静岡市清水区三保の造船会社「カナサシ重工」で、建造中のタンカーから出火し作業員10人が死傷した火災を巡り、村上雅臣社長が2026年8月21日夜、事故について謝罪し、再発防止に取り組む考えを示した。
火災では中国籍の40代男性作業員とみられる1人が死亡し、9人がけがをした。静岡県警は業務上過失致死傷の疑いも視野に、出火原因に加え、当時の作業手順や安全管理体制を調べている。
船首付近の最下層から出火 約3時間半後に鎮火
火災は21日午前8時50分ごろ、清水港にあるカナサシ重工の造船所で発生した。
燃えたのは岸壁に係留されていた建造中のタンカー「第十一若吉丸」。955総トン、全長約70メートルで、7月に進水式を終えていた。
船は4層構造で、火は船首付近の最下層から出たとみられている。消防による消火活動が続き、午後0時11分ごろ、発生から約3時間半後に鎮火した。
焼失面積は約4平方メートルだった。
船底から男性1人の遺体 9人が負傷
船内の最下層から男性作業員1人が遺体で見つかった。中国籍の40代男性作業員とみられ、警察が身元の確認を進めている。
このほか作業員9人が煙を吸うなどして負傷。6人が中等症、3人が軽症とされ、いずれも意識があり、命に別状はないという。
焼失した範囲が約4平方メートルだった一方、死傷者は計10人に上った。
出火直前に溶接・溶断作業 2つの情報を捜査
出火当時、船首付近の最下層では2人がバーナーを使った溶接・溶断作業をしていた。
一緒に作業していた作業員は警察に対し、死亡した男性の手袋に火が燃え移ったという趣旨の説明をしている。
一方、消防関係者からは、作業で使用していたアセチレンガスのホースに穴が開き、漏れた可燃性ガスに引火した可能性も指摘されている。
ただし、手袋への引火とガス漏れがどのように関係しているのかを含め、出火原因はまだ確定していない。警察と消防が現場の状況や使用していた機材などを詳しく調べている。
県警は業務上過失致死傷も視野 安全管理体制を確認
当時、タンカー内部や周辺では複数の日本人・外国人作業員が建造作業に当たっていた。
県警は、火が出た直接的な原因だけでなく、溶接・溶断作業の方法、可燃性ガスの管理、作業場所の安全確認などについて調べ、業務上過失致死傷に当たる事実がなかったか確認を進めている。
現段階では事故原因や刑事責任は確定していない。
村上社長が謝罪「再発防止に努める」
村上社長は21日夜、事故について「大変申し訳なく思っている」と謝罪し、再発防止に取り組む意向を示した。
会社は事故直後、原因などについて回答できる段階ではないとしていたが、今後調査を進め、1週間から10日後をめどに、会社としてのコメントを含む内容を公表する方針としている。
今後は警察・消防による原因究明に加え、会社側がどこまで事故の経緯と安全管理上の問題を明らかにするかが焦点となる。
編集部まとめ
今回の火災では、建造中タンカーの最下層で作業員10人が死傷した。出火直前には溶接・溶断作業が行われ、可燃性ガスへの引火など複数の可能性が浮上しているが、原因はまだ確定していない。
県警による捜査とともに、カナサシ重工が今後公表する調査結果と再発防止策が重要となる。
週刊TAKAPI編集部
成田(デスク)
特記事項
この記事は2026年8月22日時点で明らかになっている警察・消防、会社側の説明などを基に構成した。
死亡した男性については身元確認が進められている段階であり、公表されていない個人情報は掲載していない。
また、「手袋に引火した」とする作業員の説明と、「アセチレンガスが漏れて引火した可能性」は現時点で確認されている別々の情報であり、両者の因果関係や事故原因は確定していない。
業務上過失致死傷についても県警が視野に入れて捜査している段階で、関係者の刑事責任が確定したものではない。
清水港・カナサシ重工タンカー火災で現在分かっていること
火災は8月21日午前8時50分ごろ、静岡市清水区三保のカナサシ重工造船所で発生した。
建造中の「第十一若吉丸」の船首付近にある最下層から出火し、1人が死亡、9人が負傷。火は約3時間半後に鎮火した。
出火当時は溶接・溶断作業が行われており、県警が業務上過失致死傷も視野に出火原因と安全管理体制を調べている。
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