岩手県岩泉町は、消防団用として公費で購入・配置していた消火用ホースなどについて、適切な手続きを経ずに処理し、不用となったホースから金具を切り離して業者へ売却したとして、消防防災課の40代室長級職員を減給処分としていたことを公表した。
処分は2026年8月26日付。内容は給料月額の10分の1を1カ月減給するもの。
町によると、職員は5月、上司の指示や所定の手続きを経ないまま、不用となった消防団用消火ホースの金具部分を切り離し、2回にわたって業者へ売却した。
売却代金は課内職員が共有して使用する物品の購入などに充てられたという。
町は一連の行為を「公用物処理不適正」として処分。さらに、所属課の課長級、総括室長級、室長級の管理職3人についても、それぞれ戒告処分とした。
公費で購入した消防団用ホース 正規手続きを経ず処理
岩泉町の公表資料によると、問題となったのは消防防災課で管理していた消防団用の消火ホースなど。
いずれも公費で購入され、消防団用として配置されていた物品だった。
40代の室長級職員は、不用となったホースについて、上司から適切な廃棄処分に関する指示を受ける前に処理を進めた。
町が定める適正な手続きも経ないまま、ホースから金具部分を切り離し、2回にわたって業者へ売却したとされる。
町は、金具を売却した行為だけではなく、公用物を正式な手続きによらず処理した一連の対応を問題とした。
売却代金は課内共有物品の購入などに使用
岩泉町は、売却によって得た代金について、課内職員が共有して使用する物品の購入などに充てたとしている。
町の公式資料では具体的な購入品名までは示していない。
一方、IBC岩手放送は、売却代金でダンベルや姿見を購入し、職員の体づくりに使用する目的だったと報じている。
現時点で、購入した物品の数量や価格、売却代金の総額については明らかになっていない。
また、町の公表では売却代金を職員個人が取得したとはされておらず、確認できるのは課内共有物品の購入などに充てたという説明までとなる。
なぜ正規の処分手続きを取らなかったのか
町の資料では、職員がなぜ正規の手続きを経ずに金具を切り離し、業者へ売却したのかについて詳しい説明はない。
一方で町自身が、
- 上司の指示を待たなかった
- 適正な処理手順を経なかった
- 2回にわたって売却した
と認定している。
課内で使用する物品を購入する目的だったとしても、公費で購入した消防団用物品をどのような手続きで不用物として処理し、売却できるのかは別の問題となる。
今後は、町の公有物管理や不用物品の処分手続きが実際にどのように定められていたのかも確認点となる。
売却額、売却先業者、ホース本数は公表されず
今回の公表資料には、金具をいくらで売却したのかは記載されていない。
売却先となった業者名や、売却した金具の数量・重量についても明らかにされていない。
また、
- 対象となった不用ホースの本数
- ホースの取得価格
- 売却代金の合計額
- 購入した共有物品の総額
- 売却代金の会計上の処理
- 業者選定の方法
- 売却価格をどのように決めたのか
についても、公表資料からは確認できない。
町が「公用物処理不適正」として処分した以上、物品をどのように管理・処分する仕組みだったのか、売却価格や代金管理がどう扱われたのかは事案の全体像を把握するうえで重要になる。
管理職3人も戒告 管理監督責任を問う
今回、処分対象となったのは実際に金具を売却した職員だけではない。
町は、所属する消防防災課の課長級、総括室長級、室長級の管理職3人についても戒告処分とした。
一方、町の公表資料では、3人が金具の売却を事前に把握していたのか、事後に知ったのかなど、具体的な関与状況は示されていない。
それぞれについて、どのような管理監督上の責任を認定したのかも詳しくは公表されていない。
職員による処理が2回行われるまで、物品管理や上司のチェックがどの段階で機能しなかったのかは重要な確認点となる。
処分は8月26日、公表は10月1日
職員と管理職に対する処分日は8月26日だった。
一方、岩泉町が懲戒処分をホームページで公表したのは10月1日。
処分から公表まで1カ月以上が経過している。
町は「懲戒処分等の公表の取扱基準」に基づいて公表したとしているが、今回なぜ8月の処分を10月1日に公表したのか、その具体的な経緯は資料に記載されていない。
処分決定から公表までの期間がどのような運用によるものだったのかも、今後確認できる余地がある。
刑事手続きは確認できず
10月3日時点で確認できた岩泉町の公表資料や報道では、今回の事案について警察への告発、被害届、逮捕、書類送検などの刑事手続きは確認できていない。
今回公表されたのは、地方公務員に対する懲戒処分となる。
したがって、金具の売却について刑事法上の違法性が認定されたと捉えることはできない。
町が今後、警察への相談や告発などを行う予定があるのかについても公表されていない。
問われる公用物管理 なぜ2回の売却を防げなかったのか
今回の事案では、公費で購入された消防団用物品が、正式な処理手続きを経ずに切断され、2回にわたって売却されていた。
さらに、実際に処理を行った職員だけでなく、管理職3人にも戒告処分が及んだ。
今後確認すべきなのは、誰が不用物品と判断し、誰が処分を承認する仕組みだったのかという点だ。
また、金具の切り離しや業者への売却を、管理側がどの段階で把握できたのか。
売却代金を課内物品の購入に充てる際、会計上どのように取り扱っていたのか。
売却額、業者選定、代金管理、管理職の把握状況が明らかになれば、今回の「公用物処理不適正」がどこまで個人の判断によるものだったのか、組織の管理上どこに問題があったのかもより明確になる。
編集部まとめ
岩泉町消防防災課の40代室長級職員は2026年5月、公費で購入・配置されていた消防団用消火ホースなどについて、上司の指示や適正な処理手続きを経ず、不用ホースから金具を切り離し、2回にわたって業者へ売却した。
町は職員を減給10分の1・1カ月とし、所属課の管理職3人も戒告とした。
売却代金について、町は課内職員が共有する物品の購入などに充てたとしている。具体的な購入品名は公式資料では明らかにしていないが、IBC岩手放送はダンベルや姿見だったと報じている。
一方、売却額、対象となったホースの本数、売却業者、代金の具体的な会計処理、管理職がどの段階で売却を把握したのかは明らかになっていない。
処分が8月26日、公表が10月1日となった理由についても公表資料では確認できない。
今回の問題は、売却代金で何を購入したのかだけではない。
公用物の処分を誰が判断し、誰が承認し、金銭をどのように管理する仕組みだったのか。そして、なぜ2回にわたる売却を管理体制の中で止められなかったのか。
今後はその点まで確認する必要がある。
週刊TAKAPI 編集部/成田
特記事項
この記事は2026年10月3日時点で、岩泉町が10月1日に公表した懲戒処分資料と公開情報、報道内容をもとに構成しています。
岩泉町の公式資料では、処分対象者は「消防防災課の40歳代・室長級職員」とされており、本記事でも一次資料の表現を優先しています。
町は売却代金を課内共有物品の購入などに充てたとしています。IBC岩手放送は購入品についてダンベルや姿見と報じていますが、町公式資料では具体的な品目は公表されていません。
また、売却額、売却先業者、対象ホースの本数、刑事手続き、公表時期の具体的な理由については現時点で確認できていません。

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