長崎市の私立海星高校で2017年4月、当時高校2年生だった男子生徒(16)が自ら命を絶った問題をめぐり、遺族が学校法人海星学園に約3200万円の損害賠償を求めた訴訟で、長崎地裁は6月8日、学校側に330万円の支払いを命じる判決を言い渡した。
男子生徒は中学3年の頃から、同級生におなかの音をからかわれるなど、学校生活の中で繰り返し嫌がらせを受けていたとされる。報道では、特定の身体的な反応を笑いものにする行為だけでなく、複数の嫌がらせが重なり、心理的な孤立を深めていたことも指摘されている。高校進学後も苦しみは続き、遺書やノートには、いじめをうかがわせる記述が残されていた。
学校側が設置した第三者委員会は2018年、同級生によるいじめが自死の主たる要因だったとする報告書をまとめた。報告書は、中学時代から続いたいじめに加え、心理的な孤立や教員による理不尽な指導の影響にも触れていた。
ところが、学校法人側はこの報告書を「論理的な飛躍がある」などとして受け入れなかった。自ら設置した第三者委の判断を拒み、いじめの有無や自死との因果関係を争い続けた対応は、教育機関として極めて重い問題を残した。
遺族側は、学校の対応に強い不信感を示してきた。母親は公判で「学校を、教員たちを、絶対に許せません」と訴えた。さらに、学校側から「突然死にしたことにしないか」「転校したことにする」といった趣旨の提案があったとされ、遺族の怒りは、いじめそのものだけでなく、その後の説明姿勢にも向けられていた。
今回の判決は、請求額約3200万円に対して330万円の認容にとどまった。ただし、金額の大小だけで見る判決ではない。長崎地裁が学校側の責任を一部認めたことは、いじめ防止対策を怠った学校の対応に、司法が一定の線を引いたという意味を持つ。
この判決が突きつけたのは、学校が「知らなかった」「因果関係はない」と言い続ければ済むのかという問題だ。生徒が苦しみ、遺書やノートに痕跡を残し、第三者委員会がいじめを主たる要因と判断した後も、学校が報告書を受け入れなかった。その対応を、裁判所は完全には見過ごさなかった。
今後の焦点は、判決理由の詳細、学校法人海星学園の受け止め、控訴の有無に移る。男子生徒が亡くなってから7年以上。遺族が求めてきたのは、賠償金だけではない。何が起き、学校が何を見落とし、なぜ第三者委員会の判断を拒んだのか。その説明責任は、判決後も残り続ける。
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編集部まとめ
長崎地裁は、海星高校いじめ自殺訴訟で学校法人海星学園に330万円の賠償を命じた。
亡くなったのは、当時高校2年生だった男子生徒(16)。
第三者委員会は2018年、いじめが自死の主たる要因だったとする報告書をまとめていた。
学校法人側はその報告書を受け入れず、いじめの有無や自死との因果関係を争っていた。
今回の判決は、私立学校のいじめ防止対策、第三者委員会報告書の扱い、遺族への説明責任を問う判断となった。
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事件のポイントQ&A
Q1. 海星高校いじめ自殺訴訟の判決はいつ出ましたか。
2026年6月8日、長崎地裁で判決が言い渡されました。
Q2. 学校側に命じられた賠償額はいくらですか。
学校法人海星学園に対し、330万円の支払いが命じられました。
Q3. 亡くなった生徒は当時何歳でしたか。
当時16歳の高校2年生でした。
Q4. 争点は何でしたか。
いじめの有無、学校のいじめ防止対策、第三者委員会報告書の扱い、自死との因果関係です。
Q5. この判決の意味は何ですか。
学校側の責任が一部認められたことで、いじめ防止対策と第三者委員会報告書を軽く扱う学校対応に、司法が一定の判断を示した点です。

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