【埼玉・越谷】中1男子へのいじめを「悪ふざけ」と判断 PTSD診断、2年以上不登校 第三者委が学校の初動を不適切と指摘

越谷市役所新本庁舎の写真と、越谷市の中学校いじめ重大事態で学校の初動対応を第三者委員会が不適切と指摘したことを伝える見出し

埼玉県越谷市の市立中学校で2024年春、当時1年生の男子生徒が複数の同級生から暴力や暴言などのいじめを受け、心的外傷後ストレス障害(PTSD)と診断されていたことが分かった。生徒は2年以上にわたり登校できない状態が続いている。越谷市教育委員会が設置した第三者機関「越谷市いじめ防止対策委員会」は2026年3月、学校がいじめを早期に認識しなかった対応を不適切とする調査報告書をまとめた。保護者が被害を訴えていたにもかかわらず、学校側が一連の行為を悪ふざけと捉えた初動の問題が明らかになった。

給食を拒否、暴力や身体への接触も 学級内でいじめが常態化

報告書に関する公表情報によると、男子生徒は2024年4月中旬、一人で鉛筆を組み合わせて遊んでいたところ、同級生5人に崩され、襟元にクリップを付けられた。翌5月には、給食当番として運んだ給食を別の同級生2人から拒否され、給食に触れないよう言われたという。

中学校への入学直後から、頭や足をたたかれたり、股間を触られたりする行為も受けていた。人格を否定する発言や、汚れたもののように扱う言動もあったとされる。第三者委員会は、男子生徒が心身の苦痛を感じていたとして2024年春の時点でいじめが成立していたと認定し、学級内で暴言やからかいなどが常態化していた状況も指摘した。

教頭「学校は警察ではない」 保護者の訴えを受けてもいじめと判断せず

問題は、学校側が被害を把握した際の対応だった。4月の出来事の直後、保護者は小学校時代からいじめがあったと中学校に訴えた。しかし、教頭は学校ではこれ以上の調査ができないという趣旨の説明をし、校長も一連の行為を「悪ふざけの延長」と受け止めていた。ほかの教員にも双方に問題があるとする認識があり、学校は当時いじめと判断せず、小学校への確認も行わなかったという。

ところが、越谷市が2020年7月に改訂した「いじめ防止基本方針」は、こうした認識を明確に否定している。同方針は、行為の種類だけで判断するのではなく、被害を受けた生徒の苦痛に着目していじめを認知するよう定める。さらに、いじめを受ける側にも問題があるという見方は間違いだと明記している。

同方針は、教職員がいじめを認知した場合、校内の対策組織に速やかに報告し、組織的に対応することも求めている。指導の場面で「いじめ」という言葉を使わない場合であっても、いじめとして認知し、情報共有する必要があるという規定だ。第三者委員会が初動を不適切と評価した背景には、学校の判断が市自身の定めた基本方針に沿っていなかった問題がある。

PTSDと診断、第三者調査まで1年以上 生徒は現在も不登校

男子生徒は2024年10月にPTSDと診断された。市教育委員会は事案をいじめ重大事態と判断し、当初は学校主体で調査を開始。その後、保護者の要望を受けて2025年5月に第三者委員会を設置し、2026年3月に調査報告書がまとまった。

2026年10月29日の公表報道によると、男子生徒は現在まで2年以上登校できていない。学校側の初動が問題とされた一方、被害生徒への具体的な学習支援や心理的な支援、関係教職員への措置については、確認できた公開情報だけでは明らかになっていない。

越谷市では重大事態13件 再発防止は学校任せでよいのか

越谷市のいじめ対応を巡っては、2026年3月の市議会定例会でも問題が取り上げられている。市長は、2022年度以降のいじめ重大事態が13件に上ると説明し、学校などと連携して対応する考えを示した。13件の中に今回の事案が含まれるかは確認できておらず、全件で対応に不備があったという意味でもない。

今回の第三者委員会による指摘を受け、学校が被害を把握した際の情報共有、管理職による判断、市教育委員会への報告が適切だったのかを改めて検証する必要がある。被害生徒の学習機会をどう確保し、調査結果を市内の学校全体の再発防止につなげるか。個別の学校だけでなく、市教育委員会の組織的な対応も問われている。

編集部まとめ

越谷市のいじめ重大事態では、保護者が入学直後から被害を訴えていたにもかかわらず、学校側が悪ふざけなどと捉え、早期にいじめと認識しなかった。市の基本方針は、被害生徒の苦痛に着目した認知と、組織的な対応を明記している。第三者委員会が学校の初動を不適切と判断した以上、教育委員会には判断が遅れた経緯の検証が求められる。2年以上登校できていない生徒への支援を含め、調査結果を具体的な改善策に反映できるかが重要となる。

特記事項

本記事は2026年10月29日付の公表情報と、事件当時に適用されていた越谷市いじめ防止基本方針(2020年7月改訂)、2026年3月市議会定例会の答弁を照合して構成した。第三者委員会による本件報告書の全文は直接確認できておらず、教職員への措置、現在の具体的な支援状況、市長への報告日については確認が必要である。

Q越谷市のいじめ重大事態はいつ発生しましたか?
A2024年春、埼玉県越谷市の市立中学校で、当時1年生の男子生徒が複数の同級生からいじめを受けた事案です。
Q第三者委員会はどのような行為をいじめと認定しましたか?
A同級生による嫌がらせや暴言、暴力などを踏まえ、2024年春の時点ですでにいじめが成立していたと認定しました。
Q学校側の初動はなぜ不適切と判断されたのですか?
A保護者から被害の訴えを受けながら、学校が悪ふざけなどと捉え、いじめとして認識せず、市の基本方針に沿った組織的な対応を取らなかったためです。
Q男子生徒は現在も不登校ですか?
A2026年10月29日の公表報道によると、2年以上登校できていない状況です。2024年10月にはPTSDと診断されています。
Q第三者委員会の報告書はいつまとまりましたか?
A保護者の要望を受けて2025年5月に第三者委員会が設置され、2026年3月に報告書がまとめられました。

週刊TAKAPI編集部/一条

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