福岡地裁「指導の範囲を逸脱」 自殺との因果関係は認めず
福岡市立中学校に通っていた男子生徒が、担任教諭から「タコ」と呼ばれたことをきっかけに同級生からいじめを受け、不登校の末に2020年に自殺したとして、両親が福岡市に損害賠償を求めた訴訟で、福岡地裁は5月27日、市に55万円の支払いを命じる判決を言い渡した。
判決によると、2018年、当時中学1年だった男子生徒は、資料のホチキス止めを失敗した際、担任教諭から同級生の面前で「反対やないかタコ」と言われた。
その後、生徒は同級生から「タコ」とからかわれるようになり、いじめを受け、不登校になった。
裁判所は、担任教諭の発言について、生徒を侮辱するもので、教育的指導の範囲を逸脱した不相当な行為だったと認定した。さらに、この発言がその後のいじめを誘発したとして、福岡市の賠償責任を認めた。
一方で、発言から自殺まで2年以上が経過していることなどを理由に、教諭の発言と自殺との因果関係は認めなかった。
両親は代理人を通じて「裁判所の判断には納得ができない」とコメントしている。福岡市は、判決内容を精査し、対応を検討するとしている。
今回の判決は、教員の何気ない一言が、教室内の人間関係やいじめにつながる危険性を示した。教師が発した言葉は、指導のつもりであっても、同級生の前では生徒へのからかいや排除のきっかけになり得る。
学校現場では、暴力だけでなく、教員の発言そのものが児童生徒の尊厳を傷つける場合がある。今回の判決は、教員の言葉の重さと、いじめを生まない教室づくりの必要性を改めて問うものとなった。
編集部まとめ
福岡市立中学校の男子生徒が、担任教諭から「反対やないかタコ」と言われた後、同級生からいじめを受け、不登校となり、その後自殺した。
福岡地裁は、担任教諭の発言を「指導の範囲を逸脱した不相当な行為」と認定し、いじめを誘発したとして福岡市に55万円の賠償を命じた。
ただし、発言と自殺との因果関係は認めなかった。
今後は、福岡市が控訴するかどうか、学校現場で教員の言動管理やいじめ防止策がどう見直されるかが焦点となる。
この記事の要点Q&A
Q1. 何が問題になった裁判ですか?
福岡市立中学校の男子生徒が、担任教諭から「タコ」と言われたことをきっかけに同級生からいじめを受け、不登校の末に自殺したとして、両親が福岡市に損害賠償を求めた裁判です。
Q2. 福岡地裁は何を認めましたか?
担任教諭の「反対やないかタコ」という発言が、生徒を侮辱するもので、教育的指導の範囲を逸脱した不相当な行為だったと認定しました。また、その後のいじめを誘発したとして、市の賠償責任を認めました。
Q3. 自殺との因果関係は認められましたか?
認められませんでした。裁判所は、発言から自殺まで2年以上が経過していることなどを踏まえ、自殺との因果関係は否定しました。
Q4. 賠償額はいくらですか?
福岡市に対し、計55万円の支払いが命じられました。
Q5. 今後の焦点は何ですか?
福岡市の対応、遺族側の受け止め、学校現場での教員の言動管理、いじめ防止体制の見直しが焦点になります。

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