福島県いわき市で、部下へのパワーハラスメントや暴行を理由に、市職員2人が相次いで懲戒処分を受けていたことが分かった。
市は9月29日、出先機関に勤務する50代の男性管理職について、部下職員3人にパワーハラスメントを行い、その行為によって職員を精神疾患に罹患させたとして、減給9カ月の懲戒処分とした。
翌30日には、市教育委員会事務局の60代男性職員が、部下の胸ぐらをつかみ背後の窓に押し付ける暴行を加えたとして、減給2カ月の懲戒処分を受けた。
10月7日に新たに明らかになった市側の説明では、2件はいずれも報道機関への積極的な情報提供を行わず、市や市教委の公式サイトのみで公表していた。
処分そのものに加え、精神疾患の発症や部下への暴行を伴う事案について、なぜ報道機関への情報提供を行わない公表方法を選んだのかも焦点となる。
部下3人にパワハラ 50代管理職を減給9カ月
9月29日付で処分されたのは、市の出先機関に勤務する50代の男性管理職。
市によると、部下職員3人にパワーハラスメントを行い、その行為によって職員を精神疾患に罹患させた。
処分は減給9カ月。
地方公務員法第29条第1項第1号、第2号、第3号が適用された。
市の公式公表では、具体的な減給率は明らかにされていない。
また、部下3人のうち何人が精神疾患を発症したのかについても、公式発表では具体的な人数を示していない。
長時間の打ち合わせも 「時代に合わなかった」趣旨の説明
10月7日に新たに伝えられた内容では、パワハラと認定された行為には、長時間にわたる打ち合わせなどが含まれていた。
男性管理職は市の聞き取りに対し、職員を教育する必要があった一方、自身の対応について「時代に合わなかった」という趣旨の説明をしているという。
ただし、市がパワハラと認定した具体的な発言や指導方法、その頻度、行為が続いた期間などは、公式公表では詳しく示されていない。
さらに、
- 精神疾患を発症した職員の具体的人数
- 休職の有無
- 公務災害認定の有無
- 相談や通報がどのように始まったのか
- 外部専門家が調査に関与したのか
といった点も明らかになっていない。
市は従来からハラスメント研修 それでも事案発生
いわき市は、ハラスメント防止に向け、これまでも全職員への周知や研修などを実施してきたとしている。
今回の処分を受け、市は職員研修をさらに充実させ、風通しのよい職場づくりを進めるとしている。
一方、すでにハラスメント防止の周知や研修を続けてきた中で、管理職によるパワハラが認定され、精神疾患の発症にまで至った。
今後は研修の回数だけではなく、部下が早い段階で相談できる仕組みや、管理職の指導が適切かどうかを組織として把握する体制が実際に機能するかが問われる。
市教委60代職員 部下の胸ぐらをつかみ窓へ押し付け
もう1件は、いわき市教育委員会事務局に勤務する60代の男性一般職員。
市教委によると、男性職員は2025年7月10日、部下職員1人の胸ぐらをつかみ、背後の窓に押し付ける暴行を加えた。
処分は2026年9月30日付の減給2カ月。
10月7日の追加情報では、業務上の問題を巡って部下と口論になった際に、暴行に及んだとされる。
行為から処分まで約14カ月
暴行があったのは2025年7月10日。
懲戒処分は2026年9月30日で、行為から処分まで約14カ月が経過している。
一方、公表情報では、
- 市教委が事案を把握した時期
- 調査を開始した時期
- 処分まで約14カ月を要した理由
- 被害職員が警察やハラスメント相談窓口へ相談したか
- 被害職員の勤務への影響
- 処分までの間の双方の配置
- 管理監督者への措置
などは明らかになっていない。
処分までに長期間を要した理由は、今後確認する価値が高い。
「暴行」認定と刑事事件は別
市教育委員会は、胸ぐらをつかんで窓へ押し付けた行為を、懲戒処分上の暴行として認定している。
一方、現時点で警察への被害届、書類送検、逮捕、起訴などの刑事手続きが行われたとの情報は確認されていない。
したがって、
市教委が内部調査で暴行行為を認定したこと
と、
刑法上の犯罪として警察や検察が捜査・立件したこと
は分けて扱う必要がある。
2件とも報道機関への情報提供なし
今回の2件には共通点がある。
市と市教育委員会は、それぞれ公式ホームページに懲戒処分を掲載した一方、報道機関への積極的な情報提供は行わなかった。
10月7日に伝えられた市側の説明では、社会的な影響などを考慮し、公表基準に沿ってホームページのみで公表したという。
つまり、処分自体を非公表にしたわけではない。
一方で、
- 部下3人へのパワハラ
- 職員の精神疾患発症
- 部下への身体的な暴行
- 暴行から処分まで約14カ月
という内容を考えた場合、どのような基準に基づいて「ホームページ掲載のみ」と判断したのかは、行政の説明責任を考える上で重要な確認点となる。
公表方法の判断基準も焦点
行政機関が職員の懲戒処分を公表する際には、処分された職員や被害者のプライバシー保護も必要になる。
その一方で、市民への説明責任もある。
今回、市や市教委は公式サイトで処分内容を公表しているため、「隠していた」と表現することは適切ではない。
問題となるのは、どの程度の重大性を持つ懲戒事案を、どの方法で周知するのかという判断基準だ。
特に、精神疾患の発症まで認定されたパワハラ事案と、身体的な暴行が認定された事案の双方が報道機関への情報提供対象とならなかった理由については、より具体的な説明が求められる。
編集部まとめ
いわき市で相次いだ2件の懲戒処分は、行為の内容こそ異なるが、いずれも職場で部下に対して行われた行為だった。
50代男性管理職は、部下3人にパワハラを行い、その結果として職員を精神疾患に罹患させたとして減給9カ月。
市教育委員会の60代男性職員は、部下の胸ぐらをつかみ、窓へ押し付ける暴行を加えたとして減給2カ月となった。
さらに、2件とも報道機関への積極的な情報提供は行われず、公式サイトでの公表にとどまった。
今後確認すべきなのは、処分内容だけではない。
パワハラと認定された具体的な言動や期間、精神疾患を発症した職員の人数、60代職員の処分まで約14カ月を要した理由、被害職員への支援、そして2件を報道機関への情報提供対象としなかった具体的な判断基準だ。
週刊TAKAPI 編集部/一条
特記事項
本記事は、いわき市およびいわき市教育委員会が公表した懲戒処分内容と、10月7日までに新たに明らかになった市側の説明を基に構成しています。
50代男性管理職について、市は部下職員3人へのパワーハラスメントと、その行為によって職員が精神疾患に罹患したことを認定していますが、精神疾患を発症した職員の具体的な人数は公式公表では明らかにされていません。
60代男性職員については、市教育委員会が胸ぐらをつかんで窓へ押し付けた行為を懲戒処分上の暴行として認定しています。逮捕、送検、起訴などの刑事手続きについては現時点で確認されていません。
また、2件は公式サイトで公表されており、「非公表」だったわけではありません。本記事では、報道機関への積極的な情報提供が行われなかった点を論点としています。

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