名古屋発の「スガキヤ」と、日本初のハンバーガーチェーン「ドムドムハンバーガー」が、さらに深く結びつく。
「スガキヤ」を展開するスガキコシステムズ(名古屋市)は2026年10月2日、「ドムドムハンバーガー」を運営するドムドムフードサービスの株式を追加取得し、9月30日付でグループ会社化したと発表した。
両社の関係は突然始まったものではない。スガキコシステムズは2025年12月にドムドムフードサービスへ一部出資。2026年7月には名古屋・大須のスガキヤ店舗跡地に「ドムドムハンバーガー 東海地方復活1号店」を出店するなど、すでに協業を進めてきた。
今回のグループ化の先にあるのは、単なるハンバーガー事業への参入ではない。
スガキコシステムズは創業80周年を迎え、約20年ぶりとなるスガキヤの関東再進出を決定。さらに長期的には「1000店舗チェーン」の構築を掲げている。
なぜ今、名古屋を代表するラーメンチェーンがドムドムをグループに迎えたのか。
その背景を追うと、スガキヤが次の成長段階へ進もうとしている姿が見えてくる。
スガキヤがドムドムハンバーガーをグループ会社化
スガキコシステムズによると、2026年9月30日付でドムドムフードサービスの株式を追加取得し、正式にグループ会社として迎えることで合意した。
スガキコシステムズのグループは現在、外食事業で約300店舗を展開している。
一方のドムドムハンバーガーは、1970年に誕生した日本初のハンバーガーチェーンとして知られる。
近年のドムドムはハンバーガー店舗だけでなく、独創的な期間限定商品の開発、キャラクターを生かしたグッズ、企業とのコラボレーション、ライセンス事業などにも力を入れている。
今回のグループ化によって、スガキコシステムズは財務面での包括的なバックアップや多店舗展開のノウハウを提供し、ドムドム側がより積極的な投資を行える環境を整えるとしている。
なお、ドムドムフードサービスの藤﨑忍社長は株式の一部を引き続き保有し、代表取締役社長として経営を続ける。
2025年から始まっていたスガキヤとドムドムの接近
今回の発表だけを見ると大型M&Aのようにも映るが、両社はすでに段階的に関係を深めていた。
転機となったのが2025年12月だ。
スガキコシステムズがドムドムフードサービスへ一部出資。その後、商品・グッズ企画だけでなく、管理部門の再構築支援や店舗運営、営業教育など幅広い分野でノウハウを共有してきた。
さらに象徴的だったのが、2026年7月の名古屋・大須への出店だ。
スガキヤ跡地に「ドムドム」を出店
スガキコシステムズは、大須の自社店舗跡地に「ドムドムハンバーガー 東海地方復活1号店」を誘致した。
つまり、スガキヤが撤退した物件をそのまま空けておくのではなく、グループとして連携する別ブランドの出店場所として活用した形だ。
スガキコシステムズは、こうした約半年間の取り組みを通じて、両社がグループとして歩むことに大きなメリットがあると判断したとしている。
なぜスガキヤは「ドムドム」を選んだのか
今回のグループ化で重要なのは、スガキヤとドムドムが同じファストフードでも、得意とする分野がかなり異なることだ。
スガキコシステムズが長年蓄積してきたのは、多店舗展開、店舗開発、人材育成、物流・調達、低価格帯での店舗オペレーションなどのノウハウだ。
一方、ドムドムは近年、ユニークな商品企画やコラボレーション、物販、ライセンス、SNSを含めたブランド発信などで存在感を示してきた。
ラーメンだけでは出店できない場所を狙える
そしてもう一つ重要なのが、店舗立地の違いだ。
スガキコシステムズ自身が今回の発表で注目しているのが、ドムドムの「テイクアウトを主力とする業態」という特徴である。
ラーメンとハンバーガーでは必要となる店舗面積、厨房、客席、テイクアウト需要などが異なる。
ドムドムをグループに加えることで、スガキヤだけでは出店しにくかった物件や商圏についても選択肢が広がる可能性がある。
【編集部の考察】ドムドム買収は「1000店舗構想」のピースか
ここからは公開情報をもとにした週刊TAKAPI編集部の考察となる。
今回のグループ化を「スガキヤがハンバーガー事業を買った」とだけ捉えると、本質を見落とす可能性がある。
注目すべきなのは、スガキコシステムズがすでに「1000店舗チェーン」構想を打ち出していることだ。
現在の約300店舗から1000店舗を目指すのであれば、既存のスガキヤだけを全国に大量出店する方法以外にも、複数ブランドを持つことが成長戦略として考えられる。
ドムドムが加われば、
ラーメン=スガキヤ
ハンバーガー・テイクアウト=ドムドム
という異なる業態を組み合わせられる。
商業施設のフードコートだけでなく、駅周辺、商店街、小型物件、テイクアウト需要の強い場所など、物件ごとに適したブランドを選択できる余地も生まれる。
今回のグループ化は、スガキコシステムズが「スガキヤを運営する会社」から、複数の外食ブランドを展開する企業グループへ変わっていく一手と見ることもできそうだ。
スガキヤは約20年ぶりに関東へ 3年間で50店舗目標
もう一つ見逃せないのが、スガキヤ自身の関東再進出だ。
スガキコシステムズは2026年6月、創業80周年に合わせて新たな経営方針を発表。
2026年秋冬に約20年ぶりとなる関東エリアへの再進出を行い、年内に神奈川県へ2店舗を出店する計画を明らかにしている。
さらに関東では3年間で50店舗を目指す。
過去の関東撤退について同社は、当時の課題としてコスト構造とブランド発信の不足を挙げている。
今回は厨房改革や店舗オペレーション改善などを進めたうえで、再び関東市場に挑む。
そこにドムドムのマーケティングやテイクアウト、物販のノウハウが加わることになる。
来春には「スガキヤ×ドムドム」同一商業施設への共同出店も
両社の連携は資本関係だけにとどまらない。
スガキコシステムズは、2027年春に両ブランドを同じ商業施設へ共同出店する予定であることも明らかにした。
スガキヤとドムドムが同一施設へ出店することで、ラーメンとハンバーガーという異なる需要を一つのグループで取り込む形になる。
共同出店が成功すれば、今後の商業施設への出店モデルにも影響する可能性がある。
ドムドム側にも「多店舗展開」の追い風
今回のグループ化はスガキヤ側だけにメリットがあるわけではない。
ドムドムにとって大きいとみられるのが、スガキコシステムズが持つ店舗網・店舗開発・人材・物流・調達力だ。
魅力的なブランドがあっても、全国規模で店舗を増やすためには、物件開発、人材採用・教育、食材調達、物流、設備投資などの基盤が必要になる。
スガキコシステムズはドムドムに対して、財務面でのバックアップに加えて多店舗展開のノウハウを提供するとしている。
ドムドムにとっては、ブランドの独自性を維持しながら、店舗拡大のための経営基盤を強化できる可能性がある。
「スガキヤ+ドムドム」で1000店舗へ 名古屋企業の全国戦略が始まる
1946年創業のスガキコシステムズと、1970年に誕生したドムドムハンバーガー。
ともに長い歴史を持つファストフードブランドが、同じグループで成長を目指すことになった。
スガキコシステムズは今回のグループ化について、単なる事業規模の拡大を目的としたものではなく、両ブランドの価値を次の時代につなげていく取り組みだとしている。
約20年ぶりの関東再進出。
3年間で関東50店舗。
そして1000店舗チェーン構想。
東海地方で圧倒的な知名度を持つスガキヤが、ドムドムという異なる強みを持ったブランドをグループに迎えたことで、出店戦略そのものが大きく変わる可能性がある。
名古屋のローカルブランドから全国規模の外食グループへ――。
今回のドムドムグループ化は、その転換点の一つとなるのか。今後は関東でのスガキヤの具体的な出店場所、ドムドムの新規出店、そして2027年春に予定される両ブランドの共同出店が注目される。
※この記事の考察部分は、スガキコシステムズの公表資料、報道内容、両社の事業展開などを基に週刊TAKAPI編集部が独自に分析したものです。一部に編集部の見解を含みます。今後の出店計画などは変更される可能性があります。最新情報は各社の公式発表をご確認ください。
週刊TAKAPI編集部:黒木
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