式会社WAKUの姫野氏は、市が公表したコメントの中で、アグリテックコンテストに応募した当時について、
「まだ製品もできていませんでした」
と振り返っている。
受賞をきっかけに生産者との接点が生まれ、実際の農業現場で技術を試すことができたという。
さらに市の資料では、その後について「製品展開まで至ることができました」と説明している。
アイデアや技術を募集するだけではなく、農家との接点をつくり、現場で実証し、製品展開につなげる。
少なくとも今回紹介された事例では、その流れが確認できる。
豊橋が全国のスタートアップを呼び込む
今回のトークセッションには、もう一つ目的がある。
豊橋市は、全国のスタートアップから農業現場の課題解決につながる技術やアイデアを募集する「アグリテックコンテスト」への応募拡大を目指している。
つまり、市内だけで企業を探すのではない。
東京のスタートアップコミュニティで豊橋の取り組みを紹介し、全国の企業や技術を豊橋の農業現場につなげようとしているわけだ。
豊橋技術科学大学も加わることで、生産者の経験だけでなく、大学が持つ研究や知見を技術開発・実証に生かすことも想定されている。
