蒲郡市が9月3日に公表した大型投資事業7件の見直しをめぐり、市が掲げる「25%程度」の意味が、週刊TAKAPIの取材でより明確になった。
市が目指しているのは、7事業それぞれの総事業費を一律に25%削減することではない。令和9年度から18年度までの10年間にかかる7事業の関連費用について、全体として25%程度の圧縮を目指すというものだ。
一方、その25%の基準となる見直し前の金額、見直し後の想定額、実額で何億円を圧縮することになるのかについて、市は現段階では公表していない。
週刊TAKAPIが市担当者へ直接取材し、「25%」の意味と見直しに至った背景を聞いた。
25%の「基準額」は現段階で公表せず
まず確認したのは、25%程度を圧縮する際の基準となる、令和9年度から18年度までの7事業関連費用の見直し前の総額だ。
市担当者は、物価高騰が続いていることや、すべての事業について詳細な積算が完了している段階ではないとして、具体額は公表しないと説明した。
ただし、市が全く試算を行っていないわけではない。
担当者は、一定程度の見通しを持たなければ今回の見直し方針には至らないとして、内部では費用を見込みながら検討していることを認めた。
つまり、「基準となる金額が存在しない」のではなく、現段階で確定的な数字として市民へ示せる状況ではないという説明だ。
「25%で何億円減るか」も現時点では示さず
週刊TAKAPIは、25%程度を実額に換算すると何億円規模の圧縮になるのかも尋ねた。
この点についても、市は具体額を示さなかった。
今後、それぞれの事業について施設面積や仕様、整備方法などを見直していくためだ。
例えば建物面積を圧縮できれば、一定の建設費削減につながる。一方、市民が必要とする機能を単純に削ることはできない。
市は、必要な機能をできるだけ維持しながら、規模や内容を見直していく考えを示した。
「25%」は個別積算の結果ではなく目標
今回の取材で最も重要なのが、「25%」という数字の性格だ。
週刊TAKAPIが、7事業を個別に見直して積み上げた結果として25%になったのかを尋ねたところ、市担当者は、25%は「目標としての数字」と説明した。
学校施設のように、必要な教室面積を簡単に小さくできない事業もある。
市民病院についても、医療機能との関係があるため、単純に規模を25%削れば済む話ではない。
一方、事業によっては規模や仕様の見直しによって、より大きく費用を圧縮できる可能性もある。
したがって、
「7事業をそれぞれ25%削る」
という意味ではない。
7事業全体について、令和9年度から18年度までの10年間に必要となる関連費用を25%程度圧縮することを目標としている。
「削減」ではなく「圧縮」 市「やめるわけではない」
取材の最後に週刊TAKAPIが、「今回の考え方は削減というより圧縮という理解でよいか」と確認すると、市担当者はこれを認めた。
担当者は、事業を「やめる」としているわけではなく、それぞれの事業について費用や実施時期を圧縮・見直していく趣旨だと説明した。
ここは重要な違いだ。
今回の7事業には、
規模を小さくするもの
整備時期を遅らせるもの
段階的に整備するもの
事業内容そのものを再検討するもの
が含まれている。
例えば整備を令和19年度以降へ送れば、令和9~18年度の10年間に必要な支出は減る。
しかし、その事業費そのものが消滅したとは限らない。
「削減」と「延期」、「圧縮」は同じではない。
本当に減る金額と「先送り額」はまだ分けられない
週刊TAKAPIは、25%の圧縮分について、規模縮小などによって実際に不要になる金額と、令和19年度以降へ先送りされる金額を分けられるかも尋ねた。
市は、現段階で明確に切り分けることは難しいとの認識を示した。
理由は、将来の物価や建設単価、人件費を現時点では確定できないためだ。
仮に現在予定している工事を数年先へ移しても、その時点で物価がさらに上昇していれば、現在の予定額と同じ金額で実施できるとは限らない。
逆に、物価上昇が落ち着けば状況は変わる可能性もある。
市はこうした先行きの不確実性も踏まえ、リスク管理の観点から大型投資事業をいったん見直す時期に来たと判断している。
見直しの直接要因は物価高騰 人件費も急激に上昇
では、なぜ今見直すのか。
市担当者は、直接的な要因について物価高騰を挙げた。
人件費についても急激な上昇が続いているとの認識を示した。
蒲郡市では以前から公共施設マネジメント計画や各事業の構想を策定し、整備費を見込んできた。
しかし、市によると、令和3年ごろの計画改定時点と比べても費用はかなり上昇しているという。
さらに古い計画時点までさかのぼれば、当初想定と現在の価格水準との差は一段と大きくなる。
以前であれば財政的に「何とかやりくりできる」と考えられた事業でも、現在の物価水準ではそのまま進めることが難しくなっている。
「不要だから見直す」のではない
今回の7事業について、市が「不要」と判断したため見直しているわけではない。
週刊TAKAPIが見直しの直接的な理由を尋ねると、市担当者は物価高騰が大きな要因だと説明した。
事業そのものが不要になったのであれば、それ自体が見直し理由になるが、今回はそうした状況ではないという。
つまり今回の見直しは、「必要性がなくなった事業を整理する」という性格より、現在の財政環境に合わせて規模、時期、整備方法を組み直す性格が強い。
市債・基金への効果も現段階では一つの数字にできず
今回の見直しで、市債発行額や将来の市債残高がどの程度変わるのか。
この点についても、市は現段階で具体額を示さなかった。
公共施設整備では国や県の補助金が活用できる場合があり、市の実質負担はその金額によって変わる。
地方債についても、将来の地方交付税措置などを考慮しながら有利な制度を活用するため、単純に事業費だけから将来残高を決めることはできない。
市は複数のパターンで財政シミュレーションを行っているという。
見直さなかった場合の試算も実施
週刊TAKAPIは、今回の見直しを行わなかった場合の財政状況について試算したのかも確認した。
市は「試算している」と回答した。
ただし、財政調整基金の残高は大型施設整備だけで決まるものではない。
職員人件費や、少子高齢化に伴う扶助費など毎年度の経常的な支出も大きく影響する。
そのため「見直さなければ基金が何年後にいくらになる」といった単純な数字としては示されなかった。
見直し対象は7事業
対象となるのは次の7事業だ。
| 事業 | 市が示した見直し方向 |
|---|---|
| みらいキャンバス整備推進事業 | 規模縮小 |
| 蒲郡北地区個別計画に基づく学校等施設建設事業 | 約3年延期 |
| 科学館リニューアル事業 | 規模縮小 |
| 東港地区開発推進事業 | 段階整備・事業内容を検討 |
| 市民プール建設事業 | 時期未定 |
| 新最終処分場整備事業 | 規模縮小 |
| 市民病院新棟等整備事業 | 時期未定 |
同じ「見直し」でも、内容はそれぞれ異なる。
後編では、市民病院、市民プール、学校施設、新最終処分場を中心に、7事業が具体的にどう変わるのかを追う。
編集部まとめ
蒲郡市が掲げた25%程度という数字は、7事業の総事業費を一律に25%削減するという意味ではない。
令和9年度から18年度までの10年間にかかる7事業関連費用を、全体として25%程度圧縮するための目標だ。
基準となる総額も、圧縮後の実額も現段階では公表されていない。
さらに、圧縮の中には規模縮小による実質的な費用減だけでなく、整備時期を後年度へ移すものも含まれる。
今後確認すべきなのは「25%を達成したか」だけではない。
何が実際に削減され、何が延期され、将来負担として残ったのか。
そこまで見なければ、今回の見直しを正確には評価できない。
週刊TAKAPI 編集部
特記事項
本記事は、蒲郡市が9月3日に公表した大型投資事業7件の見直しについて、週刊TAKAPIが市担当者へ電話で直接取材した内容を中心に構成しています。
市は、25%程度を7事業それぞれの総事業費削減率とは説明していません。令和9年度から18年度までの10年間にかかる7事業関連費用を、全体として圧縮する目標です。
見直し前の基準額、見直し後の想定額、実額での圧縮額は現段階で公表されていません。
情報提供募集
蒲郡市の大型投資事業、財政計画、公共施設整備について公表可能な情報をお持ちの方は、メール(info@108takapi.jp)、各種SNSのDM、または公式LINEまでお寄せください。
内容を確認したうえで取材・報道に活用します。
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