沖縄県名護市の名桜大学は2026年8月13日、2025年度と2026年度の一般選抜で大学入学共通テストの得点集計処理に誤りがあり、本来合格だった受験者計10人を不合格と判定していたと発表し、謝罪しました。
内訳は2025年度一般選抜前期日程が6人、2026年度一般選抜前期日程が4人です。2025年度一般選抜後期日程でも同様の集計処理上の誤りが確認されましたが、合否への影響はありませんでした。大学は直近4年度の合否判定資料を再点検し、合否に影響した対象者が計10人に上ることを確認しています。
受験者からの成績開示問い合わせで発覚
名桜大学によると、問題が判明したきっかけは7月29日に寄せられた成績開示に関連する問い合わせでした。
大学が改めて合否判定資料を確認したところ、募集要項に定めた得点処理とは異なる集計処理が行われていたことが判明しました。さらに、その誤りを合否判定までの確認工程でも発見できていませんでした。
問題を受け、大学は直近4年度について全学的に入学者選抜の資料を再点検。その結果、2025年度前期で6人、2026年度前期で4人が、本来は合格だったにもかかわらず不合格と判定されていたことが明らかになりました。
2025年度後期にも集計ミス ただし合否への影響なし
大学が公表した内容では、得点集計処理上のミスは計3件確認されています。
2025年度一般選抜前期、2025年度一般選抜後期、2026年度一般選抜前期の3つです。
このうち実際に合否判定へ影響したのは2025年度前期と2026年度前期で、2025年度後期については処理上の誤りがあったものの、受験者の合否結果には影響しませんでした。
そのため、「3試験すべてで誤って不合格者が出た」ということではありません。合否への影響が確認された10人は、前期日程の2年度分に限られます。
共通テスト得点の配点処理に誤り 確認工程でも見逃す
大学は今回の直接的な原因について、大学入学共通テストの得点集計で「募集要項に定めた得点処理と異なる集計処理」が行われたと説明しています。
関連する報道では、得点を集計する仕組みが募集要項通りに配点処理されていなかったことが伝えられています。
一方、大学が8月13日に正式公表した資料では、特定の表計算ソフト名や関数、個別科目ごとの具体的な設定ミスまでは明らかにしていません。このため、現段階では「表計算ソフトの特定関数が原因だった」「情報科目だけが原因だった」などと断定することは避ける必要があります。
大学自身は、単純な担当者個人の操作ミスだけではなく、「業務工程と確認体制の組織的課題」と位置付けています。
10人全員に説明・謝罪 希望や現在の在籍状況を個別確認
大学は対象となった10人全員に事実関係を説明し、謝罪したとしています。
現在は、対象者が別の大学などに在籍しているのか、どのような履修状況にあるのか、今後どのような対応を希望するのかを一人ずつ確認しています。
大学は本人の意向を最大限尊重し、不利益を可能な限り軽減するため「最大限の救済措置」を検討するとしています。
ただし、対象者全員を一律に同じ方法で受け入れるという意味ではありません。本人の現在の在籍・履修状況や、法令、学内規程、単位認定、教育課程上の実現可能性などを踏まえ、受け入れ方法を個別に検討します。
関連する会見報道では、本人が希望する場合には入学を受け入れる方向で対応すると説明されています。
補償は教育上の救済と分けて個別検討
大学は、入学や単位認定など教育上の救済と、金銭的な補償などを分けて対応する方針です。
補償については、対象者それぞれの事情と今回の判定ミスとの因果関係を確認したうえで、顧問弁護士などの助言を受けながら対応するとしています。
誤って不合格とされたことで、別大学への入学、転居、学費負担、進路変更など個々の状況が異なる可能性があります。このため、具体的な補償額や補償範囲は現時点では公表されていません。
8月6日に文部科学省へ報告 10日に危機管理委員会
大学は8月6日、今回確認された3件の得点集計ミスを文部科学省へ正式に報告し、本来合格だった10人の受け入れ方法などについて相談しました。
さらに8月10日には危機管理委員会を開催し、今回の問題を大学全体の危機事案として対応することを確認しました。
そのうえで13日に公式発表し、緊急の会見を開いて謝罪しました。会見では嘉納英明学長が、誤った合否判定で不利益を受けた受験者と家族に謝罪し、対象者への対応を最優先にすると説明しています。
2027年度入試から「別担当者が元データから再計算」
名桜大学は2027年度入学者選抜から、再発防止のため複数の緊急措置を導入します。
募集要項と得点集計のルール・設定を事前に照合するほか、集計を担当した職員とは別の担当者が元データから改めて計算し、その結果を照合します。
さらに、作成者と確認者を分けて複数段階でチェックし、その記録を保存。導入予定の入試システムについても、本番前のテストに加え、導入後しばらくは別担当者による確認を併用します。
人員配置や業務分担、責任体制、学科との連携を含め、入試実施体制全体も見直すとしています。
対象者の学部・出身地などは公表せず
大学は、誤判定された10人が将来特定されることを防ぐため、学部・学科名、氏名、出身高校、出身都道府県、現在の在籍校、個々の入学意思などは公表しない方針です。
入試ミスは公益性の高い問題ですが、対象者は被害を受けた立場です。本人が望まない形で進学先や出身校などが特定されることがないよう、報道でも個人情報への慎重な配慮が求められます。
編集部まとめ
名桜大学の今回の問題で重いのは、単に「点数を間違えた」ことではありません。2025年度と2026年度の2年間にわたり、本来なら合格していた10人が不合格と判定され、その誤りが通常の確認工程でも発見されなかったことです。
大学はこれを担当者個人だけの問題ではなく、業務工程と確認体制を含む組織的課題と認識しています。今後は10人それぞれへの入学・単位認定などの救済、補償の内容とともに、なぜ募集要項と異なる処理が設定され、複数年度にわたってチェックを通過したのかという原因究明が最大の焦点になります。
週刊TAKAPI編集部/成田
特記事項
名桜大学の8月13日公式発表を一次情報として確認しました。合否への影響は2025年度一般選抜前期の6人と2026年度一般選抜前期の4人、計10人です。2025年度後期にも得点集計処理上の誤りはありましたが、合否への影響はありませんでした。
大学の公式発表では「募集要項に定めた得点処理と異なる集計処理」と説明しており、特定の表計算ソフト、関数、個別科目が直接原因だったとの詳細までは公表していません。本記事では、未確定の技術的原因を事実として補完していません。
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