【岩手・検証】教職員の懲戒処分13人、性犯罪関連4人 教育長が根絶訴えた翌日、27歳教諭を免職・校長も戒告

岩手県教育委員会の懲戒処分が13人に達したことを伝える報道アイキャッチ。岩手県庁の外観写真と教諭免職・校長戒告の見出し

岩手県教育委員会は10月21日、16歳未満の少女にわいせつな行為をしたとして、不同意性交等の罪で起訴されている花巻市立学校の男性教諭(27)を懲戒免職とした。勤務先の校長も、管理監督に適正を欠いていたとして戒告処分を受けた。

前日の20日には、佐藤一男教育長が約100人の出席した県立学校長会議で、不祥事の根絶を訴えていた。

今回の2人を加え、2026年度の教職員の懲戒処分者は13人となった。このうち性犯罪に関係する事案は4人。県教委は今年7月に新たな防止対策をまとめ、8月から専門家監修の研修を始めている。

週刊TAKAPIはこれまでの独自取材で、県教委が従来の注意喚起中心の対策を「十分ではなかった」と認めたことや、校長の管理監督責任について具体的な把握漏れを認定しないまま戒告処分を行った別の事案を報じてきた。

27歳教諭を懲戒免職 退職手当は全額不支給

懲戒免職となったのは、花巻市立学校に勤務していた櫻田陽被告(27)。

県教委によると、櫻田被告は今年7月、花巻市内の自宅で、面識のある16歳未満の少女にわいせつな行為をしたとして逮捕され、その後、不同意性交等の罪で起訴された。

県教委が8月に実施した聞き取りでは、櫻田被告が行為を認めたという。

10月1日に盛岡地方裁判所で開かれた初公判でも、櫻田被告は起訴内容を認めている。ただし、刑事裁判は継続中で、有罪判決が確定したわけではない。

県教委は10月21日付で懲戒免職とし、退職手当についても全額を支給しないことを決定した。

同時に、勤務先の校長を管理監督上の適正を欠いたとして戒告処分とした。

前日に教育長が不祥事根絶を訴える 処分者は11人から13人へ

今回の処分が公表される前日の10月20日、盛岡市で県立学校長会議が開かれ、約100人が出席した。

佐藤一男教育長は、今年度も不同意性交等による教職員の逮捕事案が発生していることに言及した。

そのうえで、不祥事は依然として根絶できていないとの認識を示し、「強い決意のもと、その根絶に取り組まなければならない」と訴えた。

会議時点で県教委が説明した2026年度の懲戒処分者は11人。翌21日に教諭の免職と校長の戒告が発表され、累計13人となった。

もっとも、今回の問題行為は7月に発生したものであり、教育長が発言した翌日に新たな事件が起きたわけではない。

また、20日の会議は県立学校長を対象としていたのに対し、今回処分された教諭の勤務先は市立学校だった。

教育長の発言と翌日の処分発表は、こうした時系列と対象校の違いを踏まえて捉える必要がある。

公立学校の本務教職員は約1万1800人 処分13人をどう評価するか

岩手県の教職員数に対して、懲戒処分13人はどの程度の規模なのか。

県が2026年8月に公表した「2026年度学校基本統計速報」から、公立小学校、中学校、義務教育学校、高校、特別支援学校の本務教職員数を集計すると、計11,795人となる。

内訳は本務教員10,027人、教員以外の本務職員1,768人。高校については通信制を除いた数字で、調査時点は2026年5月1日となっている。

仮にこの11,795人を分母として処分者13人を単純計算すると、約0.11%、1万人当たり約11人に相当する。

ただし、これは正式な懲戒処分率ではない。

学校基本統計に含まれる職員と県教委の懲戒処分対象者は、集計範囲が完全には一致しない。また、今回の13人は年度途中の累計であり、問題行為を直接行った教職員だけでなく、管理監督責任を問われた校長も含んでいる。

そのため、この数字だけで岩手県の処分率が全国平均より高いと結論付けることはできない。

県教委は本誌への過去の取材で、2026年8月時点の処分件数・人数について、前年同期より6件増加する一方、前々年同期より5件少ないと回答していた。

全国比較や増減傾向を正確に判断するには、対象職種、処分区分、集計期間をそろえる必要がある。

本誌の独自取材に「注意喚起だけでは十分ではなかった」

週刊TAKAPIは8月27日、岩手県教委に対し、不祥事の発生要因や再発防止策の実効性など9項目を文書で質問した。

県教委は回答で、これまでの対策について、服務規律の周知や注意喚起にとどまる部分が多く、教職員が不祥事を自分自身の問題として受け止める取り組みが十分ではなかったとの認識を示した。

また、不祥事の背景として、職員個人の規範意識だけでなく、職場のストレスや孤立など、複数の要因が相互に影響していると説明している。

県教委は2026年3月に不祥事防止対策検討会議を設置し、7月に新たな対策を取りまとめた。

県教委が3月に示した資料では、2025年度の逮捕事案は6件に上り、直近10年間で最多となったことも明らかにされている。

性犯罪に関係する事案と飲酒運転への対応は、県教委自身が重点課題として挙げてきた。

9月に続いて校長も戒告 管理監督の具体的な不備は

今回の処分では、男性教諭本人だけでなく、勤務先の校長も戒告となった。

岩手県教委は9月14日にも、18歳未満の相手にわいせつな行為をした県立学校の20代女性教職員を懲戒免職とし、所属校の校長を戒告処分としている。

週刊TAKAPIはこの9月の事案について、校長に対する戒告の具体的な根拠を県教委に確認した。

県教委は、部下職員への指導監督に適正を欠いていたと回答。一方、女性教職員の行動や被害者との関係について、校長が本来把握すべき事項を把握していなかったと認定したのかという質問には、「そのような事実を認定したものではありません」と説明した。

つまり、9月の事案では校長の管理監督責任を問う一方、具体的な把握漏れを認定したわけではなかった。

今回の花巻市の事案についても、校長の戒告理由は管理監督上の問題とされている。

ただし、校長が何を把握し、どのような指導監督が不足していたと判断されたのかについては、現在確認できている公表情報では明らかになっていない。

9月と10月の処分で、県教委が同じ基準を用いて管理監督責任を判断したのかも確認事項となる。

新研修は10月31日が実施期限 効果測定はこれから

県教委は8月下旬、専門家が監修した不祥事防止研修の動画を各学校に配信した。

従来の服務規律の注意喚起だけでなく、不祥事が発生する心理や環境を教職員自身が考える内容で、10月31日までに動画の視聴とグループワークを行うよう求めている。

県教委は本誌への9月の回答で、研修の効果を評価する方法について、受講後のアンケート結果などを踏まえて検討するとの考えを示していた。

今回の男性教諭による行為は7月に発生しているため、8月下旬に始まった新研修の効果を、この事件だけで判断することはできない。

一方、懲戒処分者は年度途中で13人に達している。研修の実施率だけでなく、学校現場の管理監督がどう変わり、処分件数や事案の発生状況にどのような変化が生じたのか、県教委による検証結果を確認する必要がある。

編集部まとめ

岩手県教委の2026年度の懲戒処分者は13人となった。10月20日に佐藤一男教育長が学校長らに不祥事根絶を訴え、その翌日には27歳教諭の免職と校長の戒告が発表された。

県の最新統計から集計した公立学校の本務教職員は約1万1800人。ただし、処分人数との単純な比率を全国平均と比較し、岩手県だけが突出していると結論付けることはできない。

週刊TAKAPIはこれまでの独自取材で、県教委が従来の注意喚起中心の対策を十分ではなかったと認めたことや、別の事案で校長の具体的な把握漏れを認定せずに戒告処分としたことを報じてきた。

今回の校長に対する戒告についても、何を根拠に管理監督責任を判断したのかは確認できていない。県教委が処分基準をどのように運用し、新たな防止対策の効果をどう検証するのか、継続して確認する。

週刊TAKAPI 編集部/成田

Q岩手県で2026年度に懲戒処分を受けた教職員は何人ですか?
A10月21日時点で13人です。このうち性犯罪に関係する事案は4人とされています。13人には管理監督責任で処分された校長も含まれます。
Q今回懲戒免職となったのは誰ですか?
A花巻市立学校に勤務していた櫻田陽被告(27)です。16歳未満の少女に対する不同意性交等の罪で起訴され、10月21日付で懲戒免職となりました。
Q岩手県の教職員数に対して処分13人は多いのでしょうか?
A2026年度の県統計から集計した公立5校種の本務教職員は11,795人です。13人を単純に割ると約0.11%ですが、正式な処分率ではありません。全国との同一条件での比較もできていないため、高いと断定することはできません。
Qなぜ勤務先の校長も処分されたのですか?
A県教委は管理監督に適正を欠いたとして戒告処分としました。具体的な指導監督上の不備については、今回確認できた公表情報では明らかになっていません。
Q県教委はどのような再発防止対策を進めていますか?
A7月に新たな対策をまとめ、8月下旬から専門家監修の研修動画を配信しています。10月31日までに各学校で視聴とグループワークを行う方針です。研修効果の具体的な評価方法については、県教委が検討すると説明しています。

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