豊橋市教育委員会が令和7年度に公表した資料によると、令和6年度のいじめ認知件数は5,053件だった。
前年度の6,078件から全体では1,025件減少した。一方、中学校に限ると638件から731件へ増え、前年度比14.6%増となっている。
市教委は積極的ないじめ認知が早期の対応や支援につながっていると成果を挙げる一方、認知し、対応したものの、解決に至らない事案があることも課題として明記している。
週刊TAKAPIは、市教委が公表した「令和7年度 いじめの現状と課題について」をもとに、豊橋市のいじめ認知の実態を検証した。
小中学校で5053件 全体では16.9%減
市教委の資料によると、令和6年度のいじめ認知件数は、小学校が4,322件、中学校が731件だった。
合計すると5,053件となる。
令和5年度は小学校5,440件、中学校638件の計6,078件だったため、全体では1,025件、約16.9%減少した。
過去3年間を見ると、
年度
小学校
中学校
合計
令和4年度
5,426件
725件
6,151件
令和5年度
5,440件
638件
6,078件
令和6年度
4,322件
731件
5,053件
となっている。
ただし、この数字は「いじめそのものの発生件数」ではなく、学校がいじめとして認知した件数であることには注意が必要だ。
小学校は20.6%減、中学校は14.6%増
学校種別では異なる動きがみられた。
小学校は5,440件から4,322件へ1,118件減少。約20.6%減となった。
一方、中学校では638件から731件へ93件増加し、前年度比14.6%増となった。
中学校を学年別にみると、
- 1年生 326件 → 392件
- 2年生 226件 → 236件
- 3年生 86件 → 103件
となり、すべての学年で増加した。
特に1年生は20.2%増加している。
市教委は、中学1年生について、複数の小学校から生徒が集まる学校もあり、新たな人間関係づくりに伴うトラブルが増加することを背景として挙げている。
小学校低学年で大幅減 市教委は「学校間の差」を指摘
一方、小学校では低学年の認知件数が大きく減少した。
小学1年生は1,427件から883件へ、小学2年生は1,179件から705件へ減少した。
ただ、市教委は資料で、
「学校間で低学年の認知件数の差が顕著」
だったとしている。
そのため各学校に対し、子どもの訴えやアンケートの記述について事実や事情を確認し、「いじめにつながる因子」があるかを見極めるよう周知したという。
認知件数の減少だけをもって、実際のいじめそのものが同じ割合で減ったとは判断できない。
中学校「本人からの訴え」46.6%へ急増
いじめがどのように発見されたのかを見ると、中学校で大きな変化がみられる。
令和5年度は「本人」からの情報による認知が20.9%だったが、令和6年度には**46.6%**まで上昇した。
逆にアンケートによる発見は43.1%から21.0%へ低下している。
市教委は本人からの訴えが最も多くなったことについて、
「嫌なことがあった際、自ら申し出ることができる環境にある子どもが増えている」
と分析している。
小学校では、アンケートによる発見が54.5%と最も多かった。
小学校でSNSいじめ増加 市教委「低年齢化」
いじめの態様を見ると、小中学校とも「冷やかしやからかい、悪口や脅し文句、嫌なことを言われる」が最も多い。
小学校では令和6年度に2,353件、中学校では532件だった。
注目されるのがSNSなどを通じたいじめだ。
小学校の「パソコンや携帯電話等で、誹謗中傷やいやなことをされる」は、
令和4年度39件
令和5年度32件
令和6年度43件
だった。
市教委はこれについて、SNSトラブルの低年齢化を指摘している。
中学校では令和4年度92件、令和5年度70件、令和6年度71件だった。
市教委は、中学校のSNS関係の認知が全体の10%未満となっていることについて、**「認知しきれていない事案もある」**との認識を示している。
全国を大きく上回る認知件数
市教委資料では、児童生徒1,000人当たりの認知件数について全国との比較も示されている。
令和5年度の小学校では、
豊橋市 276.3件 全国 96.5件
だった。
中学校では、
豊橋市 62.0件 全国 38.1件
となっている。
単純計算すると、小学校は全国の約2.9倍、中学校は約1.6倍となる。
ただし、市教委は認知件数の多さそのものを問題としているわけではない。
むしろ、小中学校で**「積極的ないじめ認知ができた」**ことを成果として位置付け、早期対応、指導、支援につながっているとしている。
いじめを幅広く認知する方針である以上、認知件数の多さをそのまま「豊橋はいじめが多い」と解釈することは適切ではない。
市教委「解決に至らない事案がある」
その一方で、市教委が自ら示した「課題」は重い。
資料では、
「認知し、対応したものの、解決に至らない事案がある」
と明記。
さらに、
「学校のいじめ認知といじめの被害者・加害者児童生徒やその保護者の認識にずれが生じることがある」
としている。
いじめを「認知したか」だけではなく、その後に被害児童生徒が安心して学校生活を送れる状態まで対応できたのか。
5,053件という認知件数の先にある「解決」の実態も問われる。
教職員研修にも課題
市教委は、経験年数や職責に応じた児童生徒理解の研修や、管理職を対象とした学校トラブル対応研修を実施している。
成果として「指導よりも支援という考え方が浸透した」「法的根拠をもって対応する姿勢を学ぶことができた」とする一方、
「対象者が限られている面があるため、より多くの教職員に周知する必要がある」
ともしている。
今後は、いじめ対策組織の機能的・柔軟な対応や学校いじめ防止基本方針の見直し、第三者機関を含む関係機関との連携強化を進める方針だ。
「認知」の先で何が起きているのか
今回の資料から分かるのは、豊橋市が年間5千件を超えるいじめを認知しているという数字だけではない。
市教委自身が、解決に至らない事案や当事者・保護者との認識のずれ、SNS上で認知しきれていない可能性、教職員研修の対象範囲など、複数の課題を認識している。
重要なのは、子どもが助けを求めたとき、学校と教育委員会が何をしたのか。そして、その対応によって本当に被害が止まったのかという点だ。
週刊TAKAPIでは今後、豊橋市が公表している「いじめ重大事態」の調査資料についても検証し、重大事態として扱われた事案でどのような調査・対応が行われたのかを追う。
このニュースのポイント
情報提供・相談窓口
学校でのいじめや学校対応、教育行政に関する情報を募集しています。児童生徒が特定される情報については慎重に取り扱います。
週刊TAKAPI編集部
メール:info@108takapi.jp
SNS:各公式アカウントのDM
公式LINE:情報提供窓口

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