【独自】相次ぐ看護師の患者情報SNS投稿問題 日本看護協会が取材に回答「秘密保持は法律上の義務」

取材回答受領:2026年10月16日|記事作成:2026年10月17日|担当記者:鈴木

看護職員による不適切なSNS投稿が相次ぐ中、職能団体が見解

医療機関に勤務する看護職員が、患者に関する画像や動画などをSNSに投稿する問題が相次いでいる。患者のプライバシーを守るべき医療現場で、なぜこうした問題が起きるのか。看護職員個人の責任だけでなく、医療機関による管理や教育のあり方も問われている。

週刊TAKAPIは、こうした問題を受け、公益社団法人日本看護協会に対し、看護職員の守秘義務、SNS投稿に伴う責任、医療機関の監督責任、再発防止策などについて見解を求めた。

同協会から10月16日、文書による回答があった。

回答では、保健師助産師看護師法に定められた守秘義務に言及するとともに、協会が定める「看護職の倫理綱領」「看護業務基準」を挙げ、患者の秘密保持と個人情報保護の重要性を示した。

日本看護協会「業務上知り得た人の秘密を保持」

日本看護協会は回答で、保健師助産師看護師法第42条の2について言及した。

同条は、看護師が業務上知り得た人の秘密を正当な理由なく漏らしてはならない旨を定めている。

さらに協会は、看護職の行動指針として作成している「看護職の倫理綱領」において、看護職は対象となる人々の秘密を保持し、取得した個人情報を適切に取り扱う旨を示していると説明した。

また、看護実践に関する「看護業務基準(2021年改訂版)」についても言及した。

同基準では、看護実践の内容などに関する記録の取り扱いについて、個人情報の保護と守秘義務を遵守し、他者と情報を共有する場合にも適切な判断を行うことを求めている。

患者に関する情報は、医療従事者が業務上アクセスできる情報であっても、自由に利用したり、外部に公開したりできるものではない。

電子カルテや患者動画の投稿 何が問題となるのか

今回、週刊TAKAPIが日本看護協会に質問した項目の一つが、電子カルテ画面などをモザイク処理せずSNSに投稿した場合の看護職員個人の責任だ。

電子カルテには、患者の氏名、病状、服薬情報、診療経過など、極めて機微性の高い情報が含まれる場合がある。

また、氏名などが映っていなくても、患者の容姿や音声、周囲の状況、投稿内容などを組み合わせることで、特定の患者が識別される可能性もある。

こうした情報の投稿は、内容や状況によって守秘義務違反や個人情報保護上の問題となり得る。

ただし、具体的な法的責任や処分の有無は、投稿内容、情報の性質、本人の同意、漏えいの状況などを踏まえて個別に判断される。

今回確認できた協会の回答では、守秘義務と個人情報保護の原則が示されている一方、個別事案における懲戒処分や行政処分の基準についての具体的な説明は確認できない。

看護師個人だけの問題なのか 医療機関の管理体制も焦点

患者情報のSNS投稿問題では、投稿した職員本人の行為だけでなく、医療機関がどのような情報管理や職員教育を実施していたかも重要な論点となる。

週刊TAKAPIは日本看護協会に対し、医療機関側に求められる監督責任や、研修、ガイドライン、チェック体制などの再発防止策についても質問した。

医療機関には、患者情報へのアクセス管理や、職員への適切な教育、問題発生時の調査と対応などが求められる。

特に、SNSが日常的な情報発信手段となっている現在、勤務中に撮影した画像や動画を私的なアカウントへ投稿する行為を防ぐ仕組みが十分に整っているのかが問われる。

今回確認できた回答部分だけでは、日本看護協会が医療機関の監督責任についてどこまで具体的な見解を示したのかは明らかではない。

相次ぐ病院の謝罪 再発防止は機能しているのか

2026年10月には、複数の医療機関で職員による不適切なSNS投稿をめぐる問題が明らかになり、病院側が謝罪や事実関係の調査を公表している。

こうした問題では、投稿が拡散した後に削除や謝罪が行われても、患者の画像や情報が第三者に保存、転載される可能性が残る。

また、患者本人や家族が、自身に関する情報を知らないところで公開されていたと知った場合、医療機関に対する信頼が大きく損なわれるおそれもある。

個々の医療機関による謝罪や処分だけでなく、同様の問題を繰り返さないための組織的な取り組みが重要となる。

問われる医療現場のSNSリテラシー

今回の取材で、日本看護協会は看護職員に求められる秘密保持と個人情報の適切な取り扱いについて、法律や職能団体の倫理指針、業務基準を示した。

一方、実際の医療現場でこうした原則がどこまで徹底されているのかは、別の問題だ。

SNSへの投稿は短時間で行うことができ、一度公開された情報は、削除しても完全に回収できるとは限らない。

医療機関ごとの研修や管理体制に加え、看護職員自身が患者の尊厳やプライバシーをどのように守るのかが改めて問われている。

週刊TAKAPIでは、医療機関による対応や再発防止策について、引き続き取材を進める。

今回の取材のポイント

Q日本看護協会は何と回答した?
A看護師には法律上の守秘義務があり、協会の倫理綱領や業務基準でも、患者の秘密保持と個人情報の適切な取り扱いを求めていると説明した。
Q電子カルテをSNSに投稿した場合、必ず処分される?
A投稿内容や事情によって判断が異なる。今回確認できた回答では、個別の懲戒処分や行政処分の基準は示されていない。
Q病院側にも責任はある?
A職員の教育、個人情報の安全管理、問題発生時の対応などが重要になる。具体的な責任は各事案の事情や適用法令に応じて判断される。
Q今後の取材の焦点は?
A各医療機関のSNS利用規程、研修の実施状況、患者情報の管理体制、問題発覚後の調査と再発防止策などが焦点となる。

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