秋の運動会シーズン、孫の写真をSNSに投稿した祖父母が、ほかの子どもの顔まで加工せずに公開してしまう問題が注目されている。写真から学校名や園名を特定される危険もあり、子どものプライバシーや安全を心配する声が上がっている。
2026年10月15日の報道では、SNSアプリ「Threads(スレッズ)」に投稿された運動会の写真を巡り、無関係な子どもの顔が写り込んでいることや、背景から学校が分かることへの批判が紹介された。
問題は、子どもの写真を撮る行為そのものではない。運動会での撮影が認められていても、その写真を不特定多数が閲覧できる場所に公開してよいとは限らない。親や祖父母が何気なく投稿した一枚が、別の家庭のプライバシーに関わる問題となっている。
Threadsで批判 「ほかの子の顔が写っている」「学校が分かる」
10月の3連休、Threadsには運動会のリレーやダンス、集合写真など、子どもの成長を伝える投稿が相次いだ。
15日の報道によると、こうした投稿に対し、ほかの子どもの顔がモザイクなしで写っていることを指摘する声や、写真から学校が特定できることへの批判が寄せられていた。
投稿者の中には、孫の晴れ姿を紹介する祖父母もいたという。自分の孫を中心に撮影した写真でも、同じ競技に参加する子どもや、周囲で応援する人の姿が写り込むことは珍しくない。
SNSに公開された写真は、投稿者の知人だけが見るとは限らない。公開アカウントであれば不特定多数が閲覧でき、非公開設定でも、閲覧した人による保存や再共有を完全に防ぐことはできない。
元報道では、こうした投稿を巡る批判や炎上の事例が紹介されている。ただし、問題となった投稿の総数や、実際に何件の削除対応が行われたかまでは明らかになっていない。
顔を隠しても学校・園が分かる 政府広報の番組でも注意喚起
子どもの顔を加工すれば、すべての情報を隠せるわけではない。
運動会の写真には、学校名の入った横断幕、校章、名札、校舎の外観など、所属先を推測する手掛かりが写り込むことがある。投稿文に開催地域や行事名が記されていれば、複数の情報から学校や園を絞り込まれる可能性もある。
2026年6月に政府広報オンラインで公開されたラジオ番組「杉浦太陽・松井玲奈 日曜まなびより」でも、出演者がSNSへの写真投稿に伴う個人情報の流出に言及した。
番組では、制服や学校行事、学校が写り込んだ写真によって、子どもの所属先が特定される危険性について注意が呼びかけられている。
これは政府の新たな規制を発表したものではなく、個人情報保護をテーマにした啓発番組での説明だ。
特に、子どもの通学先や居場所を第三者に知られたくない事情のある家庭では、学校を推測できる情報の公開が深刻な問題につながる場合がある。
運動会の「撮影許可」と「SNS公開の許可」は別
学校や園が運動会の撮影を認めていても、撮影した写真をSNSで公開することまで許可しているとは限らない。
東京都練馬区の消費者向け啓発資料「ぷりずむ」第282号では、自分の子どもの運動会写真をSNSに公開したところ、写り込んでいた別の子どもの保護者から肖像権の侵害を指摘される事例を紹介している。
写真を撮影する行為と、第三者にも見える場所へ公開する行為は分けて考える必要がある。
他人の子どもが写った写真を無断で投稿しても、すべてが直ちに違法となるわけではない。しかし、写り方や公開範囲、本人が特定される程度などによっては、肖像権やプライバシーの侵害として民事上の責任が問題になる。
学校や園がSNS投稿を禁止・制限している場合は、そのルールにも従わなければならない。
こども家庭庁も注意喚起 祖父母と共有すべき公開ルール
こども家庭庁などが公表した保護者向けリーフレットでは、子どもの写真や動画をSNSに掲載する際、事前に複数人で確認することや、顔が分からないよう加工することを勧めている。
子どもの成長記録として投稿した画像が、本人や家族の意図しない目的で利用される危険性についても説明している。
運動会の写真を親族間で共有する家庭では、祖父母も含め、公開してよい写真の範囲を事前に決めておくことが重要だ。
具体的には、SNSへの投稿自体を認めるか、公開範囲をどうするか、他人の子どもが写った写真をどのように扱うかを確認する必要がある。
祖父母だから問題が起きるのではない。親でも、親族でも、学校行事で撮影した写真を公開する以上、同じ配慮が求められる。
無断投稿を見つけたら 削除依頼と相談先
自分の子どもが写った写真を無断でSNSに公開された場合、まずは投稿先のURLや投稿日時、投稿内容を記録しておく方法がある。
そのうえで投稿者に削除や公開範囲の変更を求める。直接のやり取りが難しい場合は、SNS運営会社の通報・削除申請機能を利用する方法もある。
学校や園がSNS公開を禁止している場合には、学校側に相談することも考えられる。
法務省によると、インターネット上のプライバシー侵害などについては法務局で相談を受け付けており、人権侵害に該当すると認められた情報について、サイト運営者などに削除を要請する場合がある。
ただし、削除された写真が第三者の端末に保存されている可能性は残る。一度公開した画像を完全に回収することは難しい。
編集部まとめ
運動会の写真を巡る今回の問題は、撮影した本人に悪意がなくても、他人の子どもの顔や通学先につながる情報を公開してしまう危険を浮き彫りにした。
学校行事の写真は家族にとって大切な記録だ。しかし、写り込んだ子どもや保護者が、その写真の公開まで了承しているとは限らない。
撮影を楽しむことと、SNSで公開すること。その違いを家族全員が理解し、学校や園のルールを確認しておくことが必要だ。
週刊TAKAPI 編集部/黒木
特記事項
本記事は、2026年10月15日の運動会写真のSNS投稿問題に関する報道と、政府広報オンライン、東京都練馬区、こども家庭庁、法務省の公表資料を照合して構成した。
Threads上の投稿事例や批判については既報をもとにしており、週刊TAKAPIが個別の投稿者や当該の学校・園に独自取材したものではない。投稿件数や批判の規模についても独自に検証していない。
また、政府広報オンラインで紹介された学校特定のリスクは、2026年6月公開のラジオ番組内での発言であり、政府による新たな行政措置や規制の公表ではない。
写真の無断公開が法的な権利侵害に当たるかどうかは、個別の事情に応じて判断される。
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