2026年9月、ついに事業許可を取り消し
そして2026年9月1日、事態は大きな局面を迎えた。
東京都は販売代理人であるみんなで大家さん販売株式会社について、不動産特定共同事業に係る許可取消しと指示処分を実施。
大阪府も同日、営業者である都市綜研インベストファンド株式会社について、同事業の許可を取り消した。
商品の営業者と販売代理人の双方が事業許可を取り消されたことになる。
東京都は何を問題視したのか
東京都の公表資料を見ると、単に「分配金が遅れたから許可を取り消した」というものではない。
東京都は、販売代理を行った商品の対象不動産について、一定期間テナントから賃料が支払われていなかったにもかかわらず、営業者へ賃料の支払い状況などを十分に調査しなかったと認定した。
さらに、その状況を認識しながら、契約成立前交付書面の賃料支払状況について「該当なし」と記載された書面を交付・説明し、事業参加者を誤認させたとしている。
東京都は2024年6月にも同種の法令違反について指示処分を行っていた。
それにもかかわらず同種の問題が繰り返されたことなどから、業務運営態勢の改善が期待できないと判断し、許可取り消しに至ったとしている。
投資家へ提供される情報の正確性や、その確認体制そのものが行政から問題視されたことになる。
大阪府も営業者の許可を取り消し
大阪府も同日、営業者である都市綜研インベストファンドの許可を取り消した。
会社側の説明によると、大阪府は財務基準への不適合、契約成立前交付書面における賃料支払状況、償還遅延、資金調達計画の遅延などを問題としている。
2024年の行政処分から約2年。
最終的に「許可取り消し」という極めて重い行政処分にまで発展した。
会社側は行政の判断すべてを認めているわけではない
一方、公平性のため事業者側の主張も確認しておく必要がある。
みんなで大家さん側は2026年9月1日、今回の許可取消処分を「極めて重大なものとして受け止めている」と表明し、分配や償還の遅延などについて出資者に謝罪した。
ただし、行政側による事実認定や法的評価のすべてについて同じ見解ではないとも説明している。
また、過去の行政処分についても司法手続で争っているとしている。
行政側の認定と事業者側の主張が一致していない事項については、今後の司法判断なども含めて確認する必要がある。
許可取り消しで出資金はどうなる?
許可取り消しという言葉から、「投資したお金がすべてなくなるのではないか」と不安になる出資者もいるだろう。
しかし、許可取り消しそのものが出資金の全額消失を意味するわけではない。
東京都は処分に際し、みんなで大家さん販売に対して、販売した商品の営業者の業務が終了するまで、事業参加者からの苦情などへ誠実かつ適切に対応するよう求めている。
会社側も、既存の事業参加者への対応や償還、既存業務の終了に向けた対応を進める考えを示している。
最大の問題は、そのための資金をどれだけ確保できるかだ。
「不動産を持っている」だけでは判断できない
今後、この問題を見る上で重要なのが資産を実際にいくらで現金化できるのかという点だ。
不動産には評価額があっても、その金額ですぐ売却できるとは限らない。
売却を急げば価格が下がる可能性もあり、買い手が見つからなければ現金化そのものに時間がかかる。
開発途中の土地であれば、事業の進捗や利用可能性などによって評価が変わることも考えられる。
さらに、不動産を売却できたとしても、その売却代金のすべてを出資者への償還に使えるとは限らない。
そのため今後は「資産を保有している」という説明だけではなく、実際の売却額と出資者への償還実績を確認することが重要になる。
「想定利回り7%」が示すもの
今回の問題を通じて改めて注目されるのが、「想定利回り」という言葉だ。
仮に100万円を出資し、年7%の収益が得られれば、単純計算では年間7万円となる。
しかし、これは元本保証付きの預金金利ではない。
不動産の賃貸収入が減少する、開発計画が遅れる、不動産を予定価格で売却できない、解約が集中するなど、さまざまな要因によって分配や償還に影響が出る可能性がある。
高い想定利回りだけで投資商品の安全性を判断することはできない。
今回の一連の問題は、不動産小口化商品を見る上で、その基本的なリスクを改めて浮き彫りにしたともいえる。
今後最大の焦点は「出資金はいくら戻るのか」
「みんなで大家さん」の問題は、許可取り消しによって終わったわけではない。
むしろ既存出資者にとって重要なのはここからだ。
今後確認すべきなのは、対象不動産などが実際にいくらで売却されたのか、そこからいくらが償還原資として確保されたのか、そしていつ、どれだけ出資者へ返還されたのかという具体的な数字になる。
「想定利回り7%」などを掲げ、多くの出資者から巨額の資金を集めてきた「みんなで大家さん」。
2024年の行政処分から分配金遅延、約2500人規模の集団訴訟、そして2026年9月の許可取り消しへと事態は大きく動いた。
しかし、本当の意味での結論はまだ出ていない。
最終的に出資者へいくら戻るのか。
今後は事業者側の発表だけではなく、実際の資産売却額、償還実績、行政の対応、そして裁判の結果を継続して確認していく必要がある。
特記事項
本記事は行政機関、事業者の公表資料、報道などを基に一連の経緯を整理したものです。
行政処分については、事業者側が行政側の事実認定・法的評価と異なる見解を示している事項があります。また、係争中の訴訟における当事者の主張は、確定した司法判断とは区別する必要があります。
本記事は特定の金融商品への投資、解約、訴訟などを推奨するものではありません。個別の契約や出資金返還については契約書面や最新の公式情報を確認し、必要に応じて弁護士などの専門家へ相談してください。
週刊TAKAPI編集部:黒木
独立メディアだからこそできる、忖度しない報道を。
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