都立学校の施設維持管理・工事発注も担う
TEPROでは、都立学校の施設維持管理に関わる事業も大きな業務の一つとなっている。
小口・緊急修繕工事の発注のほか、学校施設に関する設計、工事発注、施工監理なども担っている。
今回問題となった男性主事の発注案件が、具体的にどの事業に該当するのかは明らかにされていない。
それでも、学校施設に関する公的資金を扱う組織の発注事務の中で、自身の親族企業への委託提案があったと機構自身が認定した点は、処分内容を理解するうえで重要になる。
発覚のきっかけも明らかにされず
今回の公表では、事案がどのように発覚したのかも示されていない。
内部監査で判明したのか。
上司や同僚が異変を把握したのか。
事業者側から機構へ相談があったのか。
内部通報や公益通報が端緒だったのか。
公表資料からは分からない。
発覚の経緯は、機構内のチェック機能が今回どの段階で働いたのかを検証するうえでも重要なポイントとなる。
親族企業が実際に受注したのか
今回の事案で最も大きな未確認事項の一つが、親族企業への委託提案が実際の契約につながったのかという点だ。
仮に提案だけで終わっていた場合と、実際に委託や再委託が行われていた場合では、事案の実態は大きく異なる。
現時点で機構は、実際の受注について公表していない。
対象案件の件数や金額についても明らかにしていない。
また、問題となった発注手続きについて、契約を取り消した、再発注した、契約内容を変更したなどの措置があったのかについても確認できていない。
刑事告発・警察捜査は確認できず
10月3日時点で、今回の問題について警察への刑事告発や被害届、逮捕、書類送検、起訴などが行われたとの公表は確認されていない。
今回発表されたのは、東京都教育支援機構内部の懲戒処分だ。
したがって、男性主事の行為について刑事法上の違法性が認定されたと捉えることはできない。
一方、機構が今後刑事告発を検討するのか、東京都や東京都教育委員会などの関係部署へどの段階で報告したのかについても、現時点では明らかになっていない。
処分だけで終わるのか 問われる内部チェック
今回の発表で、57歳男性主事が懲戒解雇されたという結論は明らかになった。
一方で、その前段にある組織の管理については分からないことが多い。
別会社の代表取締役として無許可で業務に従事していた状態を、機構はいつ把握したのか。
1年以上にわたって繰り返されたという在宅勤務中の服務上の問題は、勤務管理の中でなぜ早期に把握されなかったのか。
工事発注の過程で、自身の親族企業への委託を提案する行為を、決裁や監督の過程でどのようにチェックしていたのか。
今回の処分を個人の問題だけで終わらせず、こうした内部管理の実態まで確認できるかが今後の焦点となる。
編集部まとめ
東京都教育支援機構は、57歳の男性主事を9月30日付で懲戒解雇した。
機構が認定したのは、別会社の代表取締役に就任しながら無許可で機構外の業務に従事したこと、工事発注案件で機構方針に反する事務処理を行い、一部事業者に自身の親族企業への委託を提案したこと、そして1年以上にわたり自宅勤務中の職務専念義務違反などを繰り返したことだ。
一方で、親族企業への委託が実際に成立したのか、対象となった工事の件数や金額はいくらだったのか、男性主事が代表を務めていた会社と機構との取引はあったのか、事案がどのように発覚したのかについては明らかになっていない。
今回の発表で示されたのは「処分結果」と「認定された行為」までだ。
都立学校の施設管理や工事発注を担う政策連携団体として、発注事務における利益相反管理や勤務管理、決裁・監査機能がどのように働いていたのか。
今後は、個人の懲戒処分だけではなく、組織としてどこまで検証し、再発防止策を示すのかも確認する必要がある。
週刊TAKAPI 編集部/成田
特記事項
この記事は2026年10月3日時点で、公益財団法人東京都教育支援機構が10月2日に公表した「職員の懲戒処分について」などの公開資料をもとに構成しています。
男性主事について、機構は「自身の親族企業への委託を提案した」と公表していますが、親族企業が実際に契約・受注したとは発表していません。
対象工事の件数・金額、親族企業との具体的関係、男性が代表を務めていた別会社と機構との取引の有無、事案の発覚経緯についても現時点では公表されていません。
また、男性主事は東京都職員や学校教職員ではなく、公益財団法人東京都教育支援機構の職員です。
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