奥多摩・六ツ石山周辺で登山中のロシア人男性がクマに襲われ重傷 頭と腕から出血、ヘリで搬送

東京都奥多摩町の山中で5月17日正午ごろ、登山中のロシア国籍の30代男性がクマに襲われ、重傷を負った。男性は頭や腕から出血しており、消防ヘリコプターで病院へ搬送された。

警視庁情報では、現場は奥多摩町の六ツ石山周辺。奥多摩町は同日、人的被害が発生した場所について「奥多摩町境・小中沢林道終点付近(三ノ木戸山周辺)」と発表している。時刻についても、警視庁情報では午後0時10分ごろ、町発表では午前11時55分ごろとされており、詳細な発生地点と時刻は今後の確認が必要となる。

町は、被害に遭った男性が単独で登山中にクマと遭遇し、熊鈴を携行していなかったとの情報を明らかにした。襲ったクマは成獣1頭とみられ、町は猟友会、警察と連携し、現場周辺の警戒、追い払い、捕獲用檻の設置を進めている。

六ツ石山周辺で人的被害 町は一部ルート回避を呼びかけ

奥多摩町は登山者に対し、現場周辺のルートを避けるよう呼びかけている。六ツ石山から下山する場合は、氷川方面ではなく、小河内ダム方面へ下山するよう求めている。

六ツ石山は奥多摩駅方面から登る登山者も多い山で、周辺には三ノ木戸山、鷹ノ巣山方面へつながる登山ルートもある。週末や登山シーズンには都心部からの日帰り登山者も訪れる地域だ。

今回の被害は、登山シーズン本番に入る5月の発生だった。新緑の時期は山に入る人が増える一方、クマの活動も活発になる。奥多摩町は、例年5月から11月にかけてツキノワグマの目撃や痕跡情報が多く寄せられるとしている。

奥多摩はツキノワグマの生息地

奥多摩町は、秩父多摩甲斐国立公園の中に位置し、豊かな森林が広がる地域である。町内にはツキノワグマも生息しており、登山道、林道、渓流、集落周辺で目撃や痕跡が確認されることがある。

町はこれまでも、クマの目撃情報が寄せられた場合、猟友会や警察と連携して追い払い、パトロール、捕獲用箱罠の設置などを行ってきた。人家近くへの出没を減らすため、雑木の伐採、草刈り、放任果実の伐採なども進めている。

ただ、山中ではクマの行動範囲が広い。目撃情報が出ていない場所でも遭遇する可能性はある。今回のような人的被害は、奥多摩の山が「都内の観光地」であると同時に、野生動物の生息地でもあることを改めて示した。

単独登山と熊鈴なし 出会い頭の危険

町発表では、被害男性は単独で登山中で、熊鈴を携行していなかったとの情報が示されている。

もちろん、熊鈴があれば絶対に被害を防げるわけではない。だが、クマとの事故で特に危険なのは、至近距離で突然出会う「出会い頭」の遭遇だ。人の接近に気づいたクマが先に離れる機会を作るため、鈴、ラジオ、会話、足音などで人間の存在を知らせることは基本的な対策とされる。

単独登山では、けがをした場合に助けを呼ぶまで時間がかかる。携帯電話が通じにくい場所では、通報そのものが遅れる可能性もある。奥多摩のように都心から近い山でも、山中でクマに襲われれば、救助にはヘリ搬送が必要になることがある。

今回の事案は、奥多摩の山を軽く見ることへの警告でもある。

解説|クマに遭遇した場合、何をしてはいけないか

クマに遭遇した場合、最も避けるべき行動は、走って逃げることだ。背中を見せて逃げると、クマを刺激し、追われる危険がある。

また、写真や動画を撮るためにカメラを向ける行為も危険だ。撮影しようとして立ち止まる、近づく、目の前で動く、フラッシュを使うなどの行動は、クマにとって刺激になる。

大声で威嚇することも、状況によっては危険を高める。距離がある場合は、背中を向けず、クマの動きを見ながら、ゆっくり距離を取ることが基本になる。

クマがこちらへ向かってくる場合は、熊撃退スプレーをすぐ使える位置に持っているかが重要になる。ザックの奥に入れていては間に合わない。携行するなら、腰ベルトや胸元など、片手で取り出せる場所に装着しておく必要がある。

万一襲われた場合は、首や頭を守る行動が必要になる。地面に伏せ、首の後ろを手で守り、致命傷を避ける姿勢を取ることが求められる。

登山前に確認すべきこと

奥多摩方面へ登山する場合、出発前に最新のクマ目撃情報を確認する必要がある。東京都は「TOKYOくまっぷ」で都内のツキノワグマ目撃情報を公開している。奥多摩町も、町内の目撃情報や注意喚起を更新している。

登山時には、次の対策が必要になる。

・単独行動をできるだけ避ける
・クマ鈴、ラジオ、ホイッスルなど音の出るものを持つ
・熊撃退スプレーを取り出しやすい位置に携行する
・食料やごみを放置しない
・朝夕の見通しが悪い時間帯は特に警戒する
・目撃情報のあるルートを避ける
・クマを見ても撮影しない
・子グマを見つけても絶対に近づかない

子グマの近くには母グマがいる可能性がある。見た目が小さくても、周囲に母グマがいれば危険は一気に高まる。

今後の焦点:

男性の容体、襲ったクマの行方、現場周辺の登山ルートの安全確認である。

町はすでに、猟友会と警察と連携して警戒を進めている。捕獲用檻の設置も行っており、現場周辺では当面、登山者への注意喚起が続くとみられる。

奥多摩は、都心から電車で行ける人気の山岳エリアである。その一方で、ツキノワグマが暮らす山でもある。今回の人的被害は、登山者が「東京の山」という安心感だけで入ってはいけないことを示している。

山に入る前に出没情報を確認する。単独行動を避ける。音で人の存在を知らせる。遭遇時の行動を知っておく。

この基本を徹底できるかが、登山シーズンの安全を左右する。

編集部まとめ

東京都奥多摩町の六ツ石山周辺で5月17日、登山中のロシア国籍の30代男性がクマに襲われ、重傷を負った。男性は頭や腕から出血し、消防ヘリコプターで病院へ搬送された。

奥多摩町は、人的被害の発生場所を奥多摩町境・小中沢林道終点付近、三ノ木戸山周辺と発表した。被害男性は単独で登山中で、熊鈴を携行していなかったとの情報も示している。

町は猟友会、警察と連携し、現場周辺の警戒、追い払い、捕獲用檻の設置を進めている。登山者には現場周辺のルートを避けるよう呼びかけており、六ツ石山からの下山は氷川方面ではなく小河内ダム方面を利用するよう求めている。

奥多摩は都内の人気登山地である一方、ツキノワグマの生息地でもある。登山者は最新の出没情報を確認し、熊鈴、ラジオ、撃退スプレーなどの対策を取る必要がある。

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