大阪市天王寺区の地下街「あべちか」で2026年6月、ベトナム国籍の女性(31)が刃物のようなもので刺され、現金などが入ったバッグを奪われた事件で、大阪府警は9月3日、強盗殺人未遂の疑いで公開手配していたベトナム国籍のクアン・バン・ジャオ容疑者(26)を逮捕した。
クアン容疑者は事件に使われた車の運転役だったとみられている。
捜査関係者によると、クアン容疑者は3日、東京都内の入管施設に出頭した。大阪府警が公開手配したのは前日の2日で、公開手配から約1日で身柄が確保されたことになる。
警察はクアン容疑者の認否を明らかにしていない。
事件ではすでにベトナム国籍の男女3人が逮捕されており、今回で逮捕者は4人となった。警察は、さらに事件に関与した人物がいる可能性も視野に、背景や役割分担を調べている。
事件は6月10日夜 天王寺駅近くの地下街「あべちか」
事件が起きたのは6月10日午後7時45分ごろ。
大阪市天王寺区のJR天王寺駅近くにある地下街「あべちか」で、ベトナム国籍の女性(31)がトイレから出たところを襲われた。
警察によると、女性は胸や首などを刃物のようなもので刺され、現金約22万円などが入ったバッグを奪われた疑いがある。女性は病院に搬送されたが、命に別条はなかった。別の報道では全治約2週間とされている。
発生直後、現場から複数の人物が逃走。
大阪府警が防犯カメラの映像や逃走車両などを追跡し、捜査を進めてきた。
8月に男女2人を逮捕 その後「実行役」とみられる25歳男も
捜査が大きく動いたのは8月だった。
大阪府警は8月13日までに、いずれもベトナム国籍の、
ロー・ニャット・タム容疑者(33)
レ・ティ・カン・リン容疑者(21)
の男女2人を強盗殺人未遂の疑いで逮捕した。
さらに8月28日には、ベトナム国籍のグエン・ヒュー・チョン容疑者(25)を逮捕。
グエン容疑者は、女性を襲った実行役の一人とみられている。
警察は千葉県内の集合住宅に潜伏していたところを発見したという。
4人目のクアン容疑者は「運転役」か
そして今回逮捕されたのが、クアン・バン・ジャオ容疑者だ。
大阪府警は9月2日、クアン容疑者を公開手配。
府警の公開情報によると、クアン容疑者は1999年11月2日生まれの26歳で、ベトナム国籍。身長は約160センチとされていた。
捜査では、事件に関わった人物らが関東方面から車で大阪へ移動し、事件後に再び関東方面へ戻ったとみられている。
クアン容疑者は、その車を運転していた人物とみられている。
高速道路の防犯カメラにも姿
警察は公開手配に際し、事件後に関東方面へ向かう高速道路のインターチェンジで撮影されたクアン容疑者とみられる映像も公開していた。
さらに、7月31日には東京都世田谷区内の防犯カメラにクアン容疑者の姿が映っていた。
警察が把握していた足取りはここで途切れていた。
大阪府警は9月2日に全国へ公開手配し、情報提供を呼びかけていた。
その翌日、状況が動いた。
公開手配翌日、東京都内の入管施設に出頭
9月3日、クアン容疑者は東京都内の入管施設へ出頭した。
その後、警察が身柄を確保し、強盗殺人未遂容疑で逮捕した。
公開手配から逮捕まで、わずか1日ほどだった。
なぜクアン容疑者が入管施設へ出頭したのか。
公開手配を受けて自ら出頭したのか。
出頭までの約3か月間、どこでどのように生活していたのか。
現時点では詳しい経緯は明らかになっていない。
被害女性は「待ち合わせ」で天王寺を訪れていた
捜査で注目されるのが、被害女性が事件当時、なぜ天王寺にいたのかだ。
これまでの捜査によると、女性は仕事で大阪を訪れ、天王寺駅周辺で人と待ち合わせをしていたという。
その後、地下街のトイレから出たところを襲われたとされる。
事件が偶発的な路上強盗だったのか。
それとも女性の行動を把握した上で待ち伏せしていたのか。
事件の背景を解明するうえで重要なポイントになる。
実行役、運転役――組織的な役割分担か
これまでの捜査からは、複数人が事件に関与した疑いが浮かんでいる。
少なくとも、
女性を襲ったとみられる実行役
逃走などに使われた車の運転役
という役割があった可能性がある。
警察は当初から、逮捕された人物以外にも事件に関わった者がいるとみて捜査してきた。
一部報道では、警察がさらに指示役がいる可能性も視野に調べているとされている。
ただし、現段階で具体的な「指示役」が特定・逮捕された事実は確認されていない。
「トクリュウ」の可能性も捜査線上
8月に最初の男女2人が逮捕された際、警察は匿名・流動型犯罪グループ、いわゆる**「トクリュウ」**の可能性も視野に入れて捜査していると報じられていた。
ただし、今回の事件がトクリュウによる犯行だと確定したわけではない。
現時点で確認されているのは、ベトナム国籍の複数の人物が事件に関与した疑いで相次いで逮捕され、警察が役割分担や背後関係を調べているという段階だ。
今後の焦点は「なぜ女性が狙われたのか」
4人目の逮捕によって、捜査はさらに事件の核心へ近づく可能性がある。
今後の主な焦点は、
なぜ31歳の女性が狙われたのか。
約22万円などが入ったバッグを狙っていたのか。
事件前から女性の行動を把握していたのか。
関東から大阪まで移動して犯行に及んだ理由は何か。
4人はそれぞれどのような役割を担っていたのか。
さらに別の指示役・関係者はいるのか。
という点だ。
とりわけ、関東から大阪へ移動し、事件後に再び関東方面へ戻ったとみられる経緯が事実であれば、単純な突発事件では説明しにくい部分が残る。
警察が今後、通信履歴や金銭関係、防犯カメラ、車両の移動記録などをどこまで解明できるかが鍵になる。
公開手配から1日で逮捕 事件の「全容解明」はこれから
事件発生から約3か月。
大阪府警は実行役とみられる人物を含む3人を逮捕し、残るクアン容疑者を公開手配。
その翌日にクアン容疑者が東京都内の入管施設へ出頭し、4人目の逮捕となった。
ただ、これで事件が終わったわけではない。
なぜ女性が襲われたのか。
誰が事件を計画したのか。
被害金はどこへ渡ったのか。
そして、4人以外の人物が事件に関わっていないのか。
警察は事件の背景や役割分担について、引き続き捜査する方針だ。
なお、クアン容疑者を含む逮捕された人物について、逮捕は有罪を意味するものではない。クアン容疑者について警察は現時点で認否を明らかにしておらず、今後の捜査・刑事手続きで事実関係が判断される。
週刊TAKAPI 編集部/鈴木
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