静岡県浜松市に、少し珍しい組み合わせの新店舗が誕生した。
2026年10月17日、浜松市中央区原島町に、北海道発祥のコッペパン専門店「コッペんどっと」と、ドーナツ専門店「ドーナツんどっと」が同時オープンした。
「コッペんどっと」は静岡県初出店。一方、「ドーナツんどっと」は、今回の浜松原島店が記念すべき全国1号店となる。
店頭にはコッペパン30種類以上、ドーナツ20種類以上の合計50種類以上が並ぶ。
しかし、今回注目したいのは商品の豊富さだけではない。
なぜ、全国1号店の出店先として東京や大阪、名古屋ではなく、浜松市が選ばれたのか。
さらに、なぜコッペパンとドーナツという2つの専門店を同じ場所に出店させたのだろうか。
週刊TAKAPIでは、企業の公式発表をもとに、浜松という立地の特徴や複合型店舗の狙い、今後の全国展開の可能性を考察する。
※出店地を浜松に決めた具体的な理由は企業側から公表されていない。本記事の立地分析は、確認できた事実をもとにした編集部の考察である。
北海道発祥のコッペパン専門店が静岡県に初進出
「コッペんどっと」は北海道木古内町で誕生したコッペパン専門店だ。
オリジナルブレンドの小麦粉を使用し、ふんわりとした柔らかさとモチモチした食感が特徴という。
これまで神奈川県横浜市の市が尾店、青葉台店、長崎県諫早市の諫早店を展開しており、浜松原島店は全国4店舗目となる。
商品は、おかずコッペ、お菓子コッペ、ホイップコッペなど30種類以上。
具材を端まで詰めたコッペパンに加え、塩パンや揚げパンなども取り扱う。
一方、全国1号店となる「ドーナツんどっと」では、生ドーナツ、フレンチクルーラー、オールドファッションなど20種類以上を展開する。
食事にも、おやつにも、手土産にも対応できる品ぞろえが特徴だ。
なぜ浜松なのか? 全国1号店に選ばれた理由を考察
今回の出店で最大の疑問は、なぜ浜松市だったのかという点だ。
全国展開を目指す新ブランドの1号店と聞けば、東京都心や名古屋市など、大都市への出店を想像する人も少なくないだろう。
ところが、今回選ばれたのは浜松市中央区原島町だった。
そこには、いくつかの合理的な理由が考えられる。
① 車社会の浜松と「持ち帰り型店舗」の相性
浜松市は、自動車を利用した日常生活が広く定着している地域だ。
今回の店舗には9台分の駐車場が設けられている。
コッペパンやドーナツは、店内で長時間滞在する必要がなく、短時間で購入して持ち帰れる商品だ。
例えば、買い物帰りに立ち寄る家族連れ、仕事の移動途中に昼食を購入する会社員、休日におやつを買いに来る人など、さまざまな利用が想定される。
都市部の駅前立地とは異なり、車での来店を前提とした店舗運営が成立しやすいことは、浜松を選ぶメリットの一つになり得る。
ただし、実際の来店客の交通手段や商圏については、今後の調査が必要だ。
② 東京・名古屋ではなく「地方中核都市」で成功モデルをつくる狙いか
今回の出店には、もう一つ重要な特徴がある。
それは、単なる新店舗の開業ではなく、2つの専門店を組み合わせた複合型店舗のモデルづくりという側面だ。
運営側は、今回の同時出店について、今後のフランチャイズ展開における新たな可能性を広げる取り組みと説明している。
つまり、浜松原島店での運営実績が、今後の加盟店展開を検討する材料になる可能性がある。
地方都市で安定した集客や収益を確保できれば、同じような商圏を持つ全国の都市にも展開しやすくなる。
浜松市は、その可能性を試す場所として適しているのではないか。
もっとも、今回の店舗が正式な実証店に指定されているわけではなく、売上目標や検証項目も公表されていない。
③ 愛知県東三河と静岡県西部の両市場を意識した可能性
浜松市は静岡県西部の中心都市であり、愛知県東三河地域とも地理的に近い。
豊橋市や湖西市などを含めた広域的な経済圏の存在は、浜松の商業的な特徴の一つだ。
今回の店舗が直接、東三河からの来店を主要ターゲットにしているかは不明だが、SNSなどで話題になれば、県境を越えて来店する消費者も考えられる。
特に「静岡県初出店」「全国1号店」という2つの話題性は、通常の新規出店より広い範囲に認知を広げる材料となる。
一方で、県外からの集客をどの程度見込んでいるのかは、企業への取材で確かめたいポイントだ。
なぜコッペパンとドーナツを同時出店? 2ブランド戦略の狙い
今回の店舗は、単に2つのブランドを隣り合わせにしただけではない。
注目したいのは、購入目的の異なる商品を一つの場所に集めたことだ。
コッペパンは朝食や昼食などの食事需要を取り込める。
一方、ドーナツは午後のおやつや手土産、自分へのご褒美といった需要に対応する。
つまり、商品を組み合わせることで、異なる時間帯の集客を狙える仕組みだ。
例えば、昼食を買いに来た人が家族へのドーナツも購入する、反対にドーナツ目当ての来店客が翌朝用のコッペパンを購入するといった相乗効果も期待できる。
企業側も公式発表で、幅広い時間帯や利用場面での来店を目指す方針を明らかにしている。
50種類以上の商品は武器になるのか
商品数の多さは、選ぶ楽しさや再来店のきっかけにつながる。
しかし、店舗経営という視点では課題もある。
商品が多ければ、それだけ原材料の管理や製造工程が複雑になる可能性があるからだ。
特にパンやドーナツは、製造量と販売量のバランスが重要になる。
人気商品が早い時間に売り切れれば販売機会を逃す一方、作りすぎれば廃棄ロスが発生する。
50種類以上という豊富な品ぞろえを維持しながら、どこまで効率的に店舗を運営できるか。
この点も、今後の全国展開を左右する重要な要素となりそうだ。
実は全国展開を見据えた出店? フランチャイズ戦略にも注目
今回の2ブランドを展開するのは、abc株式会社のグループ会社である株式会社TOEだ。
同社は、コッペパン専門店とドーナツ専門店の双方でフランチャイズ加盟店を募集している。
コッペパン専門店については、ベーカリー業界未経験者でも挑戦しやすい事業モデルを打ち出している。
さらに、両ブランドの単独出店だけでなく、浜松原島店のような複合型店舗での展開にも対応する方針だ。
ここから考えられるのは、浜松原島店が今後の加盟店開拓において、具体的な運営事例となる可能性である。
1つの店舗で2ブランドを展開することによって、売上の増加や集客効率の改善につながれば、地方都市での新規開業を検討する事業者にとっても魅力的なモデルとなり得る。
ただし、設備や人員をどの程度共通化できるのか、初期投資や利益率にどのような効果があるのかは明らかになっていない。
今後の展開を評価するには、こうした具体的な数字の確認が欠かせない。
浜松のパン・ドーナツ市場はどう変わる?
今回の新店舗は、既存のベーカリーやドーナツ専門店との競争にも影響を与える可能性がある。
一般的なベーカリーと異なるのは、コッペパンとドーナツという特定の商品に絞りながら、合計50種類以上を展開している点だ。
一度の来店で食事とスイーツの両方を購入できることは、消費者にとって利便性が高い。
一方、新規出店の話題性だけで継続的な集客を維持することは容易ではない。
重要になるのは、開業直後の人気が落ち着いた後も、地域住民が日常的に利用する店として定着できるかどうかだろう。
「一度行ってみたい店」から「何度も買いに行きたい店」になれるか。
浜松原島店の真価が問われるのは、むしろこれからではないだろうか。
コッペんどっと・ドーナツんどっと浜松原島店の場所・営業時間・駐車場
コッペんどっと浜松原島店/ドーナツんどっと浜松原島店
静岡県浜松市中央区原島町278
2026年10月17日オープン
| 営業時間 | 10:00~19:00(売り切れ次第終了) |
| 定休日 | 不定休 |
| 駐車場 | 9台 |
| 電話番号 | 053-401-6711 |
| 公式Instagram | @koppen.hamamatsu |
【週刊TAKAPI考察】浜松は全国展開の重要な一歩になるのか
今回の出店を単なる新しいパン屋とドーナツ店の開業として捉えるのは、少しもったいない。
注目すべきは、静岡県初出店の既存ブランドと、全国1号店の新ブランドを組み合わせた点にある。
企業側が今後のフランチャイズ展開を視野に入れていることを踏まえると、浜松原島店の運営実績が、次の出店戦略に影響する可能性は十分にある。
しかし、浜松が選ばれた理由については、現段階で断定できない。
立地条件なのか、加盟店側の事情なのか、それとも複合型店舗の展開を見据えた戦略的な判断なのか。
その答えは、企業への直接取材で明らかにする必要がある。
全国1号店という肩書き以上に重要なのは、地域に根づき、持続的に営業できるかどうかだ。
浜松で生まれたこの新しい複合型店舗が、全国へ広がる成功モデルとなるのか。
今後の店舗展開と経営実績に注目したい。
週刊TAKAPI 編集部/黒木
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