さいたま市の市立小学校1校で、10月14日から22日までの9日間に、給食から金属製のねじや針金状のものが見つかるなど、異物混入とその疑いが計3件相次いでいたことが分かった。市教育委員会が23日に発表した。
学校は最初の異物混入を把握しながら、市教委への報告を7日間行わなかった。さらに22日には、児童が硬いものを飲み込んだと訴えたにもかかわらず、食事を中止したのは当該学年にとどまり、他の学年では給食が続けられていた。
市教委は、異物混入が発生した際の対応マニュアルが徹底されていなかったと説明している。児童3人に健康被害は確認されていないものの、異物の発生源が特定できていないことに加え、学校内での情報共有や報告体制にも問題があったことが明らかになった。
最初は1センチの金属ねじ 校長が報告したのは7日後
最初の事案が起きたのは10月14日。給食に出された「和風スパゲッティ」を食べていた児童が、皿の上に長さ約1センチの金属製のねじが入っているのを発見した。児童はねじを口にしておらず、担任は同日中に保護者へ事情を説明して謝罪したが、校長が市教委に報告したのは21日だった。
市が定める対応マニュアルでは、異物混入が確認された場合、教育委員会への速やかな報告や保護者への情報提供などを行うことになっている。しかし、学校は最初の事案について全家庭への速やかな説明も行っておらず、市教委は対応が不十分だったと指摘している。
21日には同じ学校で再び異物が見つかった。「じゃがいもと白いんげん豆のクリーム煮」を食べていた別の児童が口の中に硬いものを感じ、取り出したところ、長さ約3センチの丸まった針金状のものだった。
この日は学校が直ちに校内放送を行い、全校児童に対して問題の献立を食べるのをやめるよう指示した。校長は同日中に市教委へ報告し、当該児童と保護者に説明・謝罪するとともに、全家庭にも連絡用ツールを通じて事情を伝えている。
最初の異物混入では報告が遅れ、2度目には全校で該当献立の食事を止める対応が取られた。同じ学校でありながら、発生後の対応に違いがあったことになる。
翌22日も発生 硬いものを飲み込んだ児童、他学年は食事を継続
さらに翌22日、給食の「栗ご飯」と「小いわしの磯辺フライ」を食べていた児童が、硬いものを飲み込んでしまったと担任に申し出た。
担任を務める学年主任は、直ちに同じ学年の各教室を回り、問題となった献立の食事を中止させた。しかし、他の学年には同様の対応が取られず、給食はそのまま続けられた。
児童が飲み込んだものは回収できておらず、異物だったかどうかや材質は確認されていない。市教委によると、児童の健康被害は確認されておらず、校長は同日中に市教委へ報告し、保護者にも説明している。
市教委が問題視しているのは、異物混入の可能性を把握しながら、全校への情報共有や給食の一時停止について十分な検討が行われなかったことだ。
21日には全校放送で該当献立を停止していたにもかかわらず、翌22日は学年単位の対応にとどまった。判断が分かれた理由について、23日付の市の発表資料では詳しい説明が示されていない。
給食停止は一律の義務ではない 問われるマニュアルの運用
さいたま市の学校給食に関するマニュアルでは、異物混入が発生した際、学校全体の給食を直ちに停止することも含めて検討するよう定めている。異物が見つかれば必ず全校の給食を止めるという規定ではないが、混入したものの種類や危険性、ほかの児童への影響を踏まえた対応が必要になる。
今回、14日に見つかったのは金属製のねじ、21日は口に入った針金状のものだった。22日は実物を確認できていないものの、児童が硬いものを飲み込んだ可能性を訴えていた。
こうした状況で、校内の誰が危険性を判断し、誰の指示で全校への連絡や食事の中止を決めることになっていたのか。市の発表からは、各日の対応の違いを生んだ具体的な判断過程までは読み取れない。
異物混入を防ぐための衛生管理と、発生した際に被害の拡大を防ぐための対応は、学校給食の安全を確保するうえでいずれも欠かせない。今回の事案では、調理上の原因究明と並行して、マニュアルが実際の学校運営の中でどのように扱われていたかを確認する必要がある。
給食室で器具を点検、異物の発生源は特定できず
問題の学校では給食を校内で調理しており、14日と21日に発見された異物について、調理員が給食室の器具や設備を確認した。
しかし、金属製のねじや針金状の異物と同様の部品を使用する機器・器具は確認されず、発生源の特定には至っていない。22日の事案についても、児童が飲み込んだとするものを確認できていないため、3件の関連性や混入経路は不明のままだ。
学校は調理器具の使用前後の点検と日常的な安全確認を強化し、市教委への報告や保護者への説明を速やかに行う方針を示した。市教委も、市立小中学校などにマニュアルの徹底を通知し、外部の関係機関による指導を通じて安全管理と危機管理体制を見直すとしている。
市は23日午後6時30分と24日午後3時に臨時保護者会を開く日程を発表した。ただし、24日の保護者会でどのような説明が行われたかについては、現時点で確認できていない。
市内では10月2日にも金属片混入 対応マニュアルの共有不足が判明
さいたま市では、今回の3件とは別に、10月2日に市立小学校の給食から金属片が見つかった問題も19日に公表されている。
この事案では、「のり酢和え」を食べた児童が口の中の違和感に気づき、長さ約1.5センチの針金状の金属片を取り出した。学校は調理用の金属製ざるの一部と特定したため給食を継続したが、市教委への速やかな報告は行われず、13日に市民からの情報提供によって市教委が問題を把握した。
市教委が学校から事情を聴いた結果、マニュアルの周知や校内での共有が十分ではなかったことが判明したと説明している。
ただし、10月2日の事案と、14~22日に3件の異物混入などがあった学校が同一かどうかは、市が公開している資料からは判断できない。したがって、一つの学校で4件発生したとすることはできない。
一方、二つの公表資料に共通するのは、異物を発見した後の学校の対応に不備があったことだ。市教委は再発防止に向けた取り組みを示しているが、マニュアルの内容が各校の教職員にどこまで浸透していたのかについては、さらに確認する余地がある。
編集部まとめ
さいたま市の小学校で9日間に相次いだ異物混入などの3件では、金属製のねじや針金状のものが発見され、別の児童も硬いものを飲み込んだと申し出た。健康被害は確認されていないが、最初の事案では市教委への報告が7日間遅れ、3件目では他学年への情報共有や給食停止の検討が不十分だった。
市はマニュアルの徹底と安全管理の強化を掲げている。混入原因の解明とともに、21日と22日で学校の対応が分かれた理由を明らかにし、同様の問題が発生した際に児童の安全を優先して判断できる体制を整える必要がある。
特記事項
本記事は、さいたま市教育委員会が2026年10月19日と23日に公表した学校給食の異物混入に関する公式資料、および確認済みの報道に基づき構成した。学校名と児童個人を特定する情報は掲載していない。
週刊TAKAPI 編集部/一条
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