【独自検証・岩手】教職員3人逮捕・11人処分 教育長が校長約100人に不祥事根絶訴え、本誌取材で残る監督責任と研修効果の課題

岩手県の教職員3人逮捕・11人懲戒処分を受け、教育長が不祥事根絶を訴えた問題について、県教委の監督責任と研修効果を独自検証する週刊TAKAPIの報道画像

岩手県教育委員会の佐藤一男教育長は10月20日、盛岡市で開かれた県立学校長会議で、相次ぐ教職員の不祥事を取り上げ、校長ら約100人に再発防止の徹底を求めた。

県内では2026年度、性犯罪などで教職員3人が逮捕され、11人が懲戒処分を受けている。2025年度にも盗撮や不同意わいせつなどで6人が逮捕されており、不祥事が続いている。

週刊TAKAPIは9月、岩手県教委への独自取材で、20代女性教職員のわいせつ事案に伴う校長の監督責任や、新たな不祥事防止研修の実効性について回答を得た。

県教委は校長の指導監督に問題があったと判断する一方、具体的な把握漏れを認定したものではないと説明。研修の効果を評価する指標についても、今後検討するとの回答にとどまっていた。

教職員3人逮捕・11人懲戒処分 教育長が「根絶」求める

20日の県立学校長会議には、校長ら約100人が出席した。

佐藤教育長は、今年度も不同意性交等による逮捕事案が発生していることに言及。不祥事の根絶には至っていないとの認識を示し、各学校に対応の徹底を求めた。

県教委によると、2025年度は教職員6人が逮捕され、2026年度も20日までに3人が逮捕、11人が懲戒処分を受けている。

ただし、逮捕者数と懲戒処分者数は異なる集計であり、単純に合算することはできない。

週刊TAKAPIは9月22日、今年度の懲戒処分が11人となった経緯を既に報じている。今回の新たな動きは、教育長が管理職を集めた会議で改めて不祥事根絶を求めたことだ。

本誌独自取材 校長を戒告も「具体的な把握漏れ」は認定せず

週刊TAKAPIが9月25日に報じた独自取材では、県立学校に勤務していた20代女性教職員の懲戒免職事案について、県教委の詳しい説明を得ている。

女性教職員は4月から5月にかけ、18歳未満の相手に複数回わいせつな行為をしたとして、9月14日付で懲戒免職となった。

県教委は本誌に対し、5月中旬に被害関係者から情報提供を受け、その後、事実確認を進めたと回答。行為については児童生徒性暴力等防止法上の「児童生徒性暴力等に該当するものと思われる」との見解を示した。

この事案では、女性教職員が勤務していた学校の校長も、管理監督責任を理由に戒告処分となっている。

本誌が処分理由を尋ねたところ、県教委は「部下職員に対する指導監督に適正を欠いていた」と説明した。

一方、女性教職員の行動や相手との関係について、校長が本来把握すべき事項を把握していなかったなどの具体的な不備を認定したのかとの質問には、そうした事実を認定したものではないと回答している。

県教委は校長の指導監督に問題があったと判断したものの、今回の独自回答では、戒告の根拠となった具体的な監督上の不備までは明らかにならなかった。

新研修は10月末が一区切り 効果の評価指標は9月時点で検討中

県教委は今年7月に不祥事防止対策を取りまとめ、8月下旬から犯罪社会学などの知見を取り入れた研修動画を学校に配信している。

9月9日の教育長会見では、各学校に対し、10月末までに動画を使ったグループワークを実施するよう指示したことも明らかになった。

研修では、不祥事に至る心理や職場環境について教職員が意見を交換し、学校ごとの防止策を検討する。

週刊TAKAPIは9月の独自取材で、この研修の効果をどのような指標で判断するのか県教委に質問した。

県教委は、各研修のアンケート結果などを踏まえて今後検討すると回答した。

当時の回答では、具体的な数値目標や評価基準が既に設定されていることは確認できなかった。

10月20日の校長会議に関する公表・報道情報でも、研修を終えた学校数や、効果を測る新たな評価指標については確認できていない。

なお、9月に懲戒免職となった女性教職員は、5月の情報提供後に自宅待機となり、8月からの新研修を受講していない。今回の事案を新研修の実施後に起きた不祥事として扱うことはできない。

教育長への4項目、本誌への個別回答は控える

週刊TAKAPIは9月の取材で、佐藤教育長に対しても、相次ぐ不祥事への認識、再発防止策の実効性、対策の評価基準、教育行政トップとしての責任について、4項目のコメントを求めていた。

これに対し県教委は、教育長の見解については県議会や定例記者会見などで伝えているとして、個別回答を控えた。

20日の校長会議では、教育長が不祥事根絶への決意を改めて示した。

一方、校長の監督責任をどのように具体的に認定するのか、研修の効果を何によって判定するのかという、本誌が独自取材で確認してきた事項については、最新の回答を得られていない。

編集部まとめ

岩手県教委は相次ぐ不祥事を受け、従来の注意喚起中心の対策を見直し、新たな研修制度を導入した。

週刊TAKAPIの独自取材では、女性教職員のわいせつ事案を5月中旬に把握したことや、校長を戒告とした判断の一方で、具体的な把握漏れを認定していないことが明らかになった。

研修の効果についても、9月時点では評価指標が検討段階にあった。

10月末の研修期限を前に、佐藤教育長は校長ら約100人に不祥事根絶を求めた。今後は研修の実施状況とともに、対策の効果をどのような基準で検証するかが焦点となる。

特記事項

本記事は2026年10月20日の県立学校長会議に関する情報と、週刊TAKAPIが9月22日、25日に掲載した検証・独自取材記事、岩手県教育委員会の公式資料を基に構成した。

校長の監督責任や研修効果に関する県教委の回答は、9月の独自取材で取得したものであり、10月20日の会議後に新たに回答を得たものではない。

逮捕者3人と懲戒処分者11人は異なる集計である。また、処分年度と問題行為の発生年度は必ずしも一致しない。

女性教職員の具体的な職種や教員免許状の有無、被害者と勤務校との関係は公表されていない。被害者の特定につながる情報は掲載しない。

刑事事件については推定無罪の原則に従い、逮捕をもって刑事責任が確定したものとは扱わない。

週刊TAKAPI 編集部/成田

Q岩手県では2026年度に教職員が何人逮捕されていますか?
A2026年10月20日時点で、性犯罪などにより3人が逮捕されています。また、11人が懲戒処分を受けていますが、両者は異なる集計のため単純に合算することはできません。
Q週刊TAKAPIの独自取材では何が明らかになりましたか?
A女性教職員のわいせつ事案を県教委が5月中旬に把握したこと、児童生徒性暴力等に該当するとの見解、校長の監督責任に関する判断、研修の評価方法が9月時点で検討段階だったことなどです。
Q女性教職員のわいせつ事案で校長が戒告処分になった理由は何ですか?
A県教委は、部下職員への指導監督に適正を欠いていたためと回答しました。一方、女性教職員の行動などについて、校長が把握すべき事項を把握していなかったという具体的事実を認定したものではないと説明しています。
Q岩手県の不祥事防止研修はいつまでに実施されるのですか?
A8月下旬から配信された研修動画について、県教委は各学校に10月末までのグループワーク実施を指示しています。追加の研修も2027年2月までに進める予定です。
Q県教委は不祥事防止策の効果を数値で検証していますか?
A週刊TAKAPIが9月に取材した際、県教委は研修アンケートなどを踏まえて今後検討すると回答しました。10月20日時点の具体的な評価指標や最新の研修完了率は確認できていません。

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