長野県伊那市の伊那中央病院に勤務していた36歳の男性理学療法士が、院内の女子更衣室で女性職員をスマートフォンで盗撮したとして、懲戒免職処分となった。
伊那中央行政組合が9月15日に発表した。
男性は診療技術部に所属する理学療法士で、病院側は8月10日付で懲戒免職とした。
休暇日に病院へ 女子更衣室をスマートフォンで撮影
発表や報道によると、男性は休暇日だった6月16日午前9時ごろ、盗撮を目的として伊那中央病院の研修棟に入り、女子更衣室で着替えていた女性職員をスマートフォンで撮影したとされる。
一部報道では、男性は女子更衣室に隣接する部屋に侵入し、高窓から撮影したとされている。
女性職員が盗撮に気付き、その場を離れた間に男性は逃走したという。
男性は翌17日、伊那警察署に出頭。盗撮行為を認めたとされる。
さらに、被害に遭った女性職員は事件当日に警察へ被害届を提出。男性は9月14日、性的姿態撮影処罰法違反(撮影未遂)などの疑いで書類送検されたと報じられている。
※書類送検は有罪が確定したことを意味するものではない。
発覚した一件だけではなかった
問題は、今回発覚した行為だけではない。
病院側の聞き取りに対し、男性は過去にも同様の盗撮行為を複数回行っていたことを認めたとされる。
伊那中央病院は今回の処分について、
「多大なご迷惑とご心配をおかけし深くお詫び申し上げます。再び信頼される病院となるよう、日々の職務に真摯に取り組んでまいります」
とコメントしている。
「複数回」という言葉が残したもの
ここから先、問われるのは一人の職員の処分だけではない。
今回の発表で、とりわけ重く受け止める必要があるのが「以前にも同様の盗撮行為を複数回行っていた」という事実だ。
一度きりではなかったとすれば、いつから、どの程度の期間にわたり行われていたのか。
被害は今回確認された女性職員だけなのか。
病院側は過去の行為について、どこまで事実関係を確認できているのか。
現時点で公表情報だけから、これらの答えを断定することはできない。
だからこそ、「懲戒免職にした」という一点だけで問題を閉じるべきではないだろう。
なぜ休暇日の職員が研修棟へ入れたのか
もう一つ見過ごせないのが、男性が事件当日、休暇中だったという点である。
職員であれば休日でも研修棟へ自由に立ち入れる運用だったのか。更衣室周辺へのアクセスはどのように管理されていたのか。職員用施設に死角となる場所はなかったのか。
もちろん、盗撮行為の責任そのものは行為者にある。
一方で、医療機関には患者だけでなく、そこで働く職員が安心して勤務できる環境を整える責任もある。
まして更衣室は、職員が他人から見られないことを当然の前提として利用する場所だ。
そこで盗撮が行われ、さらに過去にも複数回の同様行為があったというのであれば、病院には再発防止策を具体的に示すことが求められる。
「信頼回復」を言葉だけで終わらせないために
伊那中央病院は「再び信頼される病院となるよう、日々の職務に真摯に取り組む」としている。
だが、信頼は謝罪文だけで戻るものではない。
今後問われるのは、過去の盗撮行為についてどこまで調査するのか、ほかに被害を受けた職員がいないか確認するのか、研修棟や更衣室周辺の施設管理をどう見直すのか、そして被害を申告しやすい環境をどう整えるのかという具体策だ。
一人の職員を懲戒免職にしたことで、組織としての対応が終わるわけではない。
「複数回」という短い言葉の向こう側に、まだ確認されていない事実がないのか。
再発防止の第一歩は、そこを曖昧にしないことではないだろうか。
週刊TAKAPIでは、今後の病院側の対応や再発防止策についても確認していく。
伊那中央病院についてQ&A
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