2026年5月25日、北海道の2つの法廷で、若い命をめぐる重大事件の初公判が同じ日に予定されている。
札幌地裁では、江別市の公園で大学生の長谷知哉さん、当時20歳が集団暴行を受け死亡した事件。旭川地裁では、旭川市の神居大橋で女子高校生、当時17歳が川に転落し死亡した事件の審理が始まる。
ひとつは、交際関係をめぐる集団暴行の末に大学生が死亡した事件。もうひとつは、女子高校生が暴行を受け、橋の上で追い詰められた末に死亡したとされる事件である。発生時期も、現場も、被告も異なる。それでも、2つの事件が同じ日に法廷の入口に立つ事実は重い。
江別の事件は2024年10月に発覚した。長谷さんは複数人から殴る、蹴るなどの暴行を受けた末に死亡したとされる。報道では、暴行は数百発に及んだとも伝えられている。
川村葉音被告ら3人は、長谷さんを死亡させたうえ、現金やカードを奪ったとして、強盗致死などの罪に問われている。3人は起訴内容を認める方針とされ、量刑が主な争点になる見込みだ。
長谷さんは、20歳だった。公園で複数人に囲まれ、暴行を受け、命を失った。法廷では、誰がどの行為をしたのか、どの程度の責任を負うのかが一つずつ確認される。
旭川の事件は2024年4月に起きた。留萌市の女子高校生は暴行を受け、服を脱がされたうえ、神居大橋の欄干に座らされたとされる。起訴内容では、その後、川に転落して死亡したとされている。
殺人罪などに問われている内田梨瑚被告は、殺人の実行行為を否定する方針とされる。法廷では、殺意の有無、転落に至る行為、共犯者との共謀が争点になる。
被害者は17歳だった。橋の上で何を言われ、何をされ、どのような状態で川に落ちたのか。裁判では証拠と証言に基づき、その経緯が確認される。
2つの裁判は、感情で裁く場ではない。被告ごとの刑事責任は、証拠に基づいて判断される。起訴内容を認める被告もいれば、否認する被告もいる。司法の判断は、法廷で示される。
ただし、社会が見なければならない事実がある。
若者同士の関係の中で、暴行が続いた。
被害者が助けを求められない状況に置かれた。
周囲に複数人がいながら、命を守る方向には進まなかった。
江別では、暴行と金品奪取が問われる。旭川では、橋の上での行為と殺意が問われる。どちらの事件にも、被害者を一人の人間として扱わなかった疑いがある。
旭川では過去にも、女子中学生の死亡をめぐるいじめ問題が大きく報じられた。今回の事件とは別の事案であり、地域全体を一括りに責めるべきではない。それでも、若い命が失われた事件が繰り返し報じられてきた現実から、目をそらすことはできない。
5月25日に始まる2つの裁判は、被告の責任を判断するための手続きである。同時に、社会が若者同士の暴力をどこで止められたのかを考える機会でもある。
呼び出し。暴行。罵声。撮影。金品の要求。集団での圧力。
その一つひとつを、周囲が「友人同士のもめごと」として見過ごしていなかったか。
長谷知哉さんには、20歳から先の生活があった。
旭川の女子高校生にも、17歳から先の時間があった。
裁判が始まっても、失われた命は戻らない。だからこそ、法廷で語られる事実を見続ける必要がある。
忘れてはいけない。
この言葉は、事件名を覚えるためだけにあるのではない。
次の被害者を出さないために、社会が目を離さないという約束である。
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編集部まとめ
2026年5月25日、北海道の2つの法廷で重大事件の初公判が予定されている。
札幌地裁では、江別市の大学生集団暴行死事件で、川村葉音被告ら3人の裁判員裁判が始まる。
旭川地裁では、神居大橋で女子高校生が死亡した事件で、内田梨瑚被告の初公判が予定されている。
江別事件では量刑、旭川事件では殺意、実行行為、共謀の有無が主な争点になる。
2つの事件は別の事案だが、若者同士の暴力が命を奪ったとされる点で、社会に重い問いを残している。
Q. 5月25日に北海道で予定されている初公判は何ですか?
A. 江別市の大学生集団暴行死事件と、旭川市の女子高校生殺害事件の初公判です。
Q. 江別市の事件では何が争点になりますか?
A. 川村葉音被告ら3人は起訴内容を認める方針とされ、量刑が主な争点になる見込みです。
Q. 旭川市の事件では何が争点になりますか?
A. 内田梨瑚被告が殺人の実行行為を否定する方針とされ、殺意、実行行為、共謀の有無が争点になります。
Q. なぜ「忘れてはいけない事件」として扱うのですか?
A. 若者同士の暴力が命を奪ったとされる重大事件であり、同じような事件を防ぐために社会が見続ける必要があるためです。

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