懲戒免職とは?教員・公務員が処分されるとどうなるのかをわかりやすく解説

ニュースで教員や公務員の不祥事が報じられると、「懲戒免職」という言葉が出てくることがあります。

盗撮、わいせつ行為、飲酒運転、横領、暴力、重大な信用失墜行為などで、学校教員や自治体職員、国家公務員が処分される場合に使われる言葉です。

では、懲戒免職とは具体的にどのような処分なのでしょうか。

退職との違いは何か。
給料や退職金はどうなるのか。
教員の場合、再び学校で働けるのか。
逮捕や書類送検とは何が違うのか。

この記事では、懲戒免職の意味や、公務員・教員が処分された場合の流れをわかりやすく整理します。

懲戒免職とは

懲戒免職とは、公務員に対する懲戒処分の中で最も重い処分です。

簡単に言えば、重大な非違行為を理由に、公務員としての身分を失わせる処分です。

「免職」とある通り、処分を受けた人は職を失います。

国家公務員や地方公務員、教員などは、法律や条例、服務規律に基づいて勤務しています。

その立場に反する重大な行為があった場合、任命権者や教育委員会などが調査し、懲戒処分を行うことがあります。

懲戒処分には、一般的に重い順に次のような種類があります。

免職
停職
減給
戒告

この中で、懲戒免職は最も重い処分です。

懲戒処分の種類

免職

職を失わせる処分です。

公務員として勤務を続けることができなくなります。

重大な犯罪行為、職務上の重大な不正、児童生徒へのわいせつ行為、悪質な飲酒運転、横領など、特に重い事案で選択されることがあります。

停職

一定期間、職務に就くことを禁止される処分です。

停職期間中は、原則として給与が支給されません。

免職ほどではないものの、非常に重い処分です。

減給

一定期間、給与の一部を減らす処分です。

違反行為の内容や程度に応じて、減給の割合や期間が決められます。

戒告

将来を戒める処分です。

懲戒処分の中では比較的軽いものですが、正式な処分であり、人事記録にも残ります。

懲戒免職と普通の退職は何が違う?

懲戒免職と通常の退職は、まったく意味が違います。

通常の退職は、本人の意思や定年、契約期間満了などにより職を離れるものです。

一方、懲戒免職は、重大な非違行為を理由に、組織側が処分として職を失わせるものです。

そのため、再就職や社会的信用に与える影響も大きくなります。

ニュースで「懲戒免職処分にした」と報じられる場合、その組織が「職員として勤務を続けさせることはできない」と判断したという意味になります。

教員が懲戒免職になるケース

教員の場合、懲戒免職が問題になるケースとして多いのは、児童生徒へのわいせつ行為、盗撮、体罰や不適切指導、飲酒運転、窃盗、横領などです。

特に、児童生徒への性犯罪・性暴力やわいせつ行為は、極めて重大な問題として扱われます。

文部科学省の教職員の懲戒処分指針でも、児童生徒に対するわいせつ行為については、免職とする扱いが示されています。(文部科学省)

教員は、児童生徒を指導し、守る立場にあります。

そのため、子どもや保護者の信頼を裏切る行為は、厳しい処分につながりやすいのです。

公務員が懲戒免職になるケース

公務員の場合も、職務上または職務外の重大な行為によって懲戒免職となることがあります。

たとえば、公金の横領、収賄、情報漏えい、重大な交通違反、わいせつ行為、暴力事件、勤務実態を偽る行為などです。

国家公務員については、人事院が懲戒処分の指針を示しており、行為の種類や悪質性に応じて、免職、停職、減給、戒告などの処分が選ばれます。(人事院)

地方公務員についても、地方公務員法や各自治体の条例・規則に基づき、懲戒処分が行われます。(e-Gov)

懲戒免職になると退職金はどうなる?

懲戒免職になると、退職金が支給されない、または大幅に減額されることがあります。

ただし、退職金の扱いは、国家公務員か地方公務員か、また自治体や職種、事案の内容によって異なります。

一般的には、懲戒免職は最も重い処分であるため、退職金にも大きな影響が出る可能性が高いと考えられます。

報道で「退職金は支給されない見込み」「退職手当を不支給とした」などと出る場合は、この部分に関係しています。

懲戒免職になると教員免許はどうなる?

教員が懲戒免職になった場合、教員免許にも影響することがあります。

特に、児童生徒への性犯罪・性暴力など重大な事案では、教員免許の失効や再授与の制限が問題になります。

近年は、子どもを守る観点から、過去に性暴力などで処分を受けた教員が再び教育現場に戻ることへの対策が強化されています。

ただし、教員免許の扱いは事案の内容や法令、教育委員会の対応によって異なるため、個別に確認が必要です。

逮捕・書類送検・起訴との違い

懲戒免職は、刑事処分ではありません。

ここは混同しやすいポイントです。

逮捕、書類送検、起訴、判決は、警察・検察・裁判所による刑事手続きです。

一方、懲戒免職は、勤務先である自治体、国、教育委員会などが行う人事上の処分です。

つまり、刑事事件として有罪が確定していなくても、組織の調査により服務規律違反が認められれば、懲戒処分が行われることがあります。

逆に、刑事処分とは別に、勤務先の処分が後から行われるケースもあります。

なぜ実名が出る場合と出ない場合があるのか

懲戒免職の記事では、処分された教員や公務員の名前が報じられる場合と、匿名で報じられる場合があります。

国の指針では、懲戒処分の公表について、事案の概要や処分内容、処分年月日、所属や役職段階などを基本として公表することが示されています。(人事院)

ただし、個人が識別されない内容を基本としつつ、事案の社会的影響や職責などを考慮して、別の取り扱いがされる場合もあります。

つまり、実名公表されるかどうかは、事件の内容、社会的影響、職務との関係、自治体や教育委員会の公表基準などによって変わります。

懲戒免職後に再就職はできる?

懲戒免職になったからといって、すべての仕事に就けなくなるわけではありません。

ただし、公務員として再び採用されることは難しくなる可能性があります。

また、教員の場合は、教員免許の状態や処分歴が問題になることがあります。

民間企業への再就職についても、処分内容が重大であれば、採用時に不利になる可能性があります。

特にニュースで大きく報じられた事件の場合、社会的信用への影響は避けられません。

懲戒免職は取り消せる?

懲戒免職を受けた本人が処分に不服がある場合、審査請求や訴訟などで争うことがあります。

実際に、懲戒処分が重すぎるとして処分取消しを求めるケースもあります。

ただし、懲戒免職は重大な処分であるため、処分を行う側も事実関係や手続きに注意して判断する必要があります。

処分の妥当性は、行為の内容、悪質性、被害の程度、職務との関係、過去の処分歴、反省の有無などを踏まえて判断されます。

ミニ解説|懲戒免職とは何か

Q. 懲戒免職とは何ですか?

A. 公務員に対する懲戒処分の中で最も重い処分です。重大な非違行為を理由に、公務員としての身分を失わせる処分です。

Q. 懲戒免職と解雇は同じですか?

A. 似ていますが、公務員の場合は「懲戒免職」という言葉が使われます。民間企業では「懲戒解雇」と呼ばれることが一般的です。

Q. 教員が懲戒免職になるとどうなりますか?

A. 学校での職を失います。事案によっては、教員免許の失効や再授与の制限などにも関わることがあります。

Q. 懲戒免職になると退職金は出ますか?

A. 事案や制度によりますが、退職金が支給されない、または大幅に減額されることがあります。

Q. 逮捕されないと懲戒免職にはなりませんか?

A. いいえ。懲戒免職は刑事処分ではなく、人事上の処分です。逮捕や起訴の有無とは別に、勤務先の調査で重大な服務違反が認められれば処分されることがあります。

Q. 懲戒免職はニュースで必ず公表されますか?

A. すべてが実名で公表されるわけではありません。公表内容は、事案の内容や社会的影響、自治体や教育委員会の基準によって異なります。

まとめ

懲戒免職とは、公務員に対する最も重い懲戒処分です。

教員や公務員が重大な不祥事を起こした場合、職を失うだけでなく、退職金、教員免許、再就職、社会的信用にも大きな影響が出る可能性があります。

一方で、懲戒免職は刑事処分とは別の人事上の処分です。

逮捕や起訴、有罪判決とは別に、勤務先の調査によって処分が行われることがあります。

ニュースで「懲戒免職」と出たときは、単に退職したという意味ではなく、組織が重大な服務違反を認め、最も重い処分を行ったという意味で理解する必要があります。

本記事は、人事院、文部科学省、地方公務員法などの公開情報を基に構成しています。制度の運用は職種や自治体、事案の内容によって異なる場合があります。

担当記者:一条|週刊TAKAPI 記者

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