犬猫の保護依頼「増えた」約半数 飼い主の高齢化が最多、民間120団体の調査で見えた現場の負担

犬や猫の保護・譲渡に取り組む全国の民間団体のうち、約半数が「この1年間で保護依頼や持ち込みが増えた」と感じていることが分かった。

ペットケア事業を手がける犬猫生活株式会社が全国の保護団体などを対象に実施した調査で明らかになった。増加の背景として最も多く挙げられたのは、高齢の飼い主の入院や死亡による飼育放棄だった。

行政が引き取る犬猫の数は減少している一方、その数字だけでは見えにくい負担が民間の保護現場に集中している可能性が浮かんでいる。


120団体で8718頭を保護 48%が「依頼増えた」

犬猫生活がまとめた「全国 犬猫保護活動 実態白書2026」によると、調査は2026年6月9日から7月27日にオンラインで行われ、全国の犬猫の保護・譲渡活動に取り組む120団体から回答を得た。

120団体が直近1年間に新たに保護した犬猫は、合わせて8718頭に上った。

保護依頼や持ち込み件数について、「増加」「大幅増加」と答えた団体は48.4%。ほぼ2団体に1団体が、以前より依頼が増えていると回答した。

一方、地方では増加傾向と答えた割合が55.7%となり、都市部の38.9%を上回った。


なぜ犬猫の保護依頼が増えている? 最多は「高齢飼い主の入院・死亡」

保護依頼が増えた背景を見ると、単純に野良犬や野良猫が増えているという話だけではない。

依頼が増加した団体に要因を複数回答で尋ねたところ、

「高齢飼い主の入院・死亡による飼育放棄」87.9%

が最も多かった。

次いで、

「多頭飼育崩壊」65.5%

「野良犬猫の繁殖」51.7%

となった。

ペットの問題と、飼い主自身の生活問題が切り離せなくなっていることがうかがえる。

高齢者が犬や猫と暮らしていても、突然の入院や施設への入所、死亡などによって飼育を続けられなくなることがある。その後を引き受ける家族や親族がいなければ、行き場を失った犬猫の相談が保護団体などに持ち込まれることになる。


多頭飼育崩壊も半数以上の団体が経験

もう一つ、現場の負担になっているのが多頭飼育崩壊だ。

調査では、直近1年間に多頭飼育崩壊の案件へ1回以上対応した団体が50.8%に上った。

発生場所は「個人宅」が79.1%と大半を占めた。

個人宅で多頭飼育崩壊が起きた背景としては、「経済的困窮による不妊去勢手術費用の不足」が82.0%、「高齢化・認知症等による判断能力低下」が63.9%だった。

多頭飼育崩壊の場合、一度に多数の犬猫を保護する必要がある。

調査では、レスキュー時に発生する1頭あたりの保護費用は平均2万1245円。1案件あたりの平均保護頭数から計算すると、初期段階だけで約35万~45万円が必要になるとしている。


行政で引き取られず、民間へ相談されるケースも

今回の調査で注目されるのが、行政統計には直接表れにくい犬猫の存在だ。

回答した団体の71.7%が、保健所などの窓口で引き取りに至らず、その後、民間団体へ相談が寄せられたケースについて「頻繁にある」または「まれにある」と答えた。

また、新規保護の流入経路を見ると、行政機関からの引き出しよりも、一般住民からの相談や野良犬猫の直接保護が中心となっている団体が71.7%を占めた。

環境省の統計では、2024年度に都道府県などが引き取った犬猫は計3万9409頭で、前年度から5000頭余り減少している。

行政による引き取り数が減っていることと、社会全体で保護を必要とする犬猫が同じ割合で減っていることは、必ずしも同じではない。今回の民間団体への調査は、その間にある実態を考える材料となりそうだ。


保護しても「次の飼い主」が決まらない 施設に犬猫が滞留

問題は保護した時点で終わらない。

120団体のうち48.3%では、新たに引き受けた犬猫に対し、譲渡や看取りによって団体から出ていく割合が100%を下回っていた。

つまり、入ってくる犬猫の数に対して譲渡などが追いつかず、保護施設やボランティア宅に犬猫が残り続ける状態だ。

実際、「無理なく世話ができる理想的な頭数」を超えて保護している団体は、猫で69.2%、犬で42.0%に上った。


1頭を譲渡するまで平均9.6万円 資金不足も深刻

民間団体にとって大きな問題となっているのが費用だ。

犬猫1頭を保護してから譲渡するまでに必要な費用は、人件費を除いて平均9.6万円。一方、里親から受け取る譲渡費用は3万~4万円程度に設定されることが多く、調査では平均すると1頭あたり5万~6万円程度を団体側が負担する構造が推察されるとしている。

活動に不足しているものを尋ねた質問でも、「資金」88.3%が最多。「人手」も59.2%に上った。

金銭面で負担が重い項目では「医療費」が87.5%と突出している。


「動物の問題」だけでは解決できない時代に

今回の調査から見えるのは、犬猫の保護問題が動物愛護だけでは完結しなくなっている現状だ。

高齢者の入院や死亡、経済的困窮、多頭飼育、家族や親族による引き取りの難しさ。こうした問題が重なった結果、最終的に犬猫の保護という形で表面化するケースがある。

実際、多頭飼育崩壊の相談ルートでは、飼い主本人や親族だけでなく、近隣住民、他の保護団体やボランティア、ケアマネジャー、民生委員などからの連絡も確認されている。

高齢化が進む中、飼い主が最後まで飼育できなくなった場合に誰が動物を引き継ぐのか。行政、福祉関係者、動物愛護団体、家族がどう連携するのか。

「飼えなくなってから保護する」だけでなく、飼い主が元気な段階から、入院や施設入所などに備えて犬猫の行き先を考えておく必要性も高まっている。


犬猫の保護依頼はどれくらい増えている?

犬猫生活の全国120団体への調査では、直近1年間の保護依頼・持ち込みが「増加」「大幅増加」と回答した団体は48.4%だった。

保護依頼が増えた最大の理由は?

増加要因として最も多かったのは、「高齢飼い主の入院・死亡による飼育放棄」87.9%。次いで「多頭飼育崩壊」65.5%、「野良犬猫の繁殖」51.7%だった。

保護団体では何が不足している?

最も多かったのは資金不足(88.3%)で、人手不足も59.2%に上った。犬猫1頭を保護して譲渡するまでの費用は、人件費を除き平均9.6万円とされている。


調査概要

調査名:第1回 保護活動の構造的課題の把握のための、民間保護活動の実態調査
調査期間:2026年6月9日~7月27日
調査方法:オンラインアンケート
調査対象:全国で保護犬・保護猫の保護・譲渡活動を行う個人・団体
回答総数:120団体
公表資料:全国 犬猫保護活動 実態白書2026

※本記事は公開されている企業情報、報道内容、地域特性、市場動向などをもとに編集部が独自に考察した内容です。企業や関係者が公表している出店理由・経営方針を断定するものではなく、一部に編集部の見解や推測が含まれます。最新かつ正確な情報は、各企業・自治体の公式発表をご確認ください。

週刊TAKAPI編集部:黒木