【独自検証】Xで児童の性的画像が拡散 生成AIで被害は「再生成」へ SNS横断で何が起きているのか

X上での児童の性的画像拡散と、生成AIによる性的ディープフェイク、SNS横断の児童性的搾取問題を検証する週刊TAKAPIの報道アイキャッチ

X(旧Twitter)上で、18歳未満とみられる子どもの性的な画像や動画が大量に投稿されている問題が報じられた。専門家は対応が追いつかず「事実上野放し」と指摘し、警察も犯罪や二次被害につながるおそれがあるとして警戒している。

しかし、公開されている国内外のデータを追うと、この問題を「Xだけの問題」として扱うのは正確ではない。

米国の全米行方不明・被搾取児童センター(NCMEC)の2025年データでは、日本に関連して照会・送付された児童性的搾取に関する通報は約19万件。このうち児童性的虐待コンテンツ(CSAM)に分類されたものは約16万件だった。

さらに、日本関連の通報元としてはXが約4万8000件、Instagramが約3万8000件、TikTokが約3万3000件とされている。

ただし、これは「違法画像の投稿数」でも「被害児童数」でもない。各社の検知方法や通報基準にも左右されるため、SNSの危険度ランキングとして読むことはできない。

問題の核心は、X、Instagram、TikTok、Threadsなど複数のサービスをまたいで児童の性的搾取が発生し、さらに生成AIによって被害の作られ方そのものが変わっていることにある。

日本関連の通報は19万件 Xから4万8000件

NCMECの2025年の日本関連データでは、児童の性的搾取などに関する通報は約19万件だった。

主な通報元は次の通りとなっている。

通報元日本関連の通報件数
X約4万8000件
Instagram約3万8000件
TikTok約3万3000件
Google約2万3000件
Pinterest約2万2000件

NCMECは、このうち約16万件をCSAM関連として分類している。

重要なのは、表の数字そのものを安全性の比較に使わないことだ。

通報件数は、サービス側がどこまで自動検知するか、何を通報対象にするか、1件の通報に何個のファイルが含まれるかなどで変わる。

「Xが4万8000件だから、Instagramより危険」と結論付けることはできない。

一方で、Xを含む大規模SNSが、日本に関連する児童性的搾取対策の現場で無視できない規模の通報元になっていることは確認できる。

Threadsも例外ではない ただし件数だけで比較できない

比較対象はXだけではない。

NCMECが米議会上院側へ示した2025年のデータでは、世界全体でThreadsから5万6094件のCyberTipline通報があった。Instagramは約367万件、Facebookは約491万件、WhatsAppは約236万件だった。

これも、Threads上に5万6094件の違法画像が存在したという意味ではない。

NCMECへの**「通報」**の件数であり、サービスごとの検知・報告方法が異なる。

したがって、

「Xなら危険、Threadsなら安全」

という整理もできない。

児童性的搾取は、特定の一つのSNSだけで完結する問題ではなくなっている。

Xは成人向け性的投稿を認めるが、児童性的搾取は全面禁止

Xについては、もう一つ区別が必要だ。

Xは2024年から、合意のうえで制作・配布された成人の性的コンテンツについて、警告表示など一定の条件を満たせば投稿を認めている。

一方、児童性的搾取については明確に別扱いだ。

Xの規約は18歳未満を「子ども・未成年」と定義し、実写だけでなく、イラストやコンピューター生成、生成AIを含む児童性的搾取コンテンツを禁止している。

投稿やリンクだけでなく、「いいね」、リポスト、こうしたコンテンツを配布するアカウントのフォローも禁止対象としている。

つまり、

「成人向けコンテンツを認めている=児童の性的画像も認めている」

という理解は誤りだ。

検証すべきなのは規約の有無ではなく、規約違反コンテンツをどれだけ早く検出し、削除し、再投稿を防げているかである。