18歳未満の相手に身体的接触を伴うわいせつな行為を複数回行ったとして、岩手県教育委員会が県立学校の20代女性教職員を懲戒免職とした事案について、県教委が週刊TAKAPIの取材に回答した。
県教委によると、事案を把握したのは2026年5月中旬。被害関係者から情報提供を受け、その後、事実確認などを進めて9月に処分を決定した。
県教委は本件について、児童生徒性暴力等防止法の定義を踏まえ、「児童生徒性暴力等に該当するものと思われる」との見解を示した。
一方、同じ学校の校長を管理監督責任で戒告とした理由については、「部下職員に対する指導監督に適正を欠いていた」と説明。しかし、女性教職員の行動や相手との関係について、本来把握すべき事項を把握していなかったという具体的事実を認定したものではないと回答した。
今回の独自回答から、事案の把握時期だけでなく、女性教職員の行為に対する法的位置付け、校長の管理監督責任、不祥事防止策の実効性をめぐる県教委の考えが新たに明らかになった。
県教委が把握したのは5月中旬 それ以前の情報提供「確認されず」
週刊TAKAPIは、県教委が今回の事案をいつ把握し、調査を開始したのか確認した。
県教委は、
「令和8年5月中旬に被害関係者から情報提供があり、その後、事実確認等を進め、令和8年9月に処分を決定したものです」
と回答した。
さらに、複数回の行為があったとされる中、被害関係者からの情報提供以前に、勤務校や県教委が何らかの兆候や相談を把握していなかったのかを尋ねた。
県教委は、
「令和8年5月中旬に被害関係者から情報提供があるまでに、何らかの情報提供があったことは確認されていません」
とした。
現時点で県教委が説明している把握の端緒は、5月中旬の被害関係者からの情報提供だったことになる。
「児童生徒性暴力等に該当するものと思われる」
週刊TAKAPIは、本件を児童生徒性暴力等防止法上の「児童生徒性暴力等」に該当すると判断しているか確認した。
県教委は、
「児童生徒性暴力等防止法に規定する『児童生徒等』には18歳未満の者が含まれますので、定義上、本件行為は児童生徒性暴力等に該当するものと思われます」
と回答した。
一方、18歳未満の相手が女性教職員の勤務校の児童生徒だったのか、学校や教育活動を通じて知り合った人物だったのかについては、被害者保護を理由に回答を控えた。
SNSや個人の携帯電話などを使った私的な連絡の有無についても明らかにしていない。
職種・教員免許状の有無は非公表
女性教職員の具体的な職種と教育職員免許状の有無についても、県教委は被害者保護を理由に回答を控えた。
一方で県教委は、教育職員免許法上、公立学校の教員が免許状を有した状態で懲戒免職となった場合、その免許状は失効し、免許管理者への返納が必要になるとの一般的な制度を説明した。
ただし、今回処分された女性教職員が教育職員免許状を有していたかは明らかにされていない。
このため、本件について「懲戒免職によって教員免許が失効した」と断定することはできない。
校長を戒告 具体的な「把握漏れ」は認定せず
今回、女性教職員が勤務していた学校の校長も、管理監督責任を理由に戒告処分となった。
週刊TAKAPIが具体的な処分理由を確認したところ、県教委は、
「管理監督者として部下職員に対する指導監督に適正を欠いていたと判断したものです」
と回答した。
一方、女性教職員の行動や相手との関係について、本来把握すべき事項を校長が把握していなかったなど、具体的な管理上の不備を認定したのかとの質問には、
「そのような事実を認定したものではありません」
とした。
つまり、県教委は校長について「指導監督に適正を欠いた」と判断して戒告処分とした一方、今回の事案そのものについて具体的な把握漏れを認定したわけではない。
戒告の根拠となった具体的な指導監督上の不備については、今回の回答では明らかにならなかった。
8月開始の不祥事防止研修は未受講
岩手県教委は相次ぐ教職員不祥事を受け、7月に新たな防止対策を取りまとめ、8月下旬から研修を開始している。
今回処分された女性教職員が研修を受講したかについて、県教委は、
「令和8年5月中旬に情報提供があり、事実確認を行った後、当該職員を自宅待機としたため、不祥事防止研修は受講しておりません」
と回答した。
今回の行為や県教委への情報提供は新たな研修開始前で、女性教職員も自宅待機となっていた。
このため、今回の事案を「新研修を受講した後に発生した不祥事」と位置付けることはできない。
対策の実効性を測る指標は今後検討
県教委は、不祥事防止対策について「不断の見直し」を行うとしている。
週刊TAKAPIが、研修終了後にどのような指標を用いて対策の実効性を検証するのか尋ねたところ、県教委は10月31日までの研修に加え、年度内にも動画や資料を使った研修を実施すると説明。
そのうえで、
「各研修等のアンケート結果等を踏まえ、今後検討する予定です」
と回答した。
今回の回答では、不祥事件数や相談件数、職員の理解度など、具体的な数値目標や評価基準が既に設定されていることは確認できなかった。
また、今年度の一連の懲戒事案については、非違行為に至った動機などを分析しているとした一方、被害者保護を理由に、その内容や共通する課題については回答を控えた。
教育長への4項目は個別回答せず
週刊TAKAPIは佐藤一男教育長に対し、教職員の懲戒処分が相次ぐ現状をどう受け止めているか、不祥事防止策の実効性をどう評価しているか、何をもって対策が機能したと説明するのか、教育行政トップとしての責任をどう考えるかの4項目についてコメントを求めた。
県教委は、
「教育長への質問について、直接的には県議会や定例記者会見等の場でお伝えしていることから、回答は控えさせていただきます」
とし、個別の回答は行わなかった。
県教委は不祥事根絶に向けて取り組みを進めるとしているが、対策の実効性をいつ、何を基準に評価するのかについては、今回の回答でも具体的な基準までは示されなかった。
編集部まとめ
岩手県教委への独自取材で、20代女性教職員の事案を県教委が把握したのは5月中旬の被害関係者からの情報提供だったこと、本件について「児童生徒性暴力等に該当するものと思われる」との見解を示していることが新たに分かった。
また、校長を「指導監督に適正を欠いた」として戒告処分とした一方、女性教職員の行動や相手との関係について、具体的な把握漏れを認定したものではないことも確認された。
今後は、校長への戒告で具体的に何が管理監督上の不備と判断されたのか、不祥事防止対策の実効性をどの指標で検証するのかが焦点となる。
週刊TAKAPI編集部/成田
特記事項
この記事は、20代女性教職員の懲戒免職事案について、週刊TAKAPIが岩手県教育委員会へ質問し、県教育委員会事務局服務管理監から得た回答を基に独自に構成しています。
県教委は、被害者が女性教職員の勤務校の児童生徒だったか、学校・教育活動を通じて知り合った人物だったか、SNSなどによる私的連絡があったかについて、被害者保護を理由に回答を控えています。
女性教職員の具体的な職種と教育職員免許状の有無も明らかにしていません。このため、本稿では「教員」「教諭」とは表記せず、「女性教職員」としています。
警察への相談・通報の有無について県教委は回答を控え、現時点で把握している刑事手続はないと回答しています。
校長の戒告について県教委は「指導監督に適正を欠いた」としていますが、「本来把握すべき事項を把握していなかった」とする具体的な事実を認定したものではないと回答しています。

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